「言語ビッグバン」の可能性を平和活動に生かしたい
昨年の8月、手探りで「言語ビッグバン入門講座」を始めたとき、私は、次のような文章を書きました。
言語ビッグバンとは?
ちょっと調べてみると、地球上には約6900もの言語があるそうです。言語習得が得意な人でも使える言語は10以下だということを考えると、地球という同じ星に住んでいて、運命共同体である私たちは、言語の壁によって隔てられており、アクセスできる情報がお互いに偏っていて、お互いのことを知らないのだということが分かります。
裏を返せば、「お互いに知らない」というところに、大きな可能性が秘められているのではないでしょうか?
DeepL翻訳などの次世代AI翻訳ツールの進歩は目覚ましく、2020年を境に、「使えないもの」から「使えるもの」へ、明らかに「しきい値」を超えました。
つまり、人類は、これまでアクセスできなかった情報源へのアクセスが相互に可能になり、同時に、これまでリーチできなかった層への情報発信が相互に可能になったのです。
次世代AI翻訳ツールを活用した、文化の相互交流が生み出す共同創造の可能性のイメージに、私たちは、「言語ビッグバン」という名前を付けました。
それが、どのようなものなのか、まだわかりません。
ただ、現在の私たちの常識を超える新しいものの数々が、そこから生まれてくることは間違いないでしょう。
在来種のタネを守るための4地域の協働アクション「Seeds For Local Futre」
「言語ビッグバン入門講座」には、30名ほどの方が参加して下さり、DeepL翻訳、PaPago翻訳、Microsoft Translator、などのツールを活用した多言語コミュニケーションや情報収集、情報発信の可能性を集合知によって探究しました。
その成果を、中国、韓国、台湾、日本の4地域からなる在来種のタネを守る活動「Seeds For Local Future」に持ち込んで、4カ月間、全8回にわたるワークショップを実施しました。
参加者一人ひとりが、自分の母語で書き込み、それらをDeepLやPapagoを使って翻訳して理解し合うという多言語交流を通して、歯がゆさを抱えながらも、在来種のタネから見えてくる本質的なテーマが共有されてきて、参加者の想いが一つになって、「共同宣言を出す」というところまでたどり着きました。
日本チームは、「モノヅクリ」の生産優位の時代に、工業化された農業がメインになり、在来種を育てる人が少なくなってきたが、工業時代が成熟し、「コトヅクリ」の体験優位の時代になると、在来種のタネが持っている歴史、物語、人と人とを繋ぐ力が、重要になってくるはずだという気づきが生まれました。
そこで、在来種の生産者や、マーケット、レストランなどをマップで可視化して、お互いが訪問し合って交流できるような環境を作っていこうということになりました。ファシリテーターチームの一人である玄道優子さんが、Padletを使えば、地図にタグ付けすることができると教えてくれて、早速、プロトタイプ作りがスタートしています。
やったらよさそうなアクションが見えてきて、モチベーションが上がってきました。
多言語ワークショップの運営ノウハウも蓄積することができ、「国」という抽象的な概念によって起こりがちな分断を、個人の想いによる交流で超えて行ける可能性を感じました。
「言語ビッグバン」を自覚した、言語の壁を超えた民間交流によって東アジアの平和が維持されていくのではないかという希望が湧きました。
「Seeds For Local Future」の取り組みについては、こちらにまとめました。
ウクライナ危機に対して「できることをやろう」
2月24日に「Seeds For Local Futre」の最終回が終わり、ほっと一息ついた翌日25日に、ロシアがウクライナに侵攻したというニュースが流れました。
自分にできることはないかと考えたときに、「言語ビッグバン」によって見出した可能性を活用できるのではないかと思いました。
戦争のときには、プロパガンダやフェイクニュースが飛び交い、錯綜した情報によって混乱しているうちに、事態はどんどん悪化してしまいます。
言語ビッグバンによって、一次情報にアクセスして翻訳して理解し、「見ているよ」「応援しているよ」というメッセージを、当事者に直接伝えることができるのではないか。
言語ビッグバンの可能性に気づいているのは、世界中のごく少数だ。自分ができることをやってみよう。
そう思って、Twitterの地域検索とPadletのタグ付けマップとを組み合わせ、現地のツイッター投稿をDeepLで訳して見られるような仕組みを急いで作りました。
その頃、社会活動家でプロセスワーカーのDayaさんが、ご自身のFBウォールでワールドワークを展開していて、「夜遅いけど、話そうか?」ということで、Zoomで30分ほど話して、翌日、Facebookライブをやることにしました。
【緊急ライブ配信】ウクライナの状況をめぐって何ができるんだろう。#できることをやろう
ライブ配信後に分かってきた情報をnoteのコメント欄にアップして、だんだんと充実してきています。
戦争が起こると、巨大なパワーに対して個人ができることが何もないような気持ちになってしまいがちです。
自分のパワーを自覚してできることをやろう!ということで、#できることをやろう というハッシュタグができました。
言語ビッグバン講座が3月2日からスタート
「Seeds For Local Future」に全力投球し、その後、ウクライナ危機に全力で対応しているうちに、十分に告知できないまま、「言語ビッグバン講座」の開始日が近づいてきました。
講座を企画したときとは、社会状況が大きく変わってきていて、言語ビッグバンの意味も変質してきているような気がします。
それを踏まえて、第1講では、「Seeds For Local Future」の取り組みでの気づき、ウクライナ危機への取り組みを通した現在進行形の気づきを共有します。
今までは無理だったことでも、AIツールが進化して、いつの間にか可能になってきている時代なのだということを自覚して、その可能性を平和活動に結び付けたいと思います。
言語ビッグバンの可能性に触れ、あなたの想いを実現する可能性を広げてください。
講座の詳しい内容はこちら
※無料説明会の動画をダウンロードできます。
分断を超えて繋がる先に平和が訪れる
私たちは、恐れや痛みを感じると、その部分を切り離して「あちら側」に置き、「こちら側」を防衛しようとします。
それを両側でやり合うと、分断が深まっていきます。
軍拡競争は、パワーバランスが近い双方が自己防衛反応を増幅させることで起こります。ヒエラルキーは、階級間でパワーオーバーとパワーアンダーの分断を起こして支配の連鎖を起こすことで集団を管理しています。
分断の連鎖によって切り刻まれて支配されるところから抜け出して、もともとは一つの生命体であるという起点に立ち、分断を超えて繋がるために何ができるのでしょうか?
昨年の夏に気軽な気持ちで始めた「言語ビッグバン」でしたが、この時代状況の中で重要な取り組みになるかもしれません。
平和へ至る活動のプロトタイプを探していきましょう。そして、それをシェアして広げていきましょう。
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