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クラウドファンディングを広く正しく伝えるためのストーリーを通じた共感の創出

こんにちは、CAMPFIREクリエイティブディレクター・マーケティングリードデザイナーのメイソン(@masonosamasono)です。

突然ですが、クラウドファンディングって何だか説明できますか?

何となくは理解しているけど、なんか難しそうなイメージ。そんな方がほとんどではないでしょうか。ググると大体以下のような説明が出てきます。良く見かける説明ですが、いまいちピンと来ません。

クラウドファンディングとは、インターネットを通じて不特定多数の人々から資金を集める資金調達の手法です。プロジェクトの実行者が、自らのアイデアや事業計画をオンライン上で公開し、それに賛同する人々から資金を募ることができます。支援者は、プロジェクトに対して金銭的な支援を行い、対価として物品やサービス、感謝の意を受け取ることがあります。クラウドファンディングは、新しい事業や製品の開発、社会貢献活動、緊急支援など、様々な目的で利用されています

クラウドファンディングの認知度は年々高まっています。「クラウドファンディング」という名称だけではなく、サービスを正しく認知している人の比率は64.7%(2022年7月)まで広がりました。しかし、認知者のうち、実際にサービスを利用したことのある人は39.3%にとどまっています。この背景には、クラウドファンディングの利点や使用方法に対する理解不足、リスクへの懸念などが影響していると考えられます。

クラファンの本質を「キャンプファイヤー」からひも解く

実は、サービス名でもあり、弊社の会社名でもある「CAMPFIRE」でクラファンは説明できます。

キャンプファイヤーをイメージしてください。夜の森の中、大きな火を囲んで人々が集まっています。キャンプファイヤーを成功させるためには、参加者全員からの小さな貢献が必要です。一人ひとりが持ち寄った薪(資金)を集めて大きな火(プロジェクト)を焚きます。火を起こすための最初の火種(アイデア)は、キャンプリーダー(プロジェクトの実行者)が灯します。参加者(支援者)は、火を大きくするために自分の薪を加えることで、キャンプファイヤー(プロジェクト)の成功に貢献します。火が大きくなるにつれて、参加者はそのあたたかさを共有し、キャンプファイヤーがもたらす光と熱(プロジェクトの成果)を楽しむことができます。そして、大きな火を起こすことに成功すれば、それは参加者全員の協力の結果であり、共同で作り上げた成果物となります。

キャンプファイヤーに参加した一人ひとりは、その火を囲んで様々な思いを馳せることでしょう。あたたかさに包まれたくつろぎのひととき。集まった人との楽しいおしゃべり。炎を見つめながら感じる大きな感動。そのすべてが、みんなで作り上げた火だからこそ得られるものなのです。

クラファンで生み出される何かも、これと同じだと思います。支援者の想いが集まって生まれるプロジェクトは、単なるお金以上の価値を持っています。ゴールまでの道のりを実行者と支援者が一緒に歩んだという記憶。世の中にまだなかったものが生まれる瞬間に立ち会えたという感動。そんな体験すべてが、クラファンならではの醍醐味だと考えています。

つまり、クラファンとは、キャンプファイヤーを成功させるために参加者が薪を持ち寄るように、多くの人々が小さな資金を出し合って、一つのプロジェクトやアイデアを実現させる資金調達の方法です。プロジェクトの立案者が火種を提供し、支援者が薪を加えることで、共に大きな火を焚き上げ、その成果を分かち合うことができる、コミュニティ主導の協力プロセスです。

発起人の想いが伝わるクラファンストーリー

たとえば、新型コロナウイルスの影響で観光客の減少と外食市場の縮小により、行き場を失った飛騨牛を消費者に直接届けるプロジェクト。飛騨地域の精肉店と約60の畜産農家が連携し、高品質な飛騨牛の肉を提供することで、地域経済の支援と飛騨牛のブランド維持を図り、大成功を収めました。

たとえば、鳩羽つぐという架空のキャラクターの夏休みをテーマにした30分の映像作品の制作プロジェクト。彼女が紡ぐ「劇場型青春」の視聴者が、キャラクターとその成長や変化に感情的に投資することを可能にし、強いファンの絆とコミュニティを形成しました。また、鳩羽つぐが杉並区の西荻窪という具体的な地域に「住んでいる」という設定は、キャラクターにリアリティを与え、視聴者との距離を縮めました。

たとえば、新規VTuberアイドルユニットの立ち上げとデビューミニアルバムの制作プロジェクト。発起人である柚子花(ゆずは)さんは、オーディションに合格したもののプロジェクトが潰れ、2D VTuberとして個人で活動を開始しました。彼女は2年以上の活動を経て、同じ目標を持つ仲間と共にアイドルユニットを結成し、見事アルバムの収録を実現しました。VTuberとアイドル文化の可能性を証明したいという熱意が伝わってきます。

このようにクラファンには、発起人の夢や想いが詰まっています。

ストーリーテリングの力で、クラファンの価値を伝える

サービスのファンを作るうえで、ストーリーテリングは非常に有効な手法です。ストーリーには、人の心を動かす力があります。ぼく自身、これまでの人生で、様々なストーリーに感化されてきました。『ドラゴンボール』を全巻読み終わった早朝、家から渋谷まで1時間以上かけて走りました。初めて『スパイダーマン』を観た後、ずっと中指と薬指を折りたたんで手首を動かしていました。戦争や核軍縮がテーマのゲーム『メタルギアソリッド』は、平和の尊さを教えてくれました。このゲームを作ったゲームデザイナーの小島秀夫は大の映画、小説好きで知られています。そんな彼が言っていた「ストーリーが人を動かす」という言葉が印象に残っており、いつか自分も「人の心を動かして人生をも左右するかもしれないコンテンツ」を生み出したいと強く思うようになりました。

だからこそ、サービスの背景にあるストーリー。プロジェクト実行者の想い。支援者の温かいまなざし。そういったストーリーを丁寧に紡ぐことは、クラファンを理解してもらう上で非常に有効な手段だと考えています。
事実を羅列するだけでは伝わりにくいことも、ストーリーを通せばスッと胸に響く。冒頭で、クラファンを「キャンプファイヤーを囲む人々のストーリー」に置き換えて説明したことで、実感していただけたのではないでしょうか。

心に響くメッセージの発信

いくつか具体的な取り組みを紹介します。クラファンの発起人がプロジェクトを始める際に訪れるページに、ユーザーの生の声を取り入れています。実際にCAMPFIREでプロジェクトを実行してくれたユーザーのストーリーは、多くの人の共感を呼び、クラファンがどんな体験をもたらしてくれるのかを想像するきっかけになります。

ご利用者の声

また、先日、採用ページのリニューアルを行いました。写真を通してもストーリーを語ることができると考え、CAMPFIREで働くメンバーの写真を多数使用しました。直近で入社したメンバーへのインタビューを実施し、入社前後の気持ちの変化などを調査。そこから得られた定性的な情報をデザインやコンテンツ設計に落とし込んでいます。さらに、社員の声やインタビューを紹介するコンテンツには「CAMPFIREの仲間たち」というタイトルを付けました。普段から一緒に働くメンバーのことを「社員」や「同僚」ではなく「仲間」と表現するようにしています。「社員」や「同僚」は、仕組みで誰でもなり得る関係値ですが、「仲間」になるにはその背景にストーリーが必要だと考えています。

CAMPFIREの仲間たち

ストーリーという文脈とは離れますが、終了したプロジェクトにアンコールボタンをつける施策では、ボタンのマイクロコピーを「アンコール」ではなく「もう一度プロジェクトをやってほしい」としました。具体的な動詞を用いることで、ユーザーの心理的なハードルを下げ、アクションを完了させる確率を高める効果があります。それに加え、ユーザーが潜在的に考えている言葉を代弁することで、納得感のあるコンバージョンに繋げることができます。

右下の赤いボタンが「もう一度プロジェクトをやってほしい」ボタン

このように、あらゆる場面で共感を生むストーリーを届ける工夫を重ねています。一つ一つは小さな取り組みかもしれません。しかし、そうした積み重ねが、きっとクラファンをより身近で魅力的なものにしていくのだと信じています。

可能の反対は、不可能ではない。挑戦だ。

CAMPFIREはこれまで、89,000件以上の挑戦を支えてきました。未来に夢を持ち、希望をかけて挑戦した人、もうダメかもしれないと、藁にもすがる思いでクラファンにかけてくれた人、そこにはたくさんのストーリーがありました。そしてそのストーリーが、多くの人の心を動かしてきました。

クラファンをもっと身近なものにするために、ぼくたちも挑戦し続けます。「可能の反対は、不可能ではない。挑戦だ。」これは黒人初のMLB選手ジャッキー・ロビンソンの言葉です。そんな想いを持って作った弊社の採用ページも先日リリースしましたのでよければご覧ください。ストーリーの力を信じ、本当のクラウドファンディングを日本に浸透させる仲間を募集しています。ともに、新たな挑戦のストーリーを紡いでいきましょう。

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