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僕のTwitter漫画の作り方!【承】

こんにちは、Twitterを拠点に漫画を描いているきたむらましゅうを名乗る者す。

今回は「僕のTwitter漫画の作り方!」の【】で、ネーム製作のプロセスを語っていこうと思います。ではさっそく本題に入りましょう。


【STEP.0】前回のおさらい

僕はゆるぎない作品コンセプトを持ち、それを守ることがバズったり・シリーズ化していくために重要だと思っています。でも継続していくことも大事で大変なので、コンセプトを守ることに少しゆとりを持っています!

というのが前回でした。要は僕の漫画制作における心構えの話でしたね。

今回こそはちゃんと制作について触れるガチ現場的な記事にしたいと思っていますので、どうかよろしくお願いします。

【STEP.1】ネタ出汁

「漫画ってどうやって描いてるんですか?」

「そりゃクリスタで…」

「そうじゃなくてどうやって描いてるんですか?」

「???????」

たまに聞かれる「どうやって描いてるの」という質問。かみ砕いていけば、手段というよりプロセスを聞きたいらしいのです。下書きをして、ペンを入れて…ってな具合で漫画の作画的プロセスなら説明は容易に話せるですが、どうやって思いついているのか?という作話的プロセスを説明するのはけっこう難しいのです。が、あえて答えるとすれば、

思いつくまでひたすら考える

しかないです。…ないですが、さすがに闇雲に無から考えているワケではなく、ちゃんと目星をつけて考えています。

【STEP.1-1】コンセプトから考える

その目星が僕の場合はコンセプトです。

『俺みそ』のコンセプトは

大学生の自炊

みそ汁

ラブコメ

でしたね。(前回【起】参照)。

これらを使って毎回一本の漫画を組み立てています。

では実例として前回上げた自称神回第11杯「車」を使って説明していきましょう!


この回はまず作品コンセプトの②みそ汁から話を考えてみました。どんなみそ汁を作る話にしようか…と考えはじめます。

このときヒントにするのは、作ったことがあるみそ汁や、レシピ集のみそ汁やみそ汁以外のスープなどです。馴染みのあるようなみそ汁の話にするか、すこし変わり種のみそ汁にするかなど、シリーズのバランスを考えて決めます。

考えているとふと、

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というワードが頭に浮かび、第11杯は「」を扱った話にしようと決めました。

お麩を使ったみそ汁をサーチしていくと、「車麩」という大きな麩の画像が目を引きました。これだ。これを主軸に他のコンセプトにも沿った話を一本組もう!となります。

今度は車麩の「」から、彼らは大学一年生でまだ免許をとっていないだろうという設定が浮かび、免許や車がほしいなぁという至極大学生らしい願望を話題にしてもらいました。これで①大学生の自炊もクリアです。「きょうふのみそしる」がLINEで送られてくるところなんかも大学生っぽいなと思ったりしました。(ダジャレ自体は古いですがLINEというチャットツールが)

次に③ラブコメ要素は車麩から派生して、二人でドライブデートをしている妄想が思いつきました。天然の竹之内君らしいナチュラルな妄想が小梅ちゃんをドキドキさせる、というオチまでできました。

こんな感じで一つ決まれば派生して考えていけます。3つのコンセプトにより話題からオチまである一本のお話しができあがりました。

僕は漫画を描くときはフルデジですが、こうした構想の段階ではノートを使って考えています。シリーズに対して一冊のノートを愛用することでモチベーションを保っていたりします。その本邦初公開の構想ノートがこちら↓

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きったな…

このノートを下敷きにネームという漫画の設計図を描いていきます。

ノートをよく見るとラストに関してはメモにありません。このあたりは筋だけ決まっているので、描いてみて竹之内君がどんな言葉を言うか、そして小梅ちゃんがどう反応するのか?みたいなものはネームに委ねています。ノートで決めちゃうときもありますが、実際に描いて動かしてみないと分からないところもあるのでこの段階ではガチガチに作りすぎないのもミソです。


その他の回もちゃんとコンセプト発進で話を作っています。

第11杯は最初に②みそ汁からスタートさせましたが、これが①大学生の自炊にフューチャーした話にしたいと思ったときは第10杯のように訪問営業のめんどくささを描いてみたり、

ラブコメ色強めに描いてみようとしたらば第9杯のように竹之内君を異性として意識しちゃうようなハプニングや小梅ちゃんのストーリーを進めるような話になります。

前章にて、作品を作る上でコンセプトを必ず1つ死守すると書きましたが、単純にはじめにコンセプトの1つから話を作れば必然的に死守できます。これがシリーズとして継続して描いていくためにたどり着いた僕の漫画の作り方でした。

長々書きましたが、正直この【STEP.1】までで僕の中ではすでに漫画の70%が出来上がったも同然です。

もちろんこの後の過程も、「読みやすさ」を生むためにとても重要になってきますので紹介したいと思います。

※ちなみに、9、10、11杯を並べて紹介したことで勘のいい方はお気づきかと思いますが、毎回意識して出発点とするコンセプトをローテーションしていたりします。シリーズとして各話の読み味を変えてお客さんを飽きさせないためです(あと自分が描いてて飽きないように)。これをすることでゆるぎないコンセプトから多様な話も作り出せるのです。


【STEP.2】ネーム兼下書き

ノートにて漫画に盛り込む要素が決まりました。

「車麩」のみそ汁を作り、車を話題に2人のラブコメが展開される

あとはそれを4pという短いページで面白く魅せるだけです。だけ…

そんな簡単にはいきません

いくらゆるぎないコンセプトをもとに話を作ったところでその魅せ方が不味ければ誰も面白がってくれません。なのでこのネームの作業が漫画家が漫画の腕をもっとも試される場面と思っています。

まずは、コンセプトに基づく伝えたい要素を厳選することです。

【STEP.2-1】パズルのように置いていく

第11杯の場合は「車麩」という少し変わった具材を使ったみそ汁を一番魅せたいワケです。となると車麩を映す場面は印象的なものにしないといけません。そしてオチとなる小梅ちゃんの「可愛い赤面シーン」は欠かせません。となると赤面にいたるまでの話題となる「ドライブデート」を「車麩」の間に入れます。そしてこのままではいきなり「車麩」を出すことになってしまうので、新規のお客さんも読み始められるツカミとして「恐怖のみそ汁」というラインが送られてくるという場面を入れてみました。

僕はこんな感じでネームづくりとはパズルを組むようにひたすらロジカルにやっていくものと思っています。

肝心なのはパズルの四隅のピースのような絶対に配置が決まっているシーンを最初に置いておくことです。この場合だと「車麩」ですね。

Twitter漫画はページ数が少ないのでパズルのピースをそんなに必要としません。ですが、ついついピースを多く用意してしまいたくなるのが作り手の性です。泣く泣くピースを厳選するのですが、そのとき余って捨てるピースが少なくて済むように、繰り返しになりますが僕は最初の段階でコンセプトをしっかり守るのです。

続いては下書きも兼ねるネームの、やや作画寄りに気をつけているポイントについて語ります。


【STEP.2-2】何につけても読みやすさ

どんなにいいコンセプトも、読みにくければその面白さは伝わりません。読みやすさは何物にも代えがたいのです。

では、そんな読みやすさを意識して描いた僕のネームをご覧ください!

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おそらく「おい!読みにくいじゃないか!」と思われたと存じます。多分それは僕のきたない文字のせいです。すみません…。

セリフについてはデジタルで書いているのであとから自分で写植しています。その時にセリフの推敲とかもするので今はいったん置いておきましょう…。

ご注目頂きたいのは吹き出しの位置キャラクターの顔や目の位置です。

最初の1ページ目にだけちょっと赤で読者の視線をどのように誘導しているか示してみたものがこちら

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日本の漫画はページ単位で、そしてコマ内も右上から左下に降りていくように読むものです。なのでその法則が守られていればお客さんはスムーズに漫画を読めます。基本中の基本ですが改めて僕も気を付けてるんだよ!ってことをアピールしておこうと思います。(なんせ【STEP.1】がウエイトを占めすぎて他があまり語ることがないので文量のバランスが…)


もう一点、僕がネームのときに気を付けているのは特定のキャラのコマ内での配置です。先ほど日本の漫画は右上から左下へ降りると説明しましたが、つまりは右が上手で左が下手になる法則があります。これを踏まえて、そのページ内でよほど無理のないところでは会話の主導権を握る人物が右側にいるような配置を心がけています。この回だと竹之内君が終始主導権を握っているので常に右側にいます。そして小梅ちゃんは最後には赤面してしまうのですが、常に竹之内君に押されっぱなしで下手に居ます。そんなパワーバランスを左右の配置で自然に読者に感じてもらうのも枝葉のテクニックだったりします。

この工夫が気になった方は是非そこに着目してネームを読み返してみてください。もちろん『墓穴ちゃん』でも実践していますよ!

吹き出し位置とキャラの顔の配置が大体決めて、セリフを推敲すればネームの完成です。ここから清書をしていきます。

…と、ここまで書いたところで今回はまとめに入りたいと思います。


【STEP.2-3】まとめ

制作過程といいつつまだ形になりきっていませんがペン入れをする頃にはほぼほぼ漫画の出来は決まっているので(もちろん作画も大事ですよ!)、このネタ出し・プロットとネームの作業は本当に重要だと思っています。【】ではこの重要で時間のかかるプロセスを少しでも楽に、スムーズにするために意識していることを僕なりに紹介してきました。それは

3つのコンセプトのうち1つから話を作り出せば、

必然的にコンセプトを守った話を作れる。

そして、

読みやすさは何にも代えがたい要素

ということでした。今回も、あくまで僕が、ね。

次回は【】です。ペン入れ・清書について語りますが…ちょっと波風強めな内容になると思います。

どうかお付き合いいただければと思います。

ではでは





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