共用IPと専用IPの違いについて

アスメルやマイスピーといったレンタルタイプのメール配信システムを使う場合、プラン比較の中で気になるのが「共用IP」と「専用IP」という言葉。

共用IPっていうのは、他の契約者と共通のIPからメールを送ること。
専用IPっていうのは、あなただけに与えられたIPからメールを送ること。

たったこれだけの違いなのに、専用IPからメールを送るプランだと料金が跳ね上がります。

各サービス会社の説明には「専用IPにすることでメールの到達率が上がる」なんてことが書いてあったりしますが…

なぜ、専用IPにするとメールの到達率が向上するの?
それほどまでに効果が違うものなの?
わざわざ高いお金を払ってまで専用IPにする価値はあるの?

と疑問に思いませんか?

それらの疑問にお答えするため、10年ほどメールで情報配信を行っている私なりの見解をお伝えします。

そもそもメールが送られる仕組みとは


まず、共用IPと専用IPの違いについて知るために、メールを送受信する仕組みから確認していきましょう。

ここから先の話はあくまでもイメージの話=だいたい合ってるレベルの話です。
詳しく正確なお話をするには私の知識が足りなすぎるので、あくまでもそういうイメージの話なんだなと捉えてください。

私からあなたにメールを送信する、というケースで考えてみます。

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私からあなたにメールを送る場合、手紙のように紙に文章を書いて直接手渡しをするわけではありませんし、あなたも直接ポストを覗くわけではありませんよね?

一般的にはiPhoneやPCに入っている「メールソフト(メーラー)」を使って、文章の作成・送信・受信を行います。

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しかし、メールソフトについても、お互いに直接データを送受信しているわけではありません。

メールソフトは下の図のように互いのメールサーバーを介して通信を行っているのです。(ここ大事!)

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ちなみに、それぞれのメールサーバーは「IPアドレス」という固有の識別情報を持っています。

分かりやすいように、ここでは私側のメールサーバーのIPを「12345」とし、あなた側のメールサーバーのIPを「67890」としています。

共用IP=IPを複数人でシェアすること


さて、ここで「共用IP」というのはどういうことなのかをイメージしてみます。

共用IPとは、複数の人が同一のサーバーからメールを配信するという仕組みです。

つまり、送る "人" は違っていても、送られているサーバーのIP情報は同じということになります。

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ここで、同じサーバーを共有している「だれかさん」がスパムメールを量産していたり、アダルト系や反社会的な内容のメールを送っていたりすると、

「このIPアドレスから送られるメールは迷惑メールだ」

と判定されます。

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その情報がどういう風に共有されているのか詳しいところは私には分からないのですが、「迷惑メールを送ってくるサーバーのIP情報」はサーバーを提供している会社側にブラックリストとして共有されるようです。

そして、「ブラックリスト入りしたサーバー」から送られてくるメールは問答無用で「迷惑メール」フォルダに分類されたり、そもそもどこにも表示されることなく(利用者側に気づかれることなく)消されるようになります。

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GmailやYahoo!メール、大手携帯キャリアなどは特に顕著です。

このような仕組みから、同一のサーバーを共有してメールを配信する場合は

自分以外の誰かが悪さをした時に自分も連帯責任を負わされる

というリスクが常に存在し続けることになります。


今現在の共用IP利用者が善良であっても、この先新たに契約して共有者となる人物が善良であるとは限りません。

そして、世の中のメールのうち99%はスパムメールだと言われるくらい、スパムメールを送る存在は溢れています。

そのような状況下で安心してメール配信をすることができる、と言い切れる自信はありますか?

専用IP=理不尽な差別に遭わないための防衛策


「共用IP」というのは安い料金で利用することができる代わりに、誰かが悪いことをしたら連帯責任を取らされてしまうというシステムです。

契約しているサーバー内で一人でも悪者が出れば、

「そのサーバーにいるやつは悪い奴だ」

というレッテルが貼られてしまうのです。


ちなみに現実世界でもそういうことってありますよね?

◯◯ナンバーの車は運転が雑だとか…
あそこの地域の住民は育ちが悪いとか…

良いか悪いか、嘘か誠かは別として、そういう評判があるために色眼鏡で見られてしまうこと、見てしまうことは誰にでもあることです。


その理不尽な差別がサーバー同士の関係にも存在するってこと。

インターネットの世界では

「このサーバーにいる人たち全員が悪いわけではないんですよ〜」

なんて弁解して回ることはできませんから、
疑わしい存在からは距離を置く(自分だけの専用のIPを持つ)ことで

「私は迷惑メールなんて送りませんよ〜」

という状態を保つ方が現実的で効果的なのです。


それが「専用IP」にするってこと。

細かい話をすれば、専用IPプランでも「仮想的に専用のIPを発行するだけで使っているサーバーは他の人と共有」という形だったりして「IPアドレス以外の情報でサーバーを識別して迷惑メール判定をする」という判定機能には負けちゃうのですが、それでも共用IPよりはメールが到達する可能性は高いです。

そういう意味で「専用IPにするとメールの到達率が向上する」という説明になっているのでしょう。

私たちが能動的にお客さんに思いを伝えることができる手段はメールしかありません。

そのメールがスパム判定されて届けることすらできない状態になってしまったとしても、私たちにはそれを認識することができません。

お客さんにメールが届かなければどんなコンテンツを用意しようが無駄になってしまうので、ビジネス初期の資金力がないという場合を除いて、共用IPのプランを使い続けることはしない方が良いでしょう。

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