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8月の思い出

また恋人に会うために飛行機に乗っているな、と思った。あんなに辛い思いをしたのに性懲りも無く遠距離恋愛をして、性懲りも無く長期休みに飛行機で会いに行こうとしている。

今回の恋は失敗しないだろうかとふと不安になる。過去から何か学びを得たいのに、いつだって目の前のことに対処するのでいっぱいいっぱいだ。過去にした失敗を絶対に繰り返さないようなプログラミングが自分にされていればいいのにと思いながら窓の外を眺める。あの時は窓の外を眺める余裕さえなかったことを思い出す。

鹿児島には3泊した。彼とは予定が合わない日もあったので鹿児島の知人が流しそうめんやサウナ旅行に連れて行ってくれた。鯉を初めて食べた。

1時間半待った流しそうめんは格別の味
家族風呂にサウナがついていた


翌日、彼と合流して野外美術館に行き、その後牧場で乗馬体験をした。

馬、可愛い


彼の知人のレストランで美味しいフレンチをご馳走になり、ホテルのバーでカクテルを飲み、早めに帰ってお部屋でゴロゴロしながら眠りについた。ふと目覚めると彼がベッドの遠いところにいて、どうにも寂しくなり、後ろから抱きつくと、微睡みながら彼が振り返って抱きしめてくれて、私はその時ひどく安心した。自分がもう孤独ではないと思った。

彼は今回の旅行日程を分刻みで考えてくれていて、その不器用さと一生懸命さがとても可笑しくてそして何より嬉しかった。いつも抜けているような気がしていたけれど、私が思う以上にこの人は私のことを沢山考えてくれているんだろうなと思った。

保安検査場を潜り抜けながら何度も振り返って手を振る。なぜだかこのシチュエーションは私の人生に多くて、これまで何回も検査場越しに色々な人と手を触り合ってきた。送る側としても送られる側としても。その場で号泣してしまったことや、背を向けてから涙が溢れたことが一度や二度ではない。

その時と比べて、自分の気持ちに変化はあるのだろうかと荷物検査を通しながら考えていたけれど、昔のことなんて鮮明に覚えておらず、そこにドラマのようなものは特になかった。

ただ、なぜだか手を振りながらまた明日も彼と飲みにいくような気がしてしまって、それぐらい気軽なひと時の別れとして、私がこの関係を捉えられていることを嬉しく思った。彼も同じ気持ちだといいなと願った。

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