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渡辺淳一著『四月の風見鶏』読後感

 角川書店発行の渡辺淳一全集第3巻も読み終えた、あとは解説を読むだけ。それなりの専門家が書いているから、今後の読書にも、おおいに参考になるとは思う。

 最近、やみつきになっている。

 全集第20巻『おいらく』だったか、もう、あやふやになりつつある。高齢者とまではいかない、そこそこの年齢の男性が、おそらくは30代半ばのキャリアウーマンと不倫する話から、この渡辺淳一漬けは始まった。単行本ではない、全集なので、メインの小説の他、短編も入っている。

 ほんとに、つまらん、時間と労力の無駄だったという話は、まったくなかった。なかには、若干印象が薄いのもある、それは、好き好きだろう。

 今回、『四月の風見鶏』、個人的には、著者のいた札幌医科大学といえば、日本最初の心臓移植手術、事実上の失敗となてからは、様々な観点から批判された。

 そのとき、著者は、その札幌医科大学に講師として勤務していた。一方で、小説家としても、少しづつ頭角を現していた。

 著者の属する整形外科と手術をした和田教授の胸部外科、所属は違っても、同じ大学、同じ病院、近い部位(?)だけに、様々な思いがあったようだ。

 小説家吉村昭さんが、ただちに批判した。それに文壇、小説家である立場の著者が、実情や医学、医師の立場からの反論もしたようだ。

 結果的には、和田教授の実施した手術は、心臓提供者、被移植者の双方が死んだことで、失敗という結果になった。

 それを、著者が、小説にしたことから、大学内でもいろいろな意見となり、ついには、著者は、札幌を出て、東京に移り、本格的に小説家になろうとした。

 そして、死後も、まだ読まれる大きな小説家となった。

 確かに、その作品の成果は大きい。

 一連の動き、心臓移植手術に関する見解や退職して上京、知らない者には、「へぇー、そうなんだ。」ではある。

 人生そんなもんだ。

 人生は、その一人だけのもの。

 後悔や反省もあるかもしれない。

 でも、自己責任、思い切り愉しもう。

 この本も、面白かった。

 次は、第4巻を図書館で予約しよう。ひょっとしたら、全集を買って、部屋に飾るかもしれない。いい本でした、人生を振りかえるとき、参考になります。

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