見出し画像

2024年7月29日(月)「有害鳥獣(ではないけれど)・ツチクジラ」

今日の豊田は風は少々強かったものの、終日ほぼ快晴。
朝方の最低気温は26℃、日中の最高気温は38℃近く迄上昇。またしても、ではありますが、今日もメチャ暑の一日でした。
昨日から恒例の実家帰りをしていて愛知にいます。暑さは東京都あまり変わらんようですね。
先週土曜日からは二十四節気大暑の次項、七十二候の「土潤溽暑(つちうるおうてむしあつし)」(土が湿り蒸し暑くなる時季)となっています。土が湿って、蒸し暑くなっているのは今に始まったコトじゃないですけどね。既にメチャ蒸し暑じゃ。さて、

先週末は「開業準備・運営体制について」をお届けしましたが、本日は「有害鳥獣(ではないけれど)・ツチクジラ」についてお届けしたいと思います(冒頭画像はコチラから拝借しました)。

ツチクジラ。
あんまり聞き慣れないクジラじゃないですかね。一般的にスーパー等で売られているクジラと言えば(と言っても、近年ではクジラ肉自体が一般的じゃありませんが)、ミンククジラニタリクジライワシクジラ等の大型鯨類(何れも国際捕鯨委員会:IWCの管理対象)が殆どで、このツチクジラやマゴンドウオキゴンドウ等の小型鯨類は一部地域でしか捕獲もされていないし販売・消費もされてませんからね。

そんなツチクジラは、所謂小型鯨類の中では一番大きくなるクジラでありまして、大きいモノだと12~13mに迄成長する為、お肉もたっぷり取れるのだと思います。このクジラは基本的には深海性なのだそうだけれども、その棲息域は割と広範に亘っているようであり、北太平洋・日本海・オホーツク海南部等の大陸棚の端の沿岸側に棲んでいるようです。日本近海だと三陸沖・南房総沖、伊豆半島・伊豆大島、富山湾・壱岐や大分等にもいるようなので、コレまた可也広範ですね。

何となく捕鯨と言うと大型の漁船で南氷洋(南極海?)迄出掛けて行って、大きな銛を大砲のようなモノでぶっ飛ばして大型鯨類を捕獲すると言うイメージがありますが、ソレは昔の話。戦後IWCが創設されたアトでもその種の捕鯨もやっていて、ソレのお陰で日本の食卓には安くて美味い蛋白源としてのクジラが供されていたワケです(昔給食にクジラの竜田揚げなんかが出されていたのもその一環)。が、その後の鯨類資源量の減少もあり、IWCは1982年に商業捕鯨のモラトリアム(商業目的での鯨類の捕獲頭数を当面ゼロにすると言うモノ)を決定してしまった為、ソレ迄のような商業捕鯨が出来なくなってしまったんです。その後は日本政府としてもIWCに対して科学的知見に基づく資源量増の鯨類に対する商業捕鯨の再開等を主張したものの受け入れられず(モラトリアム後は調査捕鯨と言う名で捕鯨してましたね)、とうとう2019年にはIWCから脱退、独自に商業捕鯨を再開した、と言う情況なんです(と言っても、IWCには今でもオブザーバー参加させて貰ってはいるようですが)。

恐らくあまり多くの方はご存知無いと思うのですが、その後の日本では十分な資源量が確認された種のみを対象に、日本の領海及び排他的経済水域に限定し、IWCで採択された管理方式によって算出される捕獲可能猟の範囲内で、持続可能な方法で商業捕鯨を行っている、と言うのが現状です。現在では下関で母船式の調査捕鯨が、網走・函館・石巻(鮎川)・南房総(和田浦)・和歌山(太地)の5ヵ所で沿岸小型鯨類の商業捕鯨が行われてます(因みに、小型鯨類はIWC管理対象外。あれ?wikiでは函館になってるけれど、水産庁では釧路と八戸がかいてあるな…。ドッチが正しいのだろう?)。

上記の図は水産庁の「捕鯨をめぐる情勢」(P.5)から拝借。

で、今回のタイトルであるツチクジラは、夏ごろに日本近海に現れるので、今のこの時期はそのツチクジラ漁の最盛期なんです。そのクジラ漁をやっているのが南房総の和田浦をベースにしている外房捕鯨株式会社で、7月初旬から8月中旬頃迄毎日出港してツチクジラを追い、捕れたら和田浦に戻って来て解体・業者や個人宛にクジラ肉を販売してるんですね(その状況は毎日このブログで発信)。関東で唯一の捕鯨基地です。昔和田浦に行ったコトはありましたが、解体の日じゃなかったので、その光景を見るコトは出来なかったのですが、一度は見に行きたいと思ってます。因みに、2024年は7月5日に開始、8月中旬迄で、今年の捕獲枠は22頭(毎年枠いっぱい迄捕れるコトは無いようです)。
ツチクジラについて色々と調べてる過程で見付けたのが和田浦のツチクジラ漁師達を撮影、写真集に纏めた「鯨と生きる」(小々古いですが)。ココでのツチクジラ漁やソレらに纏わるお話が書かれていて、とっても参考になり、また鯨漁や鯨食文化に関する伝統を肌で感じるコトが出来ました。コレ、とっても良い写真集ですね。

2017年の本ですが、ツチクジラ漁等について理解するにはとっても良い本です。

また、このツチクジラのお肉についてはそのウチに仕入れて(長期保存の利く-60℃冷凍庫で保管)、お店でも季節に関係なく出せると良いな、と考えてます。

明日は「醗酵食品・くさや再び」をお届けする予定です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?