PioSOLVER:preflop only gameの計算

「PioSOLVERではpreflopの計算にはedge版が必要」というのを
私も聞いたことがありますが、これは正確ではありません。

「preflop → flop → turn → river」の4-streetsからなるgameについてはedgeが必要です(メモリや計算時間などの計算コストは高くなるようです)。しかしながら、「flop以降ではアクションをしてはいけない」と仮定した、
preflop only game
についてはPro版でも解くことができます。

例えば次のようなtreeを作ってみましょう。
・PioViewerの「preflop」タブから作成できます。
・画面下部のnodeを選択(クリック)してから、画面上部の「Fold」「Check / Call」「Raise」等を選択することで、新しいactionが追加されます。

action順は IP・OOP の順となっており、デフォルトのpot設定はHUの形式です。6-maxにおけるSB vs BBをイメージする場合には、OOP, IPを逆にしないように注意しましょう。

予定のtreeが設計できたら、「Build pure preflop tree」からBuild。
Browserタブから予定のtreeが生成できていることも確認できます。
いつも通り「Go」から計算。

effective stackが5bbの Shove-or-Fold game の解を得ることができました。
もちろん、rakeやeffective stackを変化させて解を調べることもできます。

またnode lockも使えます。all-inに対する相手のcalling rangeを仮定して、どのように搾取できるかなどを研究する用途もあるかもしれません。

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preflop only gameの解析には、どのような利用法があるか、ざっと考えてみます。

◆超shortなgameの学習

ひとつは上に挙げたような状況の学習でしょうか。世の中にはshort stackにおける、postflopのactionも加味した「Solution」も存在するようですが、比較すれば、all-in以外は使わない簡略化戦略をとった場合にどの程度のEV lossがあるのかも確認できますね。

◆preflop all-inに対する対応の見積もり

今度はeffective stackが100bbの状況を考えます。

ROOT nodeに対してFoldのアクションを含めておらず、IPは指定のrangeで3bb raiseしています。また、最初からpotに入っている金額として、
OOP 10, IP 0, Extra 5
を仮定しており、これは例えばBTN vs BBのような状況を想定した設定です。

IPのレンジに自分の使うレンジを入れてみることで、preflopで100bb all-inを受けた場合の最適な対応を見積もることができます。

このレンジやsizeの設定は、私のnote

Theory:急なALL-INへの対応(https://note.mu/maspy_stars/n/n843de5a1d4a8

と一致させています。出てきた戦略もほぼ一致していますね。

今回PioSOLVERに計算させたtreeでは、BBからcall・小さい3-bet等の選択肢を削っているため、all-inへの対応としてこのrangeがGTOである保証は必ずしもありませんが、目安としては十分かと思います。

open raiseに対するall-inだけでなく、例えば
「自分の10bb 3-betに対して40bb 4-bet all-inされたけど、どうすればよかったのだろう?」
といった場面でも、PioSOLVERでのおおよその検証が瞬時にできることになりますね。

私はこの用法でちょくちょく使っています。(実戦での考え方としてはほぼ上述のnoteに記述した通りなので、研究というよりは答え合わせ目的)。

◆preflopにおけるvs range EQの確認

例えば「vs ランダムハンド EQ」を出力するには、これでBuildして、BrowserからEQを見ればOKです。

「vs AA EQ」を出力するには、例えばIPのレンジをAAのみにして、OOPのEQを見ます。

preflop EQを計算できるツールは世の中にたくさんあると思いますが、PioSOLVERでも簡単に計算できることを知っておくと、無駄にツールを増やさなくてよいので便利だなって個人的に。

脱線になりますが、vs AAの最弱ハンドがA9oである理由について最近ツイートで解説したので興味がありましたらご覧ください。

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Preflop only gameは計算コストもかなり少ないのも特徴です。他にも面白い使い方があれば試したいところですが…。何かアイデアなどあれば教えていただけると嬉しいです!

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