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Twitterの地域検索とAI翻訳を用いてウクライナやロシア各地の当事者の母語ツイートに耳を傾ける!新しい平和活動の可能性

戦争をするには、武力行使を正当化することが必要だ。だから、最初に自国に都合のよい文脈を作り、それに合致する情報を集めて編集し、大本営発表をマスメディアを使ったプロパガンダによって広めることになる。

大本営発表の文脈⇒それに合う情報編集⇒マスメディアによる拡散

これが、これまで戦争を支えてきた情報構造だ。

インターネットの登場によって個人の発信力が高まり、上記の情報構造を転換できる可能性が生まれつつある。しかし、言語の壁に阻まれて現地の一次情報が速やかに世界中に拡散することは難しかった。

プロパガンダが情報を一気に拡散して事態が進んだ後で、じわじわと当事者の声が広がっていくのではなく、プロパガンダと同等、または、それ以上のスピードで当事者の声が拡散していけば、事態に影響を与えられるだろう。

2020年頃から登場したDeepLやPapagoなどの次世代AI翻訳ツールにより、言語の壁が一気に取り払われつつある。私は、この現象を「言語ビッグバン」と名づけ、ワークショップを開きながら、集合知によって、仲間たちと、その可能性を探究してきた。(3月も実施予定)

そこでの発見をもとに、中国、韓国、日本、台湾の4地域で在来種のタネを守るための8回連続対話をやってきて、次世代AI翻訳ツールを活用した社会運動に手ごたえを感じている。

今回のウクライナ危機は、言語ビッグバン後に起こった最初の戦争である。言語ビッグバンによって新しく生まれた可能性、AI翻訳ツールを活用して多言語で交流しながら活動するノウハウを、今回のウクライナ危機に生かせないだろうか?

私が取り組みたいのは、言語ビッグバンによるプロパガンダの無効化である。

具体的には、Twitterの地域検索とAI翻訳、マップアプリなどを組み合わせて、

現地の当事者が情報発信⇒地図上に可視化⇒AI翻訳⇒一人ひとりが意味を考える

のように、当事者からの発信を起点とした参加型のメディアをDIYで構築し、リアルタイムで当事者の声が世界中に広がるようにすることだ。

Twitterの地域検索と言語検索を利用する

Twitterには、地域検索、言語検索といった検索方法がある。

たとえば、キエフの中心地(緯度=50.4332477、経度=30.5836107)から10キロ以内にいる人からの発信は、

geocode:50.4332477,30.5836107,10km

と、ツイッター検索すれば表示される。

緯度と経度の情報(geocode)は、google mapで、目標の地点で右クリックすると、ポップアップで表示される。その数字をクリックするとクリップボードにコピーされるので、貼り付ければよい。

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また、ロシア語での発信に限定したい場合は、検索キーワードの後ろにlang:ru で、言語設定をして、

lang:ru

などと打ち込めばよい。

ウクライナ語の場合は、lang:uk となる。

このように検索すると、ウクライナについてロシア語やウクライナ語で発信している人の投稿を表示することができる。

今まで説明したことを組み合わせることも可能だ。例えば、

Украина geocode:50.4,30.6,10km lang:ru

と検索すれば、キエフの中心地から10キロ以内で、ウクライナについてロシア語で投稿している人のツイートを読むことができる。

Twitter検索の地域設定と、言語設定を組み合わせることで、リアルタイムで更新される当事者から一次情報を得ることができる。

DeepL翻訳を使ってロシア語/ウクライナ語の投稿を読む

ほとんどのツイートがロシア語やウクライナ語でなされているが、DeepL翻訳を用いれば内容を日本語で理解できる。

DeepL翻訳は、ウクライナ語に対応していていないが、ロシア語とウクライナ語は似ているので、ロシア語として認識し、普通に翻訳してくれる。

※試しにウクライナ語のWikipediaで試してみたところ、普通に読めた。

DeepL翻訳を手軽に使う方法は2つある。

1)DeepLアプリを利用する。

まず、こちらからダウンロードしてインストールする。

次に、翻訳したい文章を選択して、【Ctrl+C】【Ctrl+C】(コントロールキーを押しながらCを2回押す)

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すると、自動的にDeepLアプリが立ち上がる。翻訳先の言語をJapaneseに設定し、左下のスピーカーアイコンをクリックすれば、日本語訳を音声で読み上げてくれる。

2)ブラウザ拡張機能でDeepLを利用する

グーグルクロムなどのブラウザ拡張機能で、DeepLを追加すれば、より手軽に翻訳できる。拡張機能にDeepLを追加するやり方はこちら

拡張機能に追加すると、投稿の左下に小さな「DeepLアイコン」が表示されるようになる。それをクリックすると、下図のようにポップアップで翻訳が表示される。

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Padletのマップアプリを活用する

ウクライナ危機に関連する地域のマップは、次のとおりである。

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こちらのサイトからマップをお借りしました)

関連する地域のgeocodeを入れてTwitter検索をしたリンクを作成してみた。これらのリンク先を見ると、各地域で当事者が発信している(主にロシア語)の投稿を、DeepLで翻訳して読むことができる。

キエフ geocode:50.4332477,30.5836107,30km

チェルノブイリ geocode:51.2753469,30.1868659,30km

ハリコフ  geocode:49.9946955,36.145704,30km

ドネツク geocode:47.9902621,37.6214331,30km

ドンパス分離地域  geocode:48.3287863,39.8829997,30km

オデッサ geocode:46.4631774,30.5448845,30km

モスクワ  geocode:55.7282129,37.575039,30km

これらのリンクをpadletというアプリの地図表示にまとめた。

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padletへのリンクはこちら

ウクライナーロシア情報を発信している人のTwitterアカウントを地図に紐づけているマップを作る試みも始まっている。

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Russia-Ukraine Monitor Map by Cen4infoRes · MapHub

様々な立場からの当事者の声が可視化されて、2022年に地球上で、なぜ、この出来事が起こっているのかを深く洞察したい。それと同時にスピーディーに行動したい。

ここから先、何ができるかは分からないし、この取り組みがどうなるか分からない。しかし、まずは、できることをやり始めることが大事だと思う。

編集されたニュースではなく、一次情報に直接アクセスできる方法を示すことには意味があるはずだ。

とりあえず7拠点のgeocodeを調べてリンクを張ったが、必要に応じてウォッチする拠点を簡単に増やすことができるし、padletを共同編集することもできる。

当事者の声は、Twitterの地域検索とDeepL翻訳によって、言語の壁を超えて世界中に伝わることが可能になった。すでに言語ビッグバンは起こっている。

この可能性を平和活動に生かしたい。

私が今回のウクライナ危機について、このようなアクションを取ったのは、「言語ビッグバン」の可能性の模索に取り組んできたからだが、一人ひとりは違うテーマを模索していて、それに応じた可能性を見出しているはずだ。

それぞれが持っているギフトは多様だから、それを活用して、できることを気軽にやろう。

アクションが、大きな動きになるかどうかは、後になってみないと分からない。

多様な可能性を、同時多発的に模索しよう。

そして、お互いの動きから学び合って、繋げて、エンパワーしあっていこう。


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