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2024年1月15日(月)「内臓料理・からすみ」

今日の東京も晴れ。
朝の最低気温は2℃、日中の最高気温は11℃。
この時季にしては然程寒くはない一日でありましたかな。
今日は小正月。1月1日~7日迄が大正月、15日迄を小正月と言うようで、コレが終われば本格的に正月もおしまい、と言うコトなんですかね。さて、

先週末は「醗酵食品・手前味噌」についてお届けしましたが、本日は「内臓料理・からすみ」について書いて行きたいと思います。尚、からすみは内臓料理(魚卵)ではありますが、醗酵食品でもありますので、2つのマガジンに載せておきます。

からすみ。
ウニ・このわたと並び日本三大珍味の一つとされているようです。
結構知られていないのが、ボラの魚卵が原料になっていると言うコト。「今、からすみ仕込中なんですよ」と言うと、大半のヒトからは「アレって何の卵だっけ?」とか「アレって魚卵だっけ?」みたいな質問を受けるコトが多いですね。
多くの一般のヒトは、ボラってのは河口近辺にうじゃうじゃ群泳していて、身質が泥臭いサカナと言うイメージを持っているようです。確かに、河口のボラは臭いけれども、沖に棲むボラは全然そんなコトはないし、特に冬場の寒ボラなんてその味わいはマダイにも負けず劣らず、とも言われているホドなのであります。
でも、やっぱり市場に出回っているボラはデカいヤツでも1匹1,000円とかキロ数百円とかの値しか付かず、安いおサカナの一種であります。

トコロが。
秋~年末に掛けて市場に出回るボラの魚卵(市場ではボラ子と言ってます)の値段はハンパないんですよ。型が良くてキレイなヤツだと、キロ数万円もすると言う…。昨年シーズンの不定期パトロール(?)中に自分が豊洲市場で見た最高額のボラ子はキロ78,000円でしたからね…。
矢張り高級御節料理や年末宴会に向けて高級料理屋さんには欠かせない食材だからこんなコトになっちゃうのでしょうねぇ。とてもシロウトが手を出せる食材じゃあなくなっちゃうんですよ。
確かに、製品化されたからすみってのもエラく高い値が付けられてて1本(即ち、1腹の半分)でも3,000円位してたりしますからね~。

ただ、そんなボラ子も年末や正月明けになれば、ガクッと値段が下がり、然程品質に拘らなければ、4桁円台で買えるようになって来ます(ソレでも魚卵としては充分にお高いのですが)。安くなるのを見届けて、年末にキロ5,000円で3腹分のボラ子を購入しました(丁度1キロ)。

日本に於けるからすみの歴史は然程古いモノではなく、江戸時代前期に中国から伝えられたモノであるのだとか。世界的に見れば、古の昔からギリシャやエジプト等でも作られていたモノが欧州に渡ってイタリアで有名なボッタルガになったり(ボラ以外にマグロ使ったモノもある)、フランスやらスペインやらでも食べられたりしている模様。
アジアでは台湾のからすみ「烏魚子」(wu1 yu2 zi3:うーゆぃず)が有名ですが、韓国にもあるのだそう(韓国駐在中に全国の市場・漁港巡りをしたけれども、韓国のからすみは一度も見たコトなかった…)。
ここ20~30年では何故かオーストラリア土産でからすみを貰うコトも多くなってますが、コレはオーストラリアで良いボラが獲れるからである模様。オーストラリアで良質のボラ子取って加工して日本やら台湾やらに輸出しているのだそうです。まぁ、美味けりゃあドコ産であっても良いですね。

さて、買って来たボラ子を。
以前も何度か作ってますが、今シーズンも取り敢えず仕込み
たっぷりの塩(今回も伯方の塩を使用)に漬け込み、途中で出て来る水分を捨て乍ら漬けるコト1週間。1週間後に塩を流し落とし、真水で塩抜き丸一日。その後は日本酒に漬け込んで1週間。その1週間後からは、日中は天日干し、夜間は冷蔵庫干しを繰り返すコト1~3週間。コレでからすみの完成。ヤルこと自体はカンタンなのですが、チト手間暇は掛かります。

お味の方は、矢張り美味いですねぇ。
今回のは塩抜きが甘かったせいか、やや塩っ辛い出来になってしまいましたが、その塩辛さは酒を呼びますね(笑)。1週間干したのはやや柔らか過ぎだったかな。もう少し干してみます。
からすみは長崎産が一番有名なワケですが、瀬戸内産のモノも頑張っているようで、ボラ以外にもサワラの卵巣でも作ったりするようですね。今度、大物系を捌いた際に魚卵が入っているようであれば、その魚卵でのからすみ作りもやってみたいと思います。

冬のこの時季には外せないツマミの一つですね。毎年作らなきゃ。
と言うコトで、本日はこれにて。
明日は「食器は料理のきもの」について書いて行きたいと思います。


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