第四章 販売後の戦略         4−1 大型セール施策


はじめに


Amazonでは主に


・プライムデー

・ブラックフライデー


の2種類が存在しています。


プライムデーは通常夏のみに行われていましたが、2023年からは秋にも開催されました。


この2大イベントはAmazonで販売を行う上で有効活用したいです。


このセールの落とし穴として、「とりあえず参加しておけばメリットがある」と認識してしまうことです。


確かにそれ自体は間違いではないですが、中長期的に収益を発生させるためにセールへあえて参加しない商品というのも存在しますし、参加する商品にしても雑に参加するのは良くないです。


しっかり戦略立てて参加しないと、その時だけ売上が上がってその後は結局今までと変わらないくらいのランキングで推移しているなんてことにもなりかねません。


その時だけ利率落として売上だけ増やしたというならまだマシで、赤字で販売したことにより、ただボランティアをしただけで終わったという結果にもなりえます。


しっかりとセールの施策を行うことによって、平常時の売上に対して数倍から数十倍の実績を叩きつつ、セール後の販売ペースもアップさせるための施策を行いましょう。






【セールイベントに参加すべき商品】


1.AmazonでSEO対策をしたいもの


SEO対策をしたいのであれば販売実績を伸ばすのが一番手っ取り早いです。


そして販売実績を伸ばすためにはセールイベントへの参加は欠かせません。


セールイベントはそのセール内容によりますが、

特にAmazonでは

・プライムデー

・ブラックフライデー

の2大セールに関しては各方面へセール告知の広告を行います。


日常生活の中で

・テレビCM

・ネット広告

・インフルエンサーのPR

・駅のサイネージ

などでプライムデーやブラックフライデー開催の広告を目にしたことがないでしょうか?

このような普段Amazonを利用しない人向けへの広告も積極的に行うのが2大セールです。


で、それだけ告知をするとたくさんのユーザーがAmazonに集まるわけでして、セール開催日は一気に売上を伸ばすチャンスと言えますよね。


もっと噛み砕くとSEO対策をできる絶好の機会というわけです。




2.消耗品やリピート購入する類の消費財


消費財は使い切る、または頻繁に使用するため、定期的な購入が行われます。


このような商品は、セール時に大量に買い溜めされる傾向があります。


定期購入される商材ならセールで安売りしている時にまとめ買いされてしまうと勿体無いのではないかという考え方ももちろんできます。


セールに参加するメリットとしては、今まで愛用してくれていたユーザーに対しての還元に繋がり、それによって口コミも誘発しやすくなることで、新規顧客との接触機会を作れる可能性も増えるという点です。


購入者の口コミほど強い広告は存在しません。


安売りしたことによる利益減少以上にメリットを見出せる可能性があります。


もちろん短期間で実績を作ることによるSEO対策によっても新規顧客との接点が増やせる利点もありますよね。


上記2つに当てはまる商品は積極的にセールへ参加すべきですが、セールイベントって2~3割以上の値引きが条件だったりします。


粗利率20%以下の商品ならこの時点で赤字確定ですし、広告費も考えたら粗利率30%でも厳しいかもしいかもしれません。


「赤字になっちゃうから参加できないです」って人ももちろんいると思うのですが、ここでの一時的な赤字は、未来の売上とブランド知名度の向上のための投資として考えるべきです。


短期的な投資を怠ると、長期的な成果も得られないという可能性も考慮して、SEO対策をしたい商品なら積極的に参加すべきと言えます。


セールへ参加すべきでない商品

1.利益最大化のフェーズに入っているもの


この段階での商品は、セールというイベントを利用して、購入を迷っている未来の顧客を獲得する必要が少ないです。


2.一度購入したら再購入は基本しない高単価な商材


安値売りは時として商品とブランドイメージを低下させる引き金になるということを把握してください。





セールイベント前の仕込み


1.公式セールへの申請

主にパターンとしては2つあり、


・担当より案内されるもの

・タイムセールに自分から申請するもの


に分けられます。優先度としては担当より案内されるものが最上位です。


この案内が来た際には一般的にエクセルファイルでセールへ参加申請するASIN情報等を担当のメールに返信する形で処理を行います。そこから審査が入り、問題なければ無事に参加となります。



こちらの案内が来なかった場合は、セラーセントラルの広告メニューからタイムセールページへ飛んでイベントごとのセール申請を行います。



ブラックフライデーを例にすると、

・おすすめタイムセール

・数量限定タイムセール

が存在します。


おすすめタイムセールが1商品あたり16000円

数量限定タイムセールが1商品あたり4000~8000円


の参加費用がかかります。


先ほどの案内によって参加するものは基本無料でセールに参加できるのに対して、こちらはかなりの課金が必要になります。




ちなみに無料で参加できるものとして「プライム会員限定割引」という方法も存在します。


こちらはプライム会員のみが対象となりますが、セールイベント時にセールバッジが表示されますので、イベントの限定感を演出するという意味では有効です。

できるだけ早く売上実績を作って案内型のセールに参加するようにしましょう。




2.公式セールの割引率調整

セール期間が売れやすい理由は値引き額以上に、そのタイミングでしか買えないチャンスだからという心理状況が大きいと個人的には考えます。


かと言って、割引が少なくても絶対OKかと言われたらそうではありません。



例えば、セール期間中に同一ニーズを満たす商品AとBが存在した場合、


・商品A:セール価格1100円

・商品B:セール価格1800円


商品内容やレビュー内容等にそこまで差がない2つの商品が並んでいた場合、あなたならどちらの商品を買いますか?



これ、引っ掛けとかでなく誰がどう考えても商品Aを買う人の割合の方が多いのは当然です。




もちろん、値段の高い商品Bにブランドのファンが付いていたり、見た目が若干Bの方が好みだという人がいれば一定数はBも売れるはずですが、特にその辺のこだわりがない人達、大衆心理としてはAに流れます。




結果的に何を言いたいかというと、とりあえず最低割引率で設定しようという考え方をするのはやめようということです。


仮に先ほどの商品AとBで、元々は商品Bの方がSEO対策もしっかりできていて売れていた場合でも、このセールによってそのポジションを商品Aにひっくり返されてしまう可能性が十分にあります。


今は商品Bの目線で話しましたが、自分たちが商品Aの場合もあるはずです。普段は勝てていない競合に対して状況をひっくり返す一手になり得るという話なんです。


だからこそ、競合のセール価格も把握してください。




3.外部での仕込み


セール前に外部での仕込みもやっておきましょう。




主にインフルエンサーやYouTuber、各種メディアが対象です。


平常時は、


YouTube>>>インフルエンサー>メディア


くらいの優先度で考えてOKなのですが、セールに至っては少々異なります。



インフルエンサー≧YouTube>>>メディア


という優先度で考えてください。




というのも、イベントは刹那的なものですので、動画を投稿すればレコメンドで再生が回り続けるYouTubeのメリットがここでは活かせません。




もちろん、それでもセールタイミングでYouTuberさんが動画を上げてくれればかなり購入に繋がるので強いとは言えます。



それ以上に依頼の工数も少なく、対象となり得る依頼先が多くなるインフルエンサーがセールイベントにおいては相性が良いです。




SNSの利点として、例えばインフルエンサーがPR投稿をしてくれたのを見て、「私も買いました!」みたいなコメントが他ユーザーのタイムラインにも表示されることで、更なる購入へ繋がりますし、そこから購入した人たちが「これセールだからポチった」「めっちゃ安いから買いだめしといた」みたいな呟きをすることでまた更に拡散されていきます。


ここ数年では外部トラフィック経由での売上をSEOアルゴリズム的にも高く評価するというデータが存在しています。



1.セール1週間前


商品にもよりますが、セール時に検索順位をなるべく高い位置で維持しておきたいので、広告設定はCVRが低くなっても弱めたり絞ったりしない方が良い場合が多いです。


むしろこの後解説しますがセール時の仕掛けとしてリマケを回したいので、そのオーディエンスを集めるためにも強めに広告配信しても良いとまで言えます。


広告数値が悪化すると言う前提ですが、下手に配信を弱めずに


・SEO対策

・リマケ対策


の2軸で配信を推奨しています。


2.セール時


万人へおすすめ設定としては


・入札単価1.5倍

・日予算10倍


こちらで設定を推奨しています。


ただ、これはあくまでも万人に推奨するものであって、商品内容によっては元々ToS(検索最上部枠)狙いで入札を高く運用していた商品とかもあるでしょうから、そういったものは入札単価を変えずに日予算だけ上げることで対処するでも大丈夫です。


そして、普段SDリマケを活用していない方もこのタイミングは活用してみても良いです。リマーケティングは強めにかけるなら過去30日以内に自社商品へアクセスしたユーザーを対象にすべきですが、お試しの場合は一旦過去7日以内とかで絞るので良いと思います。


これはセール1週間前の部分で行った布石の回収です。


自分たちの商品ページから離脱してしまったユーザーを呼び戻すための広告として活用してください。



3.セール1週間後


セール終了翌日から一気に売上が落ちるケースが一般的で、日毎のセッション数や広告imp数を比較してもこの期間は目に見えて数値が低く、CVRも悪化しがちです。


つまり、お客さんが来ないだけじゃなく、自分たちのページに来てくれたお客さんも成約しにくいというダブルパンチで悪影響を受けるわけです。


じゃあこの期間の広告設定はどうしましょうか?


これもパターンによって最適解が異なると考えています。


万人に推奨できるのは入札単価70%調整です。


成約率が悪化する期間に広告を配信しても効率が悪いだけです。この期間はできるだけ入札を抑えめにしてコスパよく運用することを心がけましょう。



ただ、これも全員が考えなしにそうしろって話かと言われれば実はそうではありません。


例えばですが、セールイベントでかなり良い実績を獲得できた商品、具体的には競合よりもランキング上位を獲得できた商品です。これに関しては短期間での良い実績が広告スコアにも追い風を吹かせる傾向にあります。


今までなら100円入札をしないと表示できなかった場所が、80円入札でも取れるようになったりする感覚です。


このタイミングで入札を落としても良いですが、自分たちはあえてそのまま平常時の入札設定でいくケースを採用することが多いです。


普段と同じ金額で、もっと良い面に広告を配置できると考えるためですね。




日本の中小企業バッジ


ブランド登録が完了している場合は販売直後に日本の中小企業バッジ申請を行いましょう。

ベストセラー、Amazonおすすめ、クーポン、タイムセールなどのバッジと比べるとあまり目立つものではありませんが、せっかく我々日本人セラーですので取れるものは取っておきましょう。


費用とかもかかりません。

ブランド登録している日本人セラーなら取得可能です。


①テクサポに問い合わせ

※ブランドサポートではない


②以下の情報提出

・ブランド名

・会社名

・会社住所

・出品者トークンID

※個人の場合は個人名と個人住所


テクサポ問い合わせ文章テンプレ


いつもお世話になっております。

日本の中小企業バッジ表示を行いたく申請させていただきます。

以下、御社ヘルプページに記載してある提出必要情報です。

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会社名:「あなたの会社名or屋号」

住所:「あなたの住所」

連絡先:「あなたの電話番号」

「あなたのメールアドレス」

ブランド名:「該当ブランド名」

出品者トークン:「出品者ID」

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お手数をおかけしますがご確認よろしくお願いいたします。


CTR/CVRが向上するとかはそこまでないはずですが、上記画像でもわかる通り、商品の戦友面積が少し大きくなります。



多少のCTR/CVR改善に貢献してくれる可能性があるお守りくらいの感覚で申請しておきましょう。


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