プライバシー保護やセキュリティ強化をするためのツールやアプリについて
フィッシング詐欺を警告するメールが増えてきました。最近さらに巧妙なフィッシング詐欺が多くなっており、リテラシーの高い人でも気の緩みなどで被害に合ってしまう人も多いです。もうメールが怖くてリンクをクリックできません…。
メールにブランドロゴが表示されていると安心なようですが、まだ対応している会社が少ない。
もしフィッシング詐欺に合ってしまい不正アクセスされた場合、同じパスワードで複数サービスを利用していると芋づる式にあなたのアカウントを不正利用されて全てを失いかねないです。
最近ではECサイト、ネット銀行や暗号資産などインターネットでお金を利用することが増え、知らないうちにクレジットカードを使われてしまったなど被害が多発しています。
ではどう対策すれば良いでしょうか。
パスキー
パスキーは新しい認証方法で、従来のパスワードに代わるものです。
フィッシング攻撃のリスクを低減し、ユーザーはより安全にアプリやウェブサイトにサインインできます。
パスキーに対応したサービスの場合は、パスキーを利用することを強くお勧めします。設定は難しくありません。1度登録してしまえばその後は、簡単に指紋認証や顔認証でログインできるようになります。
サービス側はパスキー導入必須に早くなって欲しいと切に願います。
Windowsのパスワードレス認証
Microsoft Authenticatorを使用したMicrosoft アカウントでのパスワードレス認証は、スマートフォンと生体認証技術を活用し、パスワードなしで安全にログインできます。これにより、パスワード漏洩のリスクがなくなり、セキュリティが向上します。
パスワード管理
ブラウザにパスワードを保存することはお勧めしません。暗号化の不十分さやブラウザの脆弱性、マルウェアのリスクがあるため、専用のパスワード管理アプリを使用することが推奨されます。
パスワード管理アプリ
パスワード管理アプリはマスターパスワード1つ覚えておけば、複数のアプリサービスのパスワードを安全に保存し、各サービスのログイン時に自動入力も可能です。
1PasswordやBitwardenは安全で強力なパスワード生成と保存、共有機能、自動入力機能も提供します。パスキーの保存も可能です。
1PasswordやBitwardenアプリに通常は指紋認証や顔認証で簡単にログインして利用できます。
1Password:
個人とビジネスでの使用に適したトップクラスのパスワードマネージャーです。
Bitwarden:
無制限のパスワードを無制限のデバイスに同期し、エンドツーエンドの暗号化を提供します。オープンソースで、透明性とセキュリティに優れています。
価格: 1Passwordは個人プランで年間36米ドル、Bitwardenは無料プランも提供しています。
iPhoneユーザーでパスワード管理アプリを利用しておらずこれからもAppleデバイスを使うのなら新Apple純正アプリの「パスワード」アプリを利用しても良いかと思います。
また、サービス側に言いたいことはパスワードに制限があるなら事前に掲載して欲しい。下記記事を読んでください。
パスワード管理について4年以上前に書いた記事。基本的には変わってないね。
メールプライバシー
メールを非公開
AppleのiCloud+には「メールを非公開」という機能があり、ユーザーが個人のメールアドレスを保護しながら、オンラインサービスに登録できます。ランダムなメールアドレスが生成され、実際のメールアドレスは隠されます。これをIDにすることにより、スパムやプライバシー侵害から保護されます。
iCloud+はサブスクで130円(税込)/月から利用可能。保存容量アップなどですでに契約している方は使わなきゃ損です。
エイリアスメールアドレス
SimpleLoginでも同様に有効です。SimpleLoginアプリはエイリアスメールアドレスを生成し、スパムから本来のメールアドレスを保護します。
オープンソース。ヨーロッパで作成およびホストされています。
またStartMailはエンドツーエンドの暗号化を提供し、無制限の使い捨てメールアドレスを作成できます。
二要素認証(2FA)
二要素認証は、ログイン時に追加のセキュリティレイヤーを提供し、不正アクセスからアカウントを守ります。
Google Authenticatorが有名で広く利用されているが、
クローズドソースであり、セキュリティの透明性が低い
バックアップ機能がないため、デバイスを失うとアクセスが困難になることがある
という欠点があります。
2FAS
2FASはオフラインでのコード生成やプライバシー保護に優れた機能を提供します。2FASはオープンソースで、ユーザーのデータを匿名で安全に保ちます。
Bitwarden Authenticator
Bitwarden Authenticatorは、TOTP(Time-based One-Time Password)とHOTP形式に対応し、複数のアカウントにセキュアな二要素認証を提供します。Bitwardenのパスワード管理システムと統合されており、一元管理が可能です。また、QRコードスキャンでアカウントを簡単にセットアップできるほか、自動同期機能で利便性を向上します。
アプリ用パスワード
アプリパスワードは、2段階認証を有効にしている場合に、サードパーティやサポートされていないアプリやデバイスでのサインイン時に有用です。
VPN関連
プライバシー保護にはVPN(仮想プライベートネットワーク)やプロキシサーバーが有効です。これらはインターネット接続を暗号化し、ユーザーの位置情報やオンライン活動を隠すことができます。
VPNはインターネット接続を暗号化し、プライバシーを保護
プロキシはIPアドレスを隠すことで匿名性を提供
DNS設定を変更してセキュリティを強化可能
VPN(仮想プライベートネットワーク)
VPNは、インターネット上に仮想の専用線を構築し、データを暗号化して安全に送受信する技術です。主な特徴は以下の通りです。
暗号化: すべての通信が暗号化されるため、外部からの攻撃やデータ漏洩のリスクが低減します
トンネリング: データは「トンネル」を通じて送信され、これによりプライバシーが保護されます
利用シーン: リモートワークや公共Wi-Fiを利用する際に特に有効です。企業の内部ネットワークへの安全なアクセスを提供します
プロキシサーバー
プロキシは、ユーザーと目的のウェブサイトの間に位置し、データの受け渡しを行うサーバーです。主な特徴は以下の通りです。
アプリケーションレベルでの動作: プロキシは特定のアプリやブラウザのトラフィックのみを処理します
暗号化の欠如: 通常、プロキシは通信を暗号化しないため、セキュリティ面ではVPNに劣ります
キャッシュ機能: 過去に訪れたサイトのデータを保存し、再度アクセスする際の速度を向上させることができます
iCloudプライベートリレー
AppleのiCloudプライベートリレーは、Safariブラウザを使用している際のプライバシーを強化する機能で、ユーザーのIPアドレスやウェブサイトへのアクセス履歴を隠します。公共のWi-Fiネットワークを利用する際に特に有効です。
IPアドレスの隠蔽: ユーザーのIPアドレスを隠し、トラッキングを防ぎます
データの中継: 2つのプロキシサーバーを使用して、ユーザーのデータを中継し、プライバシーを保護します
制限: Safariでのみ機能し、他のアプリやブラウザでは利用できません
従来の中央集権VPNや無料VPNには、いくつかの重要な懸念点があります。これらのリスクを理解することは、オンラインプライバシーとセキュリティを守るために非常に重要です。
VPNの懸念点
データの集中管理: 中央集権VPNは、特定のプロバイダーが管理するサーバーを通じてデータを送信します。このため、プロバイダーがデータをログとして保存する可能性があり、ユーザーのプライバシーが脅かされるリスクがあります。
セキュリティの脆弱性: 中央集権型のサーバーは、ハッカーの攻撃対象になりやすく、サーバーが侵害されると、全ユーザーのデータが漏洩する危険があります。特に、0デイ攻撃やデータリークのリスクが高まります。
接続の不安定性: 中央集権VPNは、限られた数のサーバーに依存しているため、サーバーに問題が発生すると、全ユーザーに影響が及びます。これにより、接続速度が低下したり、サービスが利用できなくなることがあります。
無料VPNの懸念点
セキュリティの低さ: 無料VPNは、通常、セキュリティプロトコルが不十分であり、悪意のあるソフトウェアやマルウェアが含まれている可能性があります。これにより、ユーザーのデバイスが危険にさらされることがあります。
データの売却: 無料VPNは、収益を得るためにユーザーデータを第三者に販売することがあるため、プライバシーが侵害されるリスクがあります。特に、無料サービスを利用する際は、プライバシーポリシーを確認することが重要です。
接続速度と安定性の問題: 無料VPNは、データ使用量や接続速度に制限があり、安定したサービスを提供できないことが多いです。これにより、ユーザーは快適なインターネット体験を得られない可能性があります。
中央集権版VPNや無料VPNを利用する際は、これらのリスクを十分に理解し、慎重に選択することが重要です。特に、プライバシーとセキュリティを重視する場合は、信頼性の高い有料VPNや分散型VPNの利用を検討することが推奨されます。
分散型VPN(dVPN)
Mysterium Network、Sentinel、NymVPNなどのdVPNは、ユーザーが自分自身でネットワークを構築し、安全な通信を実現するためのツールです。
特にNymVPNは、ミックスネットアーキテクチャを採用し、強力な匿名性を提供します。
これらのツールやアプリケーションを活用することで、中央集権的なサーバーに依存せずプライバシーとセキュリティを大幅に向上させることが可能です。
分散型アーキテクチャ: 中央集権的なサーバーに依存せず、ユーザー同士がネットワークを形成します
プライバシーの強化: ユーザーのデータが特定のサーバーに保存されないため、プライバシーが向上します
利用の柔軟性: 通常のVPNと同様に、インターネット接続を暗号化し、匿名性を提供しますが、より自由な利用が可能です
これらのツールやアプリケーションは、それぞれ異なる方法でプライバシーとセキュリティを強化しますが、一貫して重要なのは、自分自身のデジタル資産を守るために適切な対策を講じることです。
まとめ
パスキーが利用できれば必ず利用しましょう。
パスワードレスにしたい。しかしパスキーがどこでも使えるようになるにはまだ少し時間がかかりそうです。それまで正しいパスワード管理が大事。パスワードは長ければ長い方が良いです。
サービスごとに違うパスワードを設定し、パスワード管理アプリに保存することで被害を最小限に抑えられます。さらにアカウント(メールアドレス)もサービスごとに違うエイリアスメールアドレスにすると良いですし、2段階認証で守りを強化します。
VPNは全てのトラフィックを暗号化しますが、プロキシは特定のアプリケーションに限定され、iCloudプライベートリレーはSafari専用です。
プライバシー保護としては、iCloudプライベートリレーはIPアドレスを隠すことに特化していますが、VPNはより広範なプライバシー保護を提供します。
信頼性の高い有料VPNや分散型VPNの利用を推奨します。
dVPNは、一般的にオープンソースであることが多いです。
オープンソースの特性により、誰でもそのコードベースを閲覧、評価、修正することができるため、透明性が確保されます。これにより、セキュリティやプライバシーに関する懸念が軽減され、ユーザーはサービスの信頼性を確認しやすくなります。
会社を信頼するか、オープンソースを信頼するか(ソースがわからないならオープンソースを推奨している有識者たちを信頼するか)
このように、各技術にはそれぞれの利点と欠点があり、利用目的に応じて選択することが重要です。
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