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子どもと大人の直線上移動

子供のころから大人は大人のままだ
しかし子供はやがて大人になる
子供が大人になるより早く
新しい子供が生まれてくる
押し出されるように子供は大人になる

「大人」というのは止まっていて
「子供」だけが「大人」に向かって動いているようだ

線分ABの4分の1あたりに大人と子供の境界がある
その点をCとする
その線上を動く点P、Qがある
PはCB上にあり、Qは今Aを出発した
つまりPは大人、Qは子供である
QにとってPは常に大人である
Pが反対向きに動くこともなければ、追い越すこともないからである
よってQにとってPは最初から最後まで大人の人間として映る
しかし実際は当然Pもかつては子供であった
Qはそれを想像するしかない

Qは現在子供である
しかし子供である時間は大人のそれと比べだいぶ短い
したがってあっという間にQも点Cを過ぎ、大人になる
そして新たにRという子供が生まれ、そのRに今度はQが大人として認識される
RもQがそうだったように、Qを初めから大人である人間として認識する
Qは初めそれに慣れない
さっきまで子供だった自分が新しい子供に大人として扱われることがむず痒い

やがてPはBに到着し旅を終え、QもCB間の後半を過ぎ大人にも慣れ、Rはまた大人になる葛藤にもがく
そうやって繰り返すだけなのだ

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