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『Sketch Cassette II』レビュー 〜 ラジカセ風音源の出来上がり 〜 [機材レビュー vol.175]

普段良く使うソフト・機材を簡潔にレビューしていきたいと思います。
今回はカセットテープレコーダー・ローファイプラグイン、Aberrant DSPの『Sketch Cassette II』の使ってみた感想を紹介します。

特 徴

・カセットデッキでの再生をエミュレートしたローファイプラグイン
・テープの種類を選択してさまざまな音質を作れる。
・インパクトのある手書きのGUI。

使ってみた感想

今回紹介するのは、Aberrant DSPの『Sketch Cassette II』というローファイプラグインです。

近年ローファイ・サウンドを作るエフェクタープラグインはたくさん出ていますが、こちらはカセットテープ・デッキで再生したような効果を作ることができるツールになります。

頻繁(ひんぱん)に使うエフェクターではないかもしれませんが、質感をローファイ・サウンドにしたい時や効果音を作ったりする時にこういったツールがあると便利です。

見た目の強烈なインパクトに惹かれ、価格もリーズナブルだったのでつい購入してしまいました。

使ってみた感想ですが、シンプルに楽しいです。
カセットデッキを使って音楽を聴いていた頃やカセットMTRで曲を作っていた頃の感覚を思い出します。

waves『J37 Tape』やIK Multimedia『Tape Machine Collection』のような、よくあるテープ・マシン・シミュレーターのようにパンチが出たり、ツヤが出たりといった感じではないですが、いい意味でペラペラなローファイ・サウンド、聴き心地の良いサウンドになる印象です。
イラストの見た目が、より一層その気分にさせるのかもしれません。

INPUTの音圧の突っ込み方で音質が大きく左右されるので、良い音作りをするにはそこに注意が必要です。

そしてその中でも、カセットテープのタイプを選べるのはとても良いです。
変えるとデザインが変わるのも楽しいポイントです。

カセットの種類

実際のカセットテープは、タイプによって音質のランクがありました。

・「ノーマルポジション」(TYPE 1)
・「ハイポジション or クローム」(TYPE 2)
・「メタル」(TYPE 4)

「TYPE」に付く数字が大きい方が音質が良いタイプになります。

当時「ノーマルポジション」は1本約100円〜くらいの価格で売っていましたが、「メタル」になると1本約1000円〜というほど、価格に違いがありました。

そして、この『Sketch Cassette II』は「TYPE I」「TYPE II」「TYPE IV」の3つから音質を選ぶことができます。

その中でさらに「CHEAP」「VALUE」「STANDARD」「MASTER」の価格帯のランクに分けられます。
このランクでレンジの広さがまったく変わってきます。

<TYPE I ノーマルポジション
かなりローファイなサウンドになります。
うまく使えば暖かいサウンドになりますが、「CHEAP」まで下げるとかなり音がこもります。

<TYPE II> ハイポジション/クローム
TYPE Iと比べるとかなり高域が出てきます。
かわいいテープサウンドといった感じで、扱いやすいです。

<TYPE IV> メタル
カセットテープの中ではかなりの高品質として扱われていただけに、高域もキラキラしています。

<BYPASS>
バイパスにすると、ちゃんとカセットテープを取り除いた状態に演出してくれています。

たくさん用意されているローファイの演出

テープはデジタルのように絶対的なものではなく、音揺れもするし、ノイズも拾うし、劣化もします。
その辺も細かく演出できます。

<WOW / FLUTTER>
回転数からなるピッチの揺れを調整できます。
かすかな揺れから大げさな揺れまでWOW(ワウ)とFLUTTER(フラッター)で作ることができます。
DEPTHで揺れの幅、RATEで揺れのスピードを調整します。

TEMPO SYNCをONにすると、揺れのタイミングを楽曲のBPMに合わせることができます。

MODEをFMに切り替えるとWOWのパラメーターがMOD.に切り替わります。
GUIも手書きで切り替わるところがこだわりがあって面白いです。

<AGE>
テープを使っていくと徐々に劣化して音質が変わっていきます。
その変化を、NEW(新しい)とWORN(擦り切れる)のスライドバーで表現できます。

「DROPOUTS」の設定しだいではWORNの荒れ方が変わってきます。

<HISS>
磁気テープ特有のヒスノイズを加えることができます。

<SATURATION>
テープ録音による歪み具合を調整できます。
右のボタンでサチュレーションの種類を「A」(ナチュラルな歪み)と「B」(少し派手な歪み)の2つ切り替えることができます。

<DROPOUTS>
強めると音飛びがして、機器の接触が悪いような音質になります。
極端なビンテージ効果の演出などに使えます。

<NR COMP>
カセットデッキの機能によく付いていた、ノイズゲートのON/OFFを切り替えられます。
BRIGHTとAMOUNTで質感と深さを調整できます。

<MIX>
ミックスではTAPEとCOMPをバランス調整できます。
やり過ぎてしまいがちな効果をここでバランスを取れるので、うれしいパラメーターです。

好きなところ

・すごく手軽に使える!
・チープ感がちょうどいい!
・効果音作りに便利!

気になるところ

・スケッチが売りなのですが、やっぱりパラメーターが分かりにくいです。

こんな方にオススメ

・ラジカセの音が好きな人
・80年代のロック・ポップスが好きな人
プラグインでの音作りが好きな人

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Sketch Cassette II』を詳しく知りたい方はこちら




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