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「週刊プラグインレビュー」Keisari Studios / Leikkaus

今月最後の更新です!
なんか、はからずも今月はクリッパーばかりになってしまったので、後から特集にしとけば良かった・・!などと計画性のなさを露呈しております笑

「もっと色々エフェクターあるだろ!」
「なんでクリッパーばっかやるんじゃ~!」

そんな読者さんたちの声が、公開をする前から聞こえてきているような気がするので、まずはそこからご説明させていただければと笑

ちなみに今回のLeikkausはバリバリ仕事で使っていける性能であるにもかかわらず・・・なんと、無料です!!!
※AAXありません!PT勢の人スイマセン。

それでは、今回もやっていきます!
プラグインレビュー!!

「お前なんでこんなクリッパーばっか試してんの?」という当然の疑問について。

こんなにクリッパーの話題が続いている原因は、僕がずっと取り組んでいる課題とプラグインの進化のふたつの要因がある。
まず、課題として僕がずっと感じていることをここで吐露をしておくと。

デジタル上の青天井の天井だと広さを感じられないが、かといってリミッターでぶっ潰しまくると、ミックスそのものが破壊されてしまう・・というジレンマがしょっちゅうある。
なので、クリッパーをヘッドルームを広げる・・という意味で使うこともあれば、どういう天井感なのか?をそもそもデザインするために使うこともある。

で、色々なクリッパーを試していくと(20ぐらい持っている気がするが・・泣)メーカーごとにクリッピングのカラーや持っている天井感が違い、それが楽曲の表現に結びついてしまうパターンがある。

それもあって、手数としてとにかくクリッパーが発売される→即デモる。の修行をここ2~3年続けているわけだが、大変残念なことに、多種多様であり、どれか一つもっておけばOK!とはなりづらい。
だから全部持っておくという結論になってしまう。
これが理由のひとつ目。

ふたつの目の理由は、この「ヘッドルームのデザイン」が、今一番プラグインメーカーがしのぎを削っている一番面白い部分であるように感じるためだ。
最近は機械学習が発達をしていて、トーンそのもの、それ自体はメーカー側も簡単にリアルな感じを再現できるようになってきた。
しかし、通したときのヘッドルームに上限値がある感じ・・というのは、メーカーによって表現が多種多様だ。
そういう意味では、そここそが今一番多様性の華が咲いているジャンルだと個人的には感じている。
で、そのカラーが最も忠実に顕れるのがクリッパーというわけだ。
単純にクリッパーにはまっているというよりは、その違いが楽しいと感じられるから、こうして書いている。

「じゃあ、エンジニアとしてクリッパーを滅茶苦茶使ってんのか?」
そういわれると、実はそんなことはない。
基本的にはクリーンなマスタリングを信条としているので、クリッパーを入れてまでラウドに突っ込みまくること自体は2Mixでやるべきではないように感じている。

しかし、それに物足りなさを感じるとき、楽曲全体に何らかの華が欲しいとき。そういうときにクリッパーは僕を助けてくれる。
そんな経験則から、”地獄のクリッパーパレード”を開催しているのが昨今であり、理解をして欲しいとは言わないが、状況として共有をしておきたい次第である。
僕だって、こんな波形を矩形させるだけのエフェクターにお金をどんどん使いたくない・・という本音は間違いなくある笑
が、表現に結びついてしまうのだから仕方がない。
RECのエンジニアが色んなHA持ってるのと大差ない話だと感じてもらえれば幸いだ。

前置きが長くなった。
本題に入る。

Leikkausとは?

Keisari Studiosというフィンランドのユヴァスキュラを拠点に構えるエンジニアが開発したオープンソースのダイナミッククリッパープラグインで、Leikkausはフィンランド語で「切断」を意味する言葉らしい。
個人開発のプラグインで、Githubにソースコードごと公開されている。

GitHub - EemilAhonen/leikkaus: Clipping audio plugin

公式サイトからパトロンページにアクセスすることで、無料でダウンロードできるが、気に入ったら支援をするのを忘れずにお願いしたい。
Leikkaus | Patreon

機能面

さて、そんなLeikkausだが、機能面について見ていこう。
ポップアップの説明以外なくて、特にマニュアルがないので殆ど見たままではあるが、一応記載しておく。

INPUT
インプット音量の調整

Ceiling
天井値。スレッショルドと同じ。

Retio
クリッパーのソフトさを決める場所。
0%でハードクリップで、100%で完全にバイパスとなる。

Output
アウトプット音量の調整

MIX
DryWETのパーセンテージ

Compensation
インプット量に応じてアウトプットの音量の増減を自動的にやってくれる機能。

Oversampling
2倍のオーバーサンプリングを追加する。

Delta
原音とプロセス後の音の差分をきくことができる。


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僕は現在、parasight masteringという場所でマスタリングエンジニアをやっています。
もし、マスタリングってどうしたらいいの?
自分のミックスって、どう仕上げたらいいの?
何となく今まで作った楽曲に聞きにくさを感じる・・・。
そんなご不安がありましたら、是非一度、依頼をしてみてください。
日本屈指の環境と、僕の技術できっとご満足いただける音をお届けしてみせます。


検証してみた。

まず、面白いと思ったのがKeeではなくRetioという表現だ。
これは、CLIP→Limitterとして動作しているのではなく、文字通りニーの角度を変えられる機能のようである。

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