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国際商事仲裁 Day3

0 本稿のポイント

・NY条約は、仲裁判断の承認と執行に関する統一的ルール

・UNCITRALモデル法は、各仲裁機関の仲裁規則の基となる仲裁ルール

・国際仲裁のリーガルフレームワークでは、最上層にUNCITRALモデル法、次に仲裁機関等の仲裁ルール、最下層に契約上のルールがくる。

1 NY条約とUNCITRAL

 150を超える多くの国が加盟するニューヨーク条約。この条約は、1958年に成立しました。これによって、ニューヨーク条約に加盟する国では、仲裁判断は原則として承認、執行されるものとなりました。

 そして、国連は、1966年、国際取引に関する条約やモデル法を作成する機関としてUNCITRAL(United Nations Commission on International Trade Law)を設立し、仲裁に関し統一的なルールを策定すべく、1976年UNCITRAL仲裁規則、1985年にはUNCITRAL国際商事仲裁モデル法を制定しました。日本の仲裁法もUNCITRALモデル法に依拠して策定されています。

2 国際仲裁のリーガルフレームワーク

 SIACやJCAAなどの各国機関の仲裁規則は、UNCITRALモデル法を基に作成されています。その意味で、UNCITRALは国際仲裁のリーガルフレームワークの中で、最上位に位置するものといえるでしょう。通常、契約書で仲裁条項を入れる場合は、SIACやJCAAなどの仲裁機関も記載することが多いので、その仲裁機関の仲裁規則が仲裁のルールになることが多いですが、仲裁機関を用いない仲裁(いわゆるアドホック仲裁)においては、UNCITRALモデル法がその当事者の仲裁ルールとして指定されるケースが多々見られます。

 仲裁機関が指定されることが多い実際の実務では、仲裁のルールはSIAC規則やJCAA規則など仲裁機関のルールが指定されることが多いです。

 ただ、当事者は、仲裁手続において、そうした仲裁機関等のルールだけでなく、契約書に仲裁手続き等関し、別途ルール等を定めていた場合は、その指定された仲裁機関のルールに反しない範囲で、契約上のルールも適用されることになります。

 図にすると、以下のような形になります。

 今回は以上になります。若干わかりにくいと思うので、質問があったら、遠慮なく質問してください。

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