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もったいないと思う、高成長ベンチャーの成長の鈍化

高いポテンシャルを持ったベンチャーは意外と多い

IT系に限らず、優れた高成長ベンチャーは意外と多い。
しかしその多くが初期の勢いを維持できないまま成長が鈍化していく。
本当にもったいないなと思う。
そもそも高成長の軌道に乗せるまでが相当な挑戦であり成功だ。
(この軌道の乗せるまでの必要なことはまた別にアップしますね)
そして、それを突破した高成長な企業ならばそのままの勢いを持続することは十分に可能だ。
が、、、実際にはここで成長鈍化する企業の多いこと。
節目はおおよそ、上場だと思う。そこから遅くても3,4年で成長が鈍化する。
理由ははっきりしているが、多くの投資家も経営者も気づいていない。

海外のベンチャーはなぜ伸び続けるのに、、

米国や中国を始めとしたベンチャーは上場前後に関係なく
優れた高成長ベンチャーはひたすら高成長を続ける。
それこそ、マーケットの巨人になるまで成長する。
しかし日本のベンチャーでそこまで行った会社は何社あるだろうか?
別に世界と比較して巨人になれてないという話じゃない。マーケットの規模が違うからね。あくまで日本国内でだ。
十分にそれが可能な、優れた経営者、優れたビジネスモデルを持っていても
高成長を持続できない企業にはすべて共通項がある。
数多くの企業のこのプロセスを見てきたし、もちろん自分自身が前職で同じパターンになったからこそ、わかることがある。
勘違いしてほしくないのは、鈍化しないベンチャーももちろんある。
そういう会社は、成長鈍化の大きな理由をクリアしているのだ。
ただ数が非常に少ないというだけだ。
成長が鈍化する理由は2つある。

成長鈍化する理由は投資家の一言の影響もある


1つ目は、上場後に必ずみんなが陥る「株価が経営者の成績表」という考え方だ。

いや、これ自体は正しい。問題はそれを気にしすぎるあまりに経営者が呪縛に陥ってしまう。
これまで多くの新規上場企業の経営者が陥る罠は、投資家からくる当たり前の期待の言葉だ。
「売上の成長はわかりますが、利益も同じように伸びますか?
特に赤字上場が不可能に近かったころは、利益を出さねば上場できなかった。その結果成長に必要な投資を控えめにして利益を出さない限り
高成長していても永遠に上場できなかった。

今はSAAS、サブスクモデルの企業やAI、バイオのような研究開発型の企業の場合は赤字でも上場できるようになったことは本当に素晴らしい。

そもそも例えばだが50%以上の成長を続ける企業の場合、(ITを駆使して売上と人がほとんど比例しないようなBtoCの一部のビジネスモデルを除けば)50%もの成長をするには40%程度は組織も拡大する必要がある。
(生産性の向上は一旦ここでは無視します、生産性の向上というのも成長拡大と同じく大きなポイントですが、これはこれでできることが素晴らしい経営課題だからね)

しかも組織の拡大(人、設備投資、ETC)は1~2年前に行う必要があるのは当然だ。
そうすると50%の成長のために、1~2年前に40%もコストが増大するのだから、利益率が20%の会社だと、確実に赤字になる。いやならないほうがおかしい。
そうなるとおおよそだが利益率を超える成長率は赤字にならない限り不可能なのだ。
もちろん、ビジネスモデルにもよるが、BtoBの多くの場合は間違いなくそうなのだ。
逆に組織の拡大が必要ないビジネスモデルだとすると、極めて参入しやすいビジネスモデルであるといえる。

この問題は前述したSAAS、サブスクモデルの企業においてはかなり解き放たれていると言える。おそらく今後は売上高の成長率が高い企業の場合はどんどん赤字を認められるようになっていくだろう。
私は多くの高成長な新規上場企業の経営者には
高成長である限りは売上の成長のほうが、利益よりも重要なので、利益を意識する経営はやめたほうが良い」とアドバイスをしている。

最大の成長の阻害要因は人材

海外と日本の高成長ベンチャーでもっとも大きな違いは人材の流動性だ。
日本も人材は流動化しつつあるように思えるかもしれない。
これだけエージェントや人材獲得のサイトも増えてるしね。
しかし、これはあくまでも平均的な人材であり、優秀人材が動いているわけではない。
そもそも、一流企業に多く存在しているポテンシャルの高い人材はなかなか30歳前には動かない。
すなわち若くて優秀な人は流動化していないのだ。

海外では高い報酬とポストを提供できれば、かなりのレベルの人材を集めることができる。
しかし日本では報酬やポストではなかなか優秀な人材は動かない。

もちろん、優秀な人材も動いてはいますよ。ただ絶対数が少ない中で
そのような人材を多く集めることなど今の日本の流動性の低さからは不可能だと思います。

例えば前職では中途採用の経験者の採用は合格率0.5%以下でした。
エージェントを使って集めて200人紹介されて、ようやく1人。
これでは、50人の優秀な人材を採用するには、年間1万人エージェントから紹介して貰う必要があるという全く現実離れした話になります。

なので多くの経営者は「優秀」な人を取ることよりも、「平均的な人」を採用してなんとかしようと考えるわけです。そしてそれだけでは厳しいので、組織化することで人の力だけではなく組織力でなんとかしようとも考えるわけです。

組織力では高成長は持続できない

でも考えてください。ここまで高成長でこれたのはいろんな問題が起こっても、それを優秀な経営者や創業メンバーの力で乗り越えて来たからこそでしょう?
組織力で、もしそれほどの高成長ができるなら日本の一流企業はもっと成長できるはずです。組織力は安定した事業を緩やかではあるものの確実に成長させることはできても、決して高成長に伴う革新はできないのです。
高成長に必要なのは経営陣との一体化をしつつ、優秀な人材が多くの権限移譲を受ける必要があり、
これがなければ急激に成長に伴う問題の解決速度が落ち、結果的に成長速度は落ちていきます。

優秀な人材はどこにいる?どうやって集めればいい?

前述したように、優秀な人材でなおかつ経験豊富な人材など、探しても簡単に見つかりませんし、見つかっても多くの企業との採用競争で採用はこんなんです。
じゃあどこにいるのか?
簡単です。
新卒です。多くの優秀なポテンシャルの学生を集めるのです。
同様に採用競争の激しい職種(例えばITエンジニア、コンサル)ならばその職種未経験の中途採用です。ここにも優秀な人材はいます。

どちらも、共通して言えるのは
「ポテンシャルの見極めが難しい」
「教育に時間がかかる」
さらに新卒の場合は
「社会人教育から行うのでもっと大変」
「一流企業へのブランド志向でベンチャーでは優秀な新卒は取れない」

等などの理由で考えたことはあっても行っていないケースがほとんどです。

そんなことはないんです。
実際優秀な人材であれば平均的な人の3倍以上の速度で成長します。
一年たてば一般の三年生と匹敵しますし、3年経てば10年生に匹敵します。
先行投資で経験者の採用よりも大きなリターンが得られるのです。

これが前職のワークスの社員が多くの人材輩出企業になれている秘訣です。
この前職で行っていた、ポテンシャルを見極めるインターンや、採用後のポテンシャルを引き出す教育について、多くのベンチャー企業の経営者から方法論の問い合わせや、実施してもらえないかという声が多く
パトスロゴス社で、提供できる準備をしています。
もし、高成長ベンチャーでご興味があれば多少はご相談に乗れるかもしれません。

それはともかく、次回はもう少し詳しく方法論を皆様にお伝えしたいと思います。

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