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東京へはもう何度も行きましたね     君の住む住む美し都

 四国の地方都市に生まれ育った者には、東京は、様々な意味合いで、巨大な遙かな都であった。巨大すぎて想像もできない大都市でした。
 高校時代の修学旅行、大学受験で2校、自信満々なのに二つとも落ちて、体験受験の気分で受けた京都の私学、それだけ。そして入学・中退、引き籠もり数年。社会参加しても故郷ではいずらく、いたくもなく、出奔した。
 以来47年、現住地明石に自宅を建て、孫までいる。
 青春時代インパクトのキツかった東京、故郷を出たのはエッセンシャルな公務員になって、そのうち別の仕事を探してと思いながらも、内部試験を受けて通り、26歳のとき、三回目の上京、長期研修で半年間、いろいろなことを学びつつも、東京という巨大都市での経験、いまからすれば、もっともっともっと体験するべきことが、たくさん残っていた。
 しかし、いったん、その組織にはめ込まれると、もう抜けられない。なまじ引きこもりの経験があるだけに、また根無し草はかなわない、いやだという感覚が常に心の奥底にあった。ましてや結婚、子の誕生、しかも次々と四人に増えた。
 その後も、いろいろな会議や出張で東京へ行く機会は、あった.何度もいろいろなパターンで。しかし大半は、仕事がらみ、仕事の合間に、見聞を拡める余裕はなかった、ハードだった。
 退職して、叙勲を受けに、妻と皇居へ参内した。いまの上甲様に拝閲したとき、妻に喜んでもらえた。いい天気だった。
 このときの旅行に、旅行社で、「東京は、ご存じですか。」と聞かれて、「はい、人並みには知っています。」と自信を持って答えた。
 東京は、広い。知ってますって言っても、たかがしれている。
 それでも東京、いろいろ感慨深い思いでのある街である。

#上京のはなし

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