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2022年は「合流」が本格化するだろう。時代を生きる「仲間」の存在を感じながら暴走したい。

「時代を生きる」とは、どういう事だろう?

社会人になってから教育業界で10年以上働き、その後、生命的なプロセスを感じ取りながら、行き当たりばっちりでプロジェクトを進めていくファシリテーターとして組織に取り組んできた私は、2020年にフィールドを組織から社会へと広げることになった。

対象とする空間が広がると、考慮に入れる時間軸も同時に広がった。数カ月とか数年スパンで考えてきたのが、数十年、数百年のスパンで考えるようになった。そのタイミングで、「社会を生きるのを止めて、時代を生きることにしたんだ」という橘川幸夫さんと出会った。橘川さんは、数千年、数億年のスパンで考えていて衝撃を受けた。そのときから、「時代を生きる」が、私の探究テーマになってきた。

バブル崩壊後の闇の中で取り組んだこと

私たち「団塊ジュニア世代」とは、バブル崩壊と同時に社会人になった世代だ。バブル以前の方法論が成立していた時代に教育を受け、その方法論の挫折と同時に社会人になった。教わってきたことと、直面した現実のズレの中で生じる矛盾をどのように咀嚼するのかが、私たち世代のテーマだったのではないかと思う。

近代文明が生み出した人工的な輝きを光だとすると、バブル崩壊後の30年間は、近代文明が緩やかに崩壊しながら闇に覆われていった時期だったと捉えられるだろう。その闇の中で、もがきながら何を発見してきたのかを振り返りたい。

バブル崩壊後の2000年代、私は個人の生き方の矛盾に直面し、自己変容が人生のテーマだった。自分が家族や教育の影響のもとで身に着けてきたものが、大人になると同時に破綻したのだ。だから、私の30代は、それまで生きてきた人生を解体していく日々だった。自分の思考や感情のパターンを書き出しながら、それがどのようにして形成されてきたのかをメタ認知し、その起点を特定して解体する日々。その作業は、約10年間続いた。解体が進めば進むほど、周りの人との感覚の違いが明確になっていき、付き合いが疎遠になっていった。本音で話しても、どうせ理解されないだろうと思って、こちらから距離を取っていた。人生の暗黒時代。だけど、今の活動の土台は、この暗黒時代に育まれた。

東日本大震災によって特徴づけられる2010年代、私は震災の中で表面化した社会システムの矛盾に直面した。「見たものをなかったことにはできない」という気持ちが生まれて、社会の変容が人生のテーマになった。日本の中で無自覚に身に付いたものをはぎ取らないと次に行けないという気がして、マレーシアに移住した。日本とは常識が全く異なる国での生活は分からないことばかりで、「日本じゃあり得ない」ことが起こり続ける日々に身を置いた。マレーシアをフィルターとして使いながら自分の日本人らしさを見つめ、知らずに身に着けてきた「日本人らしさ」を点検することができた。

海外移住した成果、それまで他人と距離を取り続けてきたのに、急にコミュニケーション衝動が高まって、ネットで繋がった人たちに向けて本音を語り始めた。そしたら、「自分も同じようなことを感じていた」という世代の近い人たちと出会った。仲間ができた喜びにドライブされて、オンラインの対話をやりまくった。自己解体の結果として見えたものを手がかりにして、次の組織や社会を創るにはどうしたらよいかを模索し続けた。いつのまにか数千人のオンラインコミュニティの主催者になっていった。オンラインで出会った仲間と一緒に生きていけるように自律分散型の組織を作り、社会変革に組織的に取り組んだ。しかし、これまでの社会システムを敵視する部分を消化しきれていなかったため、同じ構造が自分たちの組織内にも再生産されて行き詰った。中心にいた自分は組織を卒業して、再び自分を見つめ直すことになった。

見えてきた世代を超えた合流のカタチ

コロナウィルスの世界規模の感染爆発と共に始まった2020年代は、夜明け前の「暗さ」とも言うべき闇なのだろう。ゼロリセットして個人に戻った私は、新しく出会った人たちと、新しいやり方で取り組むことにした。橘川さんが、「コロナの闇の中から新しいものが生まれてくるから、私塾ネットワークとしてなんでもありの大学を作ろう」と言って、YAMI大学ができた。それは、私の次のステップの手がかりになるように感じられた。新しい動きをはじめてから大きく変わったのは、10代~30代の人たちとのつき合いが増えたことだ。私たち「団塊ジュニア世代」は、生産と拡大で一時代を築いた「団塊の世代」の影響を受けながら、闇の中で受けてきた影響を脱ぎ捨てて自己変容していくことがテーマだった。しかし、30代より若い人たちは、バブル崩壊後の闇の中で生まれ育ってきた。バブル以前の成功体験の影響を受けていない彼らのテーマは変容ではなく、新しく生まれる次の社会でどう生きるのかをゼロベースで考えることだ。世代を超えて、身に着けたものをアンラーニングして、脱皮して生まれ変わってきた人たちと、新しい社会の前提の中で育ってきた人たちとが合流して次の時代が生まれていくのだろうと実感できた。脱皮してきた人たちの役割は、パラダイム間の摩擦を引き受けて、若い人たちに創造のスペースを確保するところにあるのだろう。そのフォーメーションが組めれば、社会全体の変化が加速するだろう。

団塊ジュニア世代の役割は、自己変容と橋を架けること

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社会変革に目覚めた2015年から、私の頭にはずっと「Two Loops Model」がある。旧パラダイムから新パラダイムへ、どのように橋が架かるのだろうかと模索してきた。

2022年がスタートする元日の今日、クリアなイメージが湧いてきた。

私たち「団塊ジュニア世代」は、旧パラダイムの光の中で育ち、闇の中で大人になり、新パラダイムの光へと繋げる世代だ。旧パラダイムを担ってきた「団塊の世代」と、新パラダイムの中心を担う「ゆとり世代」「Z世代」「α世代」との間に位置する私たちの世代のテーマは、パラダイムシフト。つまり、2つのパラダイムに橋を架けることなのだと明確に認識することができた。

2017-2019年は「橋を架けよう」と力んでいたが、力めば力むほど、旧パラダイムで身に着けた習慣が発動して行き詰るのだ。だから、時代の流れの中で、同じように時代の変化を直観して動いている、まだ会ったことのない「仲間たち」の同時多発的な動きによって、自ずと「橋が架かっていく」ことを信じることにする。その流れと一体化して、いろんな方法で「橋を架けていく」ことに取り組みたい。「橋架け遊び」を楽しみたい。

2022年プロジェクト

古いシステムを上手に活用しながら、新しい表現、あたらしい出版、新しい流通、新しい経済・・などに取り組んでいくためのプロジェクトを、新年早々からやっていきます。

1)小説「ジミー」参加型出版プロジェクト(1月1日から)

闇の時代の中で、時代の空気を吸い込み、コロナ後の時代へと繋がる光として吐き出した文学を「コロナ文学」と呼ぼう。小説「ジミー」は、「コロナ文学」の第一弾だ。それを直観した人の手によって、「ジミー」を社会的な小説にしていくクラウドファンディングが1月1日からスタート。歴史の立会人として「石碑に名前を刻む」意識で応援してくれている人が多数登場しています。

詳しくはこちら

2)YAMI大学深呼吸学部「参加型社会学科」(1月5日から)

1月5日(水)から、毎週水曜日20時半ー22時(8週間連続)で行うオンライン講座。

「時代を生きる」を実践してきた橘川幸夫の著作12冊を田原真人が解説し、参加者と一緒に「時代を生きる」を追体験しながら学びます。参加者は著作を読んでいなくても大丈夫です。社会構造が崩壊してく中で、差別化を図りながら「社会を生きる」という方法論が苦しくなっていきます。時代の空気を呼吸し、常に変化し続けながら「時代を生きる」とは何かを実感できる時間にするつもりです。

詳しくはこちら

3)その他

その他、Weconnect Japanの元ディレクターの鈴木世津さんらと「サプライヤーダイバーシティ研究所」を立ち上げたり、様々な形での「参加型出版プロジェクト」を企画したり、「反転授業の研究」でオンライン講座⇒出版⇒コミュニティ化のサイクルを回したり、いろいろ企画しています。片っ端から実現していくつもりなので、いろいろよろしくお願いします。



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