見出し画像

2024年1月10日(水)「未利用魚・クロシビカマス」

今日の東京は晴れのち曇り。
朝方の最低気温は昨日同様に-1℃、日中の最高気温は11℃台迄上昇。
今日からは二十四節気小寒の次項、七十二候の「水泉動(しみずあたたかをふくむ)」(これまで凍っていた泉が動き始める時季)。まだまだ寒さ真っ盛りの時期ではありますが、地下では春に向けて動き出してる頃なんですかね。さて、

昨日は「醗酵食品・臭豆腐」をお届けしました、本日は「未利用魚・クロシビカマス」について書いて行きたいと思います。

クロシビカマス。
カマスと言っても、カマス科のサカナではなく、クロタチカマス科の深海性の魚であって、食えば必ず腹を下すアブラソコムツバラムツ等のお仲間と言うコトになります。
漢字で書くと「黒鴟尾魳」。鴟尾と言うのは、瓦屋根の家屋の天辺に付く飾りのことであり、名古屋城金のシャチホコなんかを思い浮かべて戴ければ宜しいかと(と言っても、このサカナは全然鴟尾っぽくないと思うのですが(笑))。黒っぽい鴟尾に似たカマス、と言うコトのようです。確かに、全身真っ黒けで、おカオもカマスに似ていなくもない。ドチラかと言えばタチウオ似の顔だと思いますが、コレよりも細長くてタチウオっぽいクロタチカマスと言うサカナがいるのでソチラに名前は譲ったのかな。
 
このサカナの棲息域は世界中の暖海域の深場。日本でも相模湾から鹿児島南岸辺りの黒潮が流れる太平洋岸の深海に棲み、日中は750m前後の深場に、夜間には100m前後の浅場にも上がって来ると言うコトのようです。従い、その漁獲方法としては深海底引網刺し網、釣り等となります。ただ、メジャーなサカナでもないし、市場性のある魚でもないので、コレ専門に狙う漁師はいないと思われます。
 
このサカナの厄介なトコロは、皮側から身の方に伸びる長くて硬いホネ。三枚おろしをしたアトにこの骨を抜くのは至難の業なので、刺身で食べるにも中々に難しいし、何もせずに煮たり焼いたりしても、このホネは気になる。従い、実は美味しいサカナなのだけれども、調理にひと手間掛けざるを得ないので、全国的にはある程度の水揚げがあるものの、敬遠されがちなおサカナなのです。
刺身で食べる場合には、三枚おろし後にスプーン等でスキ身にしてなめろうタタキにするのが良く、煮たり焼いたりする場合もハモのように事前に骨切りをしてから調理する必要があります。
でも、深海性の魚でクロタチカマス科のサカナであるので、身にはたっぷりと脂分を蓄えているので、煮ても焼いてもとっても美味いんですよ(アブラソコムツやバラムツのお仲間ではあるものの、コレ食って腹下したコトはありませんので、ご安心を)。コレは、食わない手はありませぬ。

上述の通り、調理が面倒臭いが故に敬遠されがちなクロシビカマスではありますが、相模湾地域、特に小田原では地方名をスミヤキ(炭焼のように真っ黒だから)と呼ばれ、好んで食べられており、ヤオマサ等のスーパーでも売られているホドなのであります。

個人的には大好きな未利用魚の一つであり、手に入るのであればキチンとお店で調理して皆さんにも食べて貰いたい魚種の一つであります。

と言うコトで、本日はコレにて。
明日は「漁師料理・マダラの鍋料理」について書いて行きたいと思います。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?