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バングラ旅の記録5

9/7
5日目

本当に運が悪く、本当に運が良い
絶望の中で楽しみ、不信の中で頼る

朝起きてチェックアウトする
カードを出すと使えないと言われた

話が違う!!!!
そもそもチェックインの段階で、地球の歩き方通りなら1泊2000円と思っていたところが、4000円
クレジットカードが使えるというから泊まった
現金が消し飛ぶ
一瞬青ざめた

が、キャッシングができる
今回持ってきたのは、現金3万円、クレジットカード2枚
そのうち一枚はMacBook Airと旅の準備によって限度額ギリギリ
保険用だった

余裕のあるクレジットカードをATMに入れる
次の画面は最悪だった
「カードを入れてください」

入れたやん!!!!
こうなるともう何をしても出てこない
近くにいる警備員にその旨を伝えると、銀行に電話しろとのこと

「Sorry, wrong number.」
警備員にも確認してもらったが、なぜかわからない

これでもう現金もクレジットカードもない
ホテルが最低1000円するのに、1日1000円以下しか使えない
かなりショックだった

気を休める間も無くリキシャの運ちゃんが「おれんち来なよ」と言ってくる
ATMまで送ってくれた人で、クレジットカードが出てこないところも見ていた

優しいが、リキシャの運ちゃんは大学生よりは信用できない
あとで高額請求されるに決まってると思ったのと、テロの件で金曜日はボナニから出たかったので、最初は頑なに断った(最終的には予想通りになるけど)
コムラプールやオールド・ダッカに行きたいと伝えたら、ボナニよりそっちの方が危ないと言われた
本当か嘘かわからない

本当にお金がないことを伝えても親切にしてくれるので、家についていく

また見たこともないエリアにきた
ボナニ/グルシャンの少し南にある、(物乞いより豊かだが)少し貧しい人たちの居住区らしい
ちょうどリキシャドライバーくらいの貧しさの人が暮らす

リキシャ会社にリキシャを置き、家に案内してもらう
その前に、ここに住み着いているアメリカ人の大学生の家に寄る
ベンガル語を勉強しているらしい

上の写真はもうリキシャの運ちゃんの家
リキシャの運ちゃんの名前はバブー
家族を紹介してくれた

しばらくすると近くのおてんば娘が入ってきて、地球の歩き方を取られた
ベンガル語を指差して、日本語を教えてという
仕草がいちいち可愛かった
本当に子供と大人の間って感じ

お茶も奢ってもらった
だいたいお茶は奢りみたい

結局、オールド・ダッカには観光で行って、ボナニにもう一泊することになった
しかも、明日明後日チッタゴン(ダッカの東にあるバングラ第二の都市。世界一長いビーチがある)に行こうとか言っている

いやだからお金ないんだけどな…
でも長距離移動はしたいし、チッタゴンはミャンマー国境が怖い(別にバングラ通のお姉さんもチッタゴンには普通に行っていたが、ロヒンギャ族が難民化している国境)ので、安全に安くいけるなら、ガイドにちょっと払っても安いものだ
「お金引き出せたら行こう」と言っておく
この時点では望み薄

とにかくバブーにいくら取られようが、最低ダッカ内でもガイドしてもらえれば他の移動でボラれることがなくなる(外国人ひとりなら全てが2倍の値段になるが、バングラ人がついていれば半分になる)し、食いっぱぐれることもなくなる
現状野垂れ死ぬよりベターな選択だった
1〜2泊ボナニでバブーに頼って、そのあと日本人宿に戻って完全節約モードになればいい
とりあえず言われるがままにガイドされる

まずコムラプール(ダッカ中央駅)

意外と大きくてきれいだった
すぐにブリゴンガ川のフェリー乗り場へ

身体がかたいのと、バックパック背負いっぱなしだったのもあって下手に動いたらまじでひっくり返る

次は飲食店に入る
食べたかったやつではないが、広いくくりで見ると食べたかった「あっま〜〜〜いお菓子」が食べられた

その次はイスラム教の寺院
靴を預かってもらって入る
きれいだった

と、ここまで色々案内してもらいながらも「お金ないのにこんなに遊んで大丈夫か…?」と常に心配している
顔にすぐ出るのでバブーにしきりに「大丈夫?」と聞かれる

とりあえずここまでで立てた作戦は、残っているクレジットカードの9月の引き落としを先に振り込ませてもらって、限度額を復活させること
しかし、この手続きは電話のみ
それも親とかではダメで、本人のみ

おれのケータイは国際電話がかけられない(あとでくさぎにスカイプを提案されたので明日試す)
ので、HISか日本人宿に行って国際電話を借りる(JICAにも連れて行ってもらったが、日曜まで閉まっていた)
楽天カードの窓口の時間が終わったので明日することにした

そんなこんなで観光する気が引けていたのと、金曜日は寺院が開くのが遅いので観光しづらいので、寺院ひとつ入ったあとは「ボナニ帰って宿探したい。安い宿!」と言った

勧められたやつで2500円くらい
ボナニで1日1000円以下は確実に無理とわかって、チェックインした後1人でベッドで落ち込む

クレジットカードが復活するかどうかも色々懸念点が残っていた
これ失敗したらどうしよう…
でもお目当ての工場に行ける13日までは意地でも滞在したい

LINEで励ましてもらったりして、Twitterを見ていると、くさぎがバングラにいた
「!?!?!?」
一瞬でリプを飛ばす
くさぎは余裕がありそうで、キャッシュを借りることになった

結局、絶望的な偶然が重なって起きたピンチに、偶然会ったリキシャドライバーに間をつないでもらい、奇跡的な偶然で超不人気観光地にいた後輩に助けてもらった
もう何が起こるか本当にわからない

ひとつだけ言えるのは、物価が安くても予測しづらいなら、現金はめっちゃ多めに持っとけということ(な、やなぎ?)
ここまで不便な国が他にあるかは別として

そして、お金が多少あるなら、バブーにいつまで案内してもらうか、ガイドはどれくらいの値段か、チッタゴンに行くかが現実的な問題になってくる

結局、チッタゴンには行くことにした
ガイド代は500円で済まなかったので1000円(その時意識してなかったけど「1日1000円」だった。ちょっと一気に上げすぎた…)
その代わり、これでずっといられると俺の金がもたないし少し自由がないので、チッタゴンから帰ってきたらお別れすることにした

オールド・ダッカもチッタゴンも後悔なく、これ以上ないくらいちゃんと回れるのだから、そのあとは工場の日まで日本人宿でおとなしくしよう

ボラれ気味だが、それなりのリターンがある
それにバブーの家族も知ってしまったし、お世話になったし、なんだかんだリキシャドライバーも貧しい

こっちに余裕があるときの物乞いとのコミュニケーションとも、こっちより英語力のある豊かな大学生とのコミュニケーションとも違う、お互いが利益を確保しつつ相手を思い遣るビジネスライクな関係
お互いがちょこちょこ冷める瞬間がある

相手を信用しきれないが、絶対に欲しい利益(安い長距離移動と安全)と絶対守らなければいけない財産の範囲内で、ベストなのだ
ここで日本人宿にこもり続けても後悔するだけだ

バブーの家のベッドで2人で寝そべりながら、そんな期間と価格の交渉、計画の共創をしているうちに、晩ご飯ができた
バブーの家でご馳走になる

こういうのは店では食べられない

明日はくさぎにお金借りて、チッタゴン行きのチケットを取って、ダッカに留まる
めちゃくちゃ絶望的な1日だったけど、くさぎのお陰で希望が見えた

ただ完全に安心ではない
あと4日間、バブーをうまく乗りこなさなくては

初めてのひとり旅で2週間バングラデシュ
ミスだらけでトラブル続きだがそもそもこの選択した時点で安全で快適な旅は期待しちゃいけない

9/3に空港着いたときは「やばい、こんなとこ2週間もいたら死ぬ!」と思ったが、5日目にして詰んだり、現地人の家に突撃隣の晩ご飯したりなどしている
ひとり旅ってこういうものなんですか…?(正解がわからない)

ちょっとだけ死に近づくと泣ける出会いとか生への活力とか得られるのかも

と言ってもまだたかだか5日
たかだか物乞いとのお話、疲労困憊での迷子、テロ現場と銃と宗教、金欠
死なんて口にするのはおこがましいほど甘っちょろい

おやすみなさい

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