見出し画像

アイーダ開幕前夜

新国立劇場「アイーダ」公演が迫っています。すでに全席完売との話!嬉しいことです。ご存知の通り、新国立劇場開場記念公演として柿落としで上演されたフランコ・ゼッフィレッリの名プロダクション。5年に1度上演され、今回が6度目の公演です。全幕にわたり紗幕がかかっており、幻想的な世界観を醸し出します。

凱旋の場面ではキャストの他に、約90人の合唱団、約150人の助演、アイーダトランペット8人、バレエダンサー多数が舞台上に!新国アイーダ名物の馬2頭🐎🐎も出てきますよ。舞台裏には管楽器によるバンダもおり、この凱旋シーンは総力戦です!多くの人数が安全に舞台をこなすために長い時間をかけて稽古をしてきました。

凱旋の場面はもちろん素晴らしいのですが、ドラマが大きく動くのは3,4幕です。
アイーダ&アモナズロ、アイーダ&ラダメス
アムネリス&ラダメス、アイーダ&ラダメス
と4つの大きな2重唱があり、ヴェルディらしいきわめてドラマチックな展開が味わえます。もちろん舞台セットはどこまでも豪華絢爛!最後まで飽きることなくご覧いただけます。

強力なキャストも魅力的!ラダメスのロベルト・アロニカは輝かしいアクートを持ち、開幕早々のアリアでその声を堪能できます。新国立劇場ではお馴染みのアイーダ役セレーナ・ファルノッキアは知性的な歌い回しが特に魅力的です。そしてアムネリスのアイリーン・ロバーツは日本にもルーツのあるアメリカ人歌手、小さい体のどこのそんなパワーがあるのかと疑ってしまうほどの声を持っています。スタイリッシュでパワフル、今までのアムネリス像を覆してしまうかも!
ランフィスは安定の妻屋秀和、アモナズロには近年充実ぶりが著しい須藤慎吾、国王には伊藤貴之、舞台裏から聞こえる巫女には十合翔子、そして小さな役ではありますがドラマ展開に重要な役割を果たす伝令役になんと村上敏明!という豪華な布陣。

三澤洋史率いる新国立劇場合唱団は今回も盤石!東京シティバレエ団とティアラこうとうジュニアバレエ団も舞台の華です。東京フィルのサウンドはマエストロ カルロ・リッツィの素晴らしい手綱捌きを得てますます輝いています。

マエストロは稽古中はしばしばスコアを全く見ずに暗譜で振っています。普段の私のスタンスからすると、このように全てを把握している指揮者というのは本当に安心感があり、絶大な信頼をおくことができます。オーケストラとの練習ではニュアンスや音色作りに特にこだわり、ヴェルディが思い描いた音像を追求します。いろんな指揮者を見ていると、時に無益な練習をしているな、などと思うこともあるのですが、マエストロリッツィは無駄がなく、必要なことをしっかり伝えてくれる素晴らしい指揮者です。

再演演出は新国立劇場でも多くの作品の演出をしている粟国淳さんが担当しています。このアイーダの舞台にかける意気込みは並大抵のものではありません。ゼッフィレッリの意図を再現するために縦横無尽に動き回っています。舞台監督の斉藤美穂さん、演出助手も澤田康子さんをはじめとする鉄壁メンバー。

そしていつもは内々のことですのであまり公には語っていませんが、音楽チームの充実ぶりもお伝えしたい!チーフの私を筆頭にプロンプター飯坂純、2幕大バンダの指揮は根本卓也、もう一人のバンダ指揮者若手の松村優吾、舞台裏合唱を振るのは合唱指揮アシスタント水戸博之、ピアニストは小埜寺美樹と藤原藍子。それぞれが自分の役割を果たし、大プロダクションの一翼を担っているのです。

助演の稽古から三週間、キャストの稽古開始から二週間、これを書いてる4月2日現在ゲネプロを残すのみとなりました。上記に挙げませんでしたが、舞台部や制作部、衣装やメイク、照明、音響など劇場の各セクションが真にプロフェッショナルな動きをし、この大規模なプロダクションのために働いてきました。いよいよ、皆様にご覧いただけると思うとワクワクが止まりません!このプロダクションは日本の、いえいえ「世界の宝」とも言えるプロダクションです。ぜひ楽しんでください!!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?