こんな、なんて言わないで

何気ない言葉で相手の気持ちがかいまみえるとき。
「こんな人生を歩んできたものですから」

外で働くことなく、家族のお世話をずっとしてきた私よりも年上の彼女。
初めて働く職場で手探り中。

こんな、なんて言わないでいいんですよ。
のどまで出かかったけれど、そこまで切り込んで言えるほどの長さも深さもあるお付き合いじゃない。

そこには触れず、今お願いしている業務だけでなくてきっとこんなこともお願いできるんじゃないかなって思ってるんですよ、と伝える。

嬉しそうに自信なさげに笑うのを見て、ゆっくりでいいから、その気にさえなれば自分がもっといろんなことができると気付いてほしいと思う。

私も、今まで関わってきた人たちからもらった言葉で、自分の思い込みの外にいた自分に気付いて、方向を変えることができたりもしたから。

いろんな事情を抱えてきて、働かないできたことを恥じる必要なんかない。歳を取ってもやりたいと思ったらやっていい。
押し付けにならないように少し遠くから、でも確実に届くように伝えたい。