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僕のTwitter漫画の作り方!【起】

こんにちは、Twitterを砦に漫画を描いているきたむらましゅうと申します。

今回は、Twitterで僕が(勝手に)連載している漫画『毎日俺のみそ汁を』をいかにして作っているかを紹介したいと思います。

『毎日俺のみそ汁を』とはなんだ?となった方向けには…

以前ねとらぼ様に記事にして頂きましたのでこちらをご覧いただければ大体の内容がつかめると思います。

簡単に説明すると、女子大生の小梅ちゃんがひょんなことから同じアパートの竹之内君と出会い、付き合ってもないのに毎日食卓を共にするようになる…という漫画です。

ここからはどんな作品かを分かって頂いた前提でこれからのお話を進めていきます。でもなるべく読んでない人にも伝わるように書きます。

そもそもは製作過程について語ろうと思っていたのですが、結構な文量になってしまったので今回は【】としてTwitter漫画を作るのにまず僕が大切にしているコンセプトについてのお話ししたいと思います。

(【承】【転】にて原稿の制作過程を語り、【結】にて配信する過程を語る、という4部構成にしました。ぜひ最後までお付き合いいただけると幸いです。)

というわけで以下より【起】の本題です。

【STEP.0】僕が指すコンセプトとは

一般的にコンセプトとは、

企画全体を貫く一つの観点や視点

という意味で使われます。ただ僕が使う場合は、それがキーワードだったり、あらすじ(ログライン)だったり、作品の売りのことだったり全部含めた意味で使っています。便利。

このコンセプトがしっかりしている作品は強く、面白く、そしてブレずに伸びます。SNS発漫画で書籍化に至ったものは全てこのコンセプトが明確です。

『俺みそ』のコンセプトの話をする前にこんなエピソードをご紹介します。


【STEP.0-1】二石二鳥 ~幻?の第0話~

『毎日俺のみそ汁を』(以下『俺みそ』)は今年(2019年)の4月10日に連載をスタートさせた作品です。

といいつつ、実はプロトタイプの2p漫画をその二日前に流してたりしてます。


このとき「ナンバリング①の方を絶対バズらせるぞ!」と思っていたので、その布石としてのプロトタイプにはナンバーを振らずに発表しました。なぜこんなことをしたのかというと、中長期のシリーズ化連載を視野に入れたときに、一過性のバズで終わってしまわないためコンセプトをドカンと打ち出したかったからです。

ただ、それだと逆に大きなバズは見込めず、最初にしてはイマイチお客さんを呼び込めずシリーズ化が厳しくなると思い、しっかりコンセプトを打ち出す話と、しっかりバズらせる話分離したわけです。ちょうど「Twitter漫画の作り方」の記事をコンセプト製作アップロードに分けたようなものです。それだけ僕はコンセプトを大事にしています

結果的にこの作戦が功を奏して本命の第1話は9000RT40000いいねを頂き、僕のTwitter漫画キャリアで一番のヒットとなりました。

速度的にも凄かったようで…

一石二鳥を狙うよりも、漫画という石は描けば描くほど増やせるので、二石で二鳥を狙うのが吉だと思っています。なんか石っていうとソシャゲ感が凄いですが、ガチャは応えてくれなくても青い鳥はけっこう応えてくれます。


【STEP.0-2】揺るがない作品コンセプトが大事

とまぁ、長い前置きとなりましたが、作品を長生きさせるにも・バズらせるにも、しっかりとしたコンセプトが重要になってきます。これが揺らぐとシリーズ物だとネタ切れだのタイトル詐欺だの言われてお客さんは離れていってしまいます。悲しい。

『俺みそ』は①大学生の自炊、②みそ汁、そして③ラブコメをコンセプトに描いている漫画です。このコンセプトからズレてしまなわいように常に気を付けて描いています。

コンセプトにこの3つを選んだ理由については、

大学生の自炊…僕自身が料理が好きで大学時代いろいろと自炊してきた経験があったのと、Twitter漫画にグルメのジャンルが少ない(ブルーオーシャン)状態だったので、これはイケるなと踏みました。また、4月に始めるということでこれから新生活の大学生をターゲットに読んでもらえそうだなと思い、仕掛けてみました。

みそ汁Twitter漫画の制約である短いページ数の中で表現できるようなグルメで、ネタ切れを起こさない程度にいろんな種類を作れる物は…と探したときにみそ汁に行き着きました。あとから先行作品にみそ汁をテーマにした漫画があると知りましたが、方向性の違いもあって臆することはないぞと自分に言い聞かせました。みそ汁なら自分で日々作ることが取材にもなるので実益も兼ねられたのがもう一つの理由です。

ラブコメ…こちらはグルメとは逆にTwitter漫画における花形ジャンル(超レッドオーシャン)です。大体の漫画がここに分類できますが、グルメと複合することによってメジャーでも「異色感」を持たせることができるのです。また、グルメがそこまで流行っていないところでお客さんを引き込むには、こういった花形ジャンルからの道を作るのも手段の一つです。

しっかりとした作品コンセプトが出来れば、あとはそれに照らして話を一本一本作ってシリーズにしていけばいいのです。なのでコンセプト選び自体が超重要になってきますが、それについてはまた別の機会に語ろうと思います。


ちなみに、僕の商業作ここほれ墓穴ちゃんでもコンセプトは明確に決めています。こちらも元々(今もなお)Twitter漫画です。

気になった方は是非是非コミックスで通しで読んで頂き、どんなコンセプトで描かれているか予想してみてください(ダイマ)


…はい、もう答えを言いますと、①自滅系女子、②確信犯彼氏、③2人暮らしです。そんな作品ですので気になった方はページから試し読みもできますので少しでも触れて頂けると幸いです。

閑話休題。


【STEP.0-3】ただし、コンセプトにもゆとりを

コンセプトを遵守するに越したことはないのですが、それに固執すると完璧主義になって続きが描けなくなってしまうこともあります。しかし、それでもコンセプトは遵守すべきです。

ん?

続きをちゃんと描き続ける。でもコンセプトを遵守する。その両立のために僕は一作品に大抵3つのコンセプトを用意しています。

3つ全部のコンセプトをコンプリートできたときの漫画ってのはとてもきれいで会心の出来のように思えます。実際反応もよかったりします。『俺みそ』の場合だと「車麩」を扱った回がそれです。↓

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いかがでしょうか?①大学生の自炊みそ汁ラブコメの3つのコンセプトが綺麗に4pに収まっています。いわゆる神回ですね。自画自賛しておりますが、実際にこの回は11話目にして25000いいねという大台を頂きました。ほら

でも連載を継続していく上で己を律して〆切課して描いていくと、こんな綺麗に3つのコンセプトを盛り込んだ話はそうそうできません。正直に言うとそれができなかった回もあります。


先日のこの回は僕的にはギリ及第点の話でした。①大学生の自炊はギリギリ描けているように思いますが、②みそ汁はあくまでも作っている過程に留まっています。ページ数の制約に負けました。(このツイートの後に完成したみそ汁のイメージ絵を載せるという苦肉の策を取る)③ラブコメにいたっては…なんだかいちゃついてるようにも見えますがそこに「進展」がないので扱ってないのとほぼ同義です。

振り返っててちょっとネガ入りそうですが…作品を継続するということはとても大事なことなので、こういうギリギリ及第点な回でも出すときはあります。(もちろんそれすらかなわなかった没ネタもたくさん存在します。)

ただ、継続することも大事ですが、お客さんに楽しんでもらえる最低ラインは確保しておかないと、シリーズ物全体の沽券にもかかわるわけです。

そんな葛藤を日々しているのですが、その最低ラインの基準として、3つのコンセプトのうち必ず1つは死守することを設定しています。これ、逆に言えば1つさえコンセプトを死守できればOKなのです。これをコンセプトのゆとりとしています。落としどころってやつですね。

このゆとりを設けることによって、シリーズを続けられていますし、ひいては小梅ちゃんの過去話とかを描くことができたのです。これについては未読の人にはネタバレになりそうなので一応伏せときますが、その回は①大学生の自炊と②みそ汁要素が皆無なのです。それでも③ラブコメというコンセプトをシリーズ全体で守っていくのに必要な回であり、全部のコンセプトを守ることに縛られていたら作品の世界は平行線だったかもしれません。

もちろんエンドレスな日常もよきエンタメになりうるのですが、僕がエンタメを描く上ではこのゆとりによってたまに均衡を崩したり保ったりをしながらお客さんを楽しませたいなぁと思っています。

ただ、やっぱり3つのコンセプトがカチッと合わさったときに生まれる話は自分でも描いていて気持ちがいいですし、お客さんの反応もいいので常に狙ってます。そんな、いわゆる神回が来たら躊躇せずにいいねやRTをしてあげてください…!もっと頑張れます!


【STEP.0-4】まとめ

自分に甘いのか厳しいのかよくわからないコンセプトの話でしたが、僕は「自分が描き続けるために甘くお客さんの楽しみのために厳しく」でやっています。自主連載だからこそこんな塩梅が大事なのかもしれません。

そんな甘辛ミックスな僕ですがTwitter漫画においては

ゆるぎない作品コンセプトを持ち、それを守ることが

バズったり・シリーズ化したり・神回を作るために重要

だと思っている、という話でした。あくまで僕が、ね。

さて、次回は【承】の制作過程・ネーム編です。

今回説明したコンセプトをもとに『毎日俺のみそ汁を』の話を作っていくプロセスをお伝えできればと思います。

ではでは




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