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ミロ太郎ラーメン物語 第9話 重ねて混ぜて学び合って共創する

この物語は、『Miro革命』の第5章にも掲載します。(完全に同じではありませんが、おおよそのストーリーは同じです。)

最初から読みたい方はこちらから

それでは、第9話スタートです。

第9話 重ねて混ぜて学び合って共創する

ある日、三上が、子ども食堂で調理担当をしていると、直人がやってきて話しかけた。

「三上さんも、調理担当をするようになったんですね。もともとラーメン屋さんですもんね。一段落したら、ちょっと話したいことがあるので、お時間いただけますか?」

「今、一段落するので大丈夫ですよ。」

直人は、テーブルの上でノートパソコンを開き、画面を三上のほうへ向けた。

「組織―コミュニティ転換のプロセスが、だいぶ整理できたんですよ。
1)重ねる 
2)混ぜる 
3)学び合う 
4)共創する 
の4ステップで考えるとよさそうだなって。」

画面に表示されたMiroには、4つのステップの中身が書いてあった。

組織ーコミュニティ転換プロセス

「ミロ太郎ラーメンを例にとると、ラーメン屋と地域の関係性は、最初は相互に支え合っていたけれど、量的拡大を目指してコミュニティー組織転換し、フランチャイズ化しました。店舗数が増えて利益は上がりました。一方、画一化、効率化、自動化を進めていくことになったことで、関係性が薄れていったわけですよね。」

三上はうなずいた。

「組織ーコミュニティ転換は、元に戻すのではなく、組織化で作られたインフラを新しい形で捉え直して、関係性の充実を試みることがポイントです。ミロ太郎ラーメンと商店街との関係性の充実の第一歩として、ミロ太郎ラーメンと子ども食堂という二つの組織を「重ねる」ことをやりました。その結果、アルバイトのバオさんや劉さんが、子ども食堂でも調理するようになりました。「子どもレノン・ウォール」の声が、ミロ太郎ラーメンのインフラである「だいちゃん」を通して拡散しています。組織単位じゃなくて、個人として「混ざる」ということが起こっています。」

三上は、黙って聞いている。

「三上さん、この後のステップである「学び合う」「共創する」という点から考えたときに、ミロ太郎ラーメンと子ども食堂とで、他に何かできませんか?組織化の逆を考えると分かりやすいです。画一化ではなく多様化。効率化ではなく非効率化。自動化システムが効率化してくれたので、それによって生まれた余白で多様化と非効率化が可能になるんです。」

三上にとっては、今まで考えたことがないことだった。ミロ太郎ラーメンのメニューは、「味噌トンコツラーメン」の1つだけだった。メニューを増やすほど、フードロスが生まれてコストが高くなるからだ。しかし、ラーメン店舗だけで考えるから「ロス」なのであって、子ども食堂と合わせて考えれば、それは、「ロス」にはならないのだ。

しかし、店舗の厨房は、多彩な料理を出すには狭すぎた。自動調理システムをプログラミングすれば、ラーメンの種類を増やすことはできるが、所詮その程度だ。

隣で聞いていた多恵子が、話に入ってきた。

「お隣なんだから、子ども食堂の厨房を使ったらいいんじゃない? ここは、もともと、いろんな食材がやってきて、それに応じてまかない料理を作ることを想定しているから広いし、いざとなれば、テーブルでも野菜切ったりできるからね。」

ラーメン屋の範囲が、子ども食堂まで広がった瞬間だった。だったら、子ども食堂の範囲もラーメン屋まで広げてみたらどうだろうか。三上は、次のように尋ねた。

「子ども食堂で、ミロ太郎ラーメンを活用するとしたら、どんなアイディアがありますか?」

多恵子は、即座に答えた。

「子どもたちがね、いつも、ラーメン屋さんやってみたいって言っているのよ。バオさんと劉さん、子どもたちに人気あるしね。お兄ちゃんたちと一緒に、ラーメン屋さんで働きたいっていう子が、けっこういるのよね。」

第10話に続く

編集後記

周りと繋がっていて助けあえれば、欠乏感は消えていきますよね。
逆に孤立していると、周りに打ち勝って自分の領域にお金やモノを引き寄せてくる必要が出てくる。その結果、欠乏感が生まれてくる。

どうやって、「逆回し」にしていくのかが、時代のテーマですね。

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