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わたしとオールユアーズ

「オールユアーズ」という名前を見つけたのはいつだったか。確か2018年くらいだと思う。

Twitterを眺めていると、ヒゲとメガネの男性がつぶやきをしていた。そう、木村さんである。

正直なところ、最初からオールユアーズを好きだったわけではない。むしろ嫌っていた。

クラウドファンディングを連続でやって、よくわかんない服を作ってる胡散臭い会社だと思っていた。


僕もかつて広島の中心部にあった小さなセレクトショップに勤めていた。
当時は雑誌に出た洋服は飛ぶように売れ、なんならヤフオクに出せば異常なまでの高値で売れたりすることもあった時代。
流行を追い求め、着たくもない服を毎日身につけ、客に似合いもしない服を大量に売っていた。いや、売りつけていた。

アパレルを辞めてから、しばらくはお店で洋服が買えなくなっていた。裏の裏まで見てしまったからだ。
「こんなものを売りつけていたのか」と思うと、日々罪悪感に苛まれた。

それから数年は、ジーンズとTシャツとスウェットだけあれば困らなかった。

でもそれでよかった。


話を戻すと、Twitterのタイムラインに流れてくる、不思議な洋服たち。

伸び縮みする「ハイキックジーンズ」
脇汗かかない「ハンズアップシャツ」
洗ってもすぐ乾く「ファストパス」

怪しさはあったが、その機能的でプレーンな、「地味な服」に、少しずつ惹かれていった。
その服は、僕がこれまで店で扱ってきたものとは全く違った。着る人のことを真剣に考えて作られていた。

そして、気がつけばほぼ毎日オールユアーズのアイテムを身につけるようになっていた。

どんな人が作ってるのか知りたくなった。




Twitterでは、オールユアーズの共同代表である木村さんに、失礼極まりなく絡んでいった。(原爆に関するツイートには、本気で頭にきて書いた記憶がある。笑)

そんな木村さんが、「着た着て」の全国行脚で広島にも来ると見かけて、妻と会場へ足を運んだ。
そこにいた木村さんは、想像とは全く違う、物腰の柔らかい紳士だった。

広島から次の目的地へ向かうらしいが、泊まるところは決まってないと言う木村さん。

「泊まるとこないなら、うちに泊まりに来たら?」

冗談半分で言ったら、彼は本当にうちにやってきた。


僕も大好きな「北の国から」を一緒に観たり、


娘を抱っこしてくれたり、


うちの集落を関心を持って見てくれたり、

そんなことしてくれるアパレルの社長なんて、見たことも聞いたこともない。

ただただ人間として素晴らしい人だった。


そんな彼が手掛けるものを、僕は心底気に入ったのだ。


だからこれからも、僕はオールユアーズを身につけて生きていく。

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