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平野啓一郎著「決壊 上・下」を読んで

 上巻は、読書ペースが遅々と進まなかった。誰が主人公なのか、よくわからない。それなりに伏線はある。殺人事件バラバラの遺体、背後に不可解な精神病質的考え方や男女・友人・家族の関係など、異様な世界が広がっている。実際、そうかもしれない。少なくとも、私には、ちょっと理解しがたい世界ではある。

 主人公は、優秀な学業を終え、国会図書館の職員。官僚としても優れた地位にある。友人も女性関係も、恵まれている。殺人事件の被害者である弟は、一般的な悩みはあるが、妻も幼い子もある。妻からは、SNSで、夫の隠れた動きも察知されている。

 主人公、被害者の父母、それないの葛藤、それはそれで、どこにでも、様々な形で存在する。昔は、男女、夫婦の洗濯も、両性の合意によらず、社会状況によることが多く、選択自由のないことも多かった。

なんやかやと複雑怪奇な関係の中で、殺人事件が、突如して起き、主人公は、物的証拠も、特にないまま逮捕・拘束される。

 一方で、神戸で発生した中学生による幼児猟奇殺人事件を参考にした、酒鬼薔薇聖斗事件を思わせる少年が犯人として特定される。

 精神疾患・精神病質が考えられるだけに、非常に理解が苦しい、難しいところである。実際の少年は、医療少年院を仮退院、その後も社会をいろいろ騒がせている。こういう病気は、治るわけがない。治る病気でもない。

 スリラー小説として、読み進めていくこと自体は、面白い。

 読後感として、若い頃に読んだ欧米露日の小説や中国を含む漢文古文西欧の文学や歴史から学べるものがないように思う。

 暇潰し、世間の奇矯な生態と考えれば興味が尽きない。

 評論や感想文ではなく、読んでみるのが一番だ。

 小説家も俳優と同じで虚構なのだ。

 静かにものを考えると、ロシアのウクライナ侵攻、コロナ蔓延も、実際に直接なんらかの害があったわけではない。確かに、ワクチンも打った、マスクもしている、だけど、テレビや新聞でみているだけ。

 どうなのか、実際は。

 戦争も疫病も、ほんとになったら死ぬだけ。

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