ヴァイオリンの弓を覗いてみる
弓をまじまじと見てみましょう。といっても、トルテやペカット、サルトリーみたいなモデルの話ではありません。
ヴァイオリン~コントラバスまで、基本的には弓の構造は同じです。大まかにいうと、竿とフロッグと呼ばれる毛箱のふたつでできています。そこに毛を張って完成するのが弓ですね。
そのフロッグの中を見たことがある人は少ないんじゃないでしょうか。では早速、その内部を覗いてみることにしましょう。
こんな感じ。黒檀でできた本体部分と、毛を張るときに回すネジ、あとは半月型の金具と長方形のプレートの4パーツから、これまた大まかにいうと出来ています。本体の穴の開いているところに毛束を入れて、木材で作った楔を詰めて箱閉じです。
この毛束をいかに綺麗に、適切に入れるかが職人の腕の見せどころ。毛束はそこまで難しくはありませんが、楔づくりと詰める工程が上手くできていないと、毛が緩んだり抜けてしまったりと演奏性にも影響してしまうのです。
上の写真は抜けそうな楔、下は幅が足りておらず毛が横へ漏れ出しているフロッグです。
こうならないように、楔の幅や長さ、厚みを寸分たがわず切り出すことが重要です。幅が長すぎるとフロッグ自体が割れてしまうこともあるので、ぎゅうぎゅうに詰めればいいってもんじゃありません。最終的に内部は見えなくなってしまうため、この楔がいい加減な加工をされた弓をよく見かけるのは本当に心が痛みます。
こんな感じでピタッと幅・長さ・厚みが合うと、毛束はずれたり緩んだりしませんし演奏中も負荷がかかりません。次の毛替えのときにもフロッグからスムースに楔が外れてくれるんです。
弓にとって良い毛替えをしてくれる工房や職人さんに出会えると良いですよねぇ。
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