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がんばれ、Red Bull。

西村マサヤです。


先日、こちらの広告がなかなか話題になりましたが、今日のお話はこれではなく、こっち。

エナジードリンク市場をけん引してきたレッドブルだが近年はモンスターエナジーに押され、販売量も伸び悩んでいる。飲料総研(東京・新宿)によると2018年のモンスターエナジーの出荷数量は17年比29%増の940万ケース。レッドブルは16%増の800万㌜にとどまり、初めてシェア首位が入れ替わった。19年にはレッドブルは790万㌜と初めて減少に転じた一方で、モンスターエナジーは29%増の1210万㌜と差が拡大している。

どうやらRed Bullがモンスターに押されている模様。実際、僕の周辺でも、「モンスター派」は年々確実に増えており、かつてRed Bullに携わった一員としては非常に寂しい思いです。

先日話題になったこともあり、最近いろんな人と「Red BullをV字回復させるには」という議論をすることが増えました。そのような議論を経て、僕なりに「もうちょっとこういうアプローチがあるんじゃないかな」と思ったアイデアを書いてみます。

※完全にいち消費者としての意見ですのでご承知おきください


僕は常々、Red Bullに対して「なぜサイズと味のバリエーションしかないのか」がずっと疑問でした。

Red Bullの商品ラインナップはメインの2種類(サイズ違い含めて計4種)と緑・白の計6種類です。(2月には小サイズの185mlが販売終了になりますが...)


Red Bullはこれまで、「飲用シーンへの圧倒的訴求力」でブランドを構築してきました。「疲れたときに飲む」認識が強かった栄養ドリンクに対し、「gives you wiiings. 翼をさずける」のキャッチコピーを引っさげ、「アガる瞬間」や「気合いを入れたい時」に飲むべきドリンクというイメージを作り上げたのです。

これらの背景、そしてブランドが持っているイメージを踏まえると、もっと「飲用シーン」に対してプロダクトのバリエーションを持たせてもいいのではないか、というのが僕の考え。


たとえば「時間帯」。朝イチで気合いを入れるためにRed Bullを飲むシーンと、夜中の残業前に飲むシーンでは必要な効果感は違ってくるはずです。そのインサイトに対し、「即効性」や「持続性」にバリエーションをもたせることで、よりシーンに対する訴求力を高めることができるのでは、と思います。(ワンダの朝専用「モーニングショット」なんかはその戦略ですよね)

他にも「強度」でさらに高価格のラインを狙うこともできると思います。例えば「ヘパリーゼ」は肝臓エキスの配合量で4種類のラインナップがあります。一番シンプルな200mg配合の「ヘパリーゼ W」は238円、最大の400mg配合の「ヘパリーゼW PREMIUM 極」は800円と3倍以上値段の開きがあります。

事実、僕なんかは、最近外で飲む機会も減ってきたので、「たまにだし...」とこの「極」を買っちゃうんですよね。すると「今日は一番高いヘパリーゼ飲んだし、悪酔いしないだろう」という気分になれるし、飲みの席でも「今日は1000円くらいするヘパリーゼ飲んできたから」と話のネタにもできる。(800円を1000円と言ってしまうのは大阪人の性...)

Red Bullも、よりエナジーが欲しい瞬間向けの「Red Bull PREMIUM-ENERGY」みたいなのがあっても良いように思うのですが、どうして出さないんでしょうか。(カフェインの過剰摂取につながってしまうため、制限があるのかも)


一方で、かつてAppleが倒産寸前だった頃、ジョブズが着任早々に手を付けたのは「多すぎた製品ラインナップのテコ入れ」だったことは有名です。Apple同様、ブランドを大事にするRed Bullも、製品ラインナップを増やしすぎたくないという力学が働いているのかもしれません。(このあたりのメリット・デメリットや考え方など、専門的な知識や理論を知っている方はぜひ教えていただきたいです)


僕にマーケティングのおもしろさを教えてくれた偉大なブランドが、1日でも早く輝きを取り戻すことを願ってペンを置きます。

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