中国人の「コギト・エルゴ・スム」(中華料理的問題解決思想)V.1.2


第1話 はじめに

  右を向いても左を見ても、日本のマスメディアには、中国人という人間について、その長所が短所に見えるような評価をしたり、ことさらに中国という国の不安を募る記事や論説ばかり。

  どうも、日本人と中国人が仲良くすることを歓迎しない人たちが、日本に(もアメリカにも)いるらしい。かつて聖徳太子が、朝鮮ではなく中国を国家のお手本とした(遣隋使の決定)ようなことは、彼らの利益にならないようだ。
  50年前、田中角栄首相は、中国の重慶油田と日本の技術との交換で失脚させられたという(「田中角栄と毛沢東 青木直人 講談社」)話が思い出される。

  ここ数年、まともな中国情報の事実分析と、バランスの取れた批判と評価をされているのは、寡聞にして「遠藤誉氏の記事」くらいではなかろうか。この方は物理学者でいらっしゃるので、理にかなった論説なのです(たまに女性らしい繊細な感情が噴出されるところが、スパイスが効いていて楽しい)。

  私自身は過去、海外旅行・滞在中、各地で実際に出会った中国人の印象と、「人民報日本語版という窓から覗いた中国」が、私の中国観・感の源泉となっています。
  そんなわずかな経験と小さな窓から覗いた中国ではありますが、ここ数年来、いちばん強く感じることは「中国人の問題解決能力」についてです。

第2話 中国人とは全員が中華料理人

  食事の中華料理ということではなく、個人レベルで「中華料理的手法」という問題解決能力を持っている。学校で習うとか、オヤジから教わるとかではなく、生まれた時から流れる中国人の血(DNA)の中にそういう資質があるようだ。

  中国人とは、日常生活や仕事上のあらゆる問題に対して、中華料理的なバラエティに富んだ発想と感性、器用さ、そしてなんといっても「強力なガッツ」で「美味い解決・巧い結果」を作り上げる・導き出してしまう。

  今の中国が国家規模で標榜する「Win Win」という問題解決方法とは、中国人全員がもっている中華料理的問題解決方法の国際政治版といえるのではないか。

  つまり、「Win Win」も「中華料理的問題解決方法」も、全く同じ中国人としての基本ポリシー(根底に流れる思想)由来の手法なのです。

第3話 欧米人の問題解決の思想と方法

  欧米人の基本ポリシーとは、「中国のWin Win」とはまるで違う、欧米人側が一方的に利益を得るだけの、略奪・簒奪・強奪思想です。

  欧米人による、植民地主義という一方的な、やらずぼったくり主義や、産業革命(機械化・工場生産)による大量生産品によって敵対国の(小・零細)企業を潰す。
  まさに、欧米の残虐な大企業(銀行・一部の超大金持ち)だけに富が一局集中する仕組みという、(原住民・現地人の)淘汰方式。
  その皆殺し的残虐さを覆い隠すために、ダーウィンの進化論を盾(口実)にして、「人間界の弱肉強食」を正当化する、白人の悪弊(ケンブリッジ・オックスフォード・ハーバード流の傲慢・傲岸思想)なのです。

  そんな欧米・白人・アングロサクソン流の問題解決方法と一線を画すのが、「Win Win」という中華料理的問題解決方法です。
(数年前に初めて「Win Win」という言葉を知った時、これは欧米人(英国人)によるアヘン戦争によって、かつてボロボロにされた中国人の皮肉なのか、と思いました。)

  ここ10数年来の日本人政治屋・銀行屋・マスコミ・医療商売人・警察屋たちも、彼ら5悪人同士タッグを組んで(裏で申し合わせをして)、この欧米方式の問題解決方法を自分の国で・町で実行し、日本中の中小企業・零細商店を潰しまくっています。
  日本全国、数百とも千ともいわれる各地・各街の商店街を(大量生産・大量仕入れという殺人兵器によって)潰し、数千もの商店を廃業に追い込んできました。
  一番の罪は、日本人の豊かな感性・長い伝統によって醸造された価値観や知性までをも、ダーウィンの進化論を錦の御旗にして、(日本人の心の皆殺しを)ここ10数年来行なっていることです。(彼ら5大悪人が、日本人なのか韓国脳日本人なのかわかりませんが、「自分で自分の首を絞める」とはまさにこのことです。)

第4話 中華料理的問題解決(「Win Win」という問題解決思想)

  中国の中小企業や零細商店についてはよく知りませんが、人民報日本語版を見る限りでは、「最近の中国では、日本と全く逆で書店が増えている」という事実があります。

  その理由とは、推測するに、
  中国政府が書店に援助している、なんてことではない。

① 中国人全員が中華料理的問題解決方法をもっている

② 中国政府が国全体・国民(人民)全員が儲かる・豊かになる政策を辛抱強く・きめ細かに、まさに中華料理的問題解決手法(Win Win)を推進しているが為に、国・人民全体の所得が底上げされている。

③ その結果、中国では税金が安い(高くならない)ので、国民総生産の向上と正比例して、人民の生活に金銭的・時間的・心的なゆとりが生まれている。

④ だから、かつて(50年前)の日本と同じで、人々が気楽に街の本屋へ寄って本を買うだけの金銭的余裕と精神的なゆとりがある。

⑤ 書店も顧客も中華料理的問題解決の思想をDNAの中に持っているので、互いが「Win Win」の関係になれる。
  書店は金儲けばかりに目を血走らせず、稼いだカネを様々な書店の(奇抜な)レイアウトにつぎ込むという販売者の側としての楽しみ方ができる。
  一方、客の側も、豊かな中華料理的問題解決感性によってそれに呼応し、書店という空間の中で客として楽しむことができる。単に金を出して本という物を買うだけでなく、書店という空間とそこにいる時間を楽しむ。私が学生時代(高校・浪人・大学)趣味にしていた本屋巡りが、中国ではいまだにできるようです。
  昔の日本では、どこの町にも大書店・中書店・小書店があり、それぞれが独自の品揃え、味わいのある店構え・店独特の本の匂いがありました。予備校時代、午前中で授業が終わると、1~3時間は必ず本屋めぐりをし、家の近くの神社や、太宰治と森鴎外の墓がある寺の境内で(たまに買った)本を読む、なんていうゆとりがあったのです。

  今の日本人には、たとえ書店側が個性的なアイデアで、楽しい書店のレイアウトや、楽しいテーマで本を集めて書棚に並べても、かつての日本人ほど豊かな感性や心のゆとりがなくなってきているので、中国人ほどそれを楽しむことができなくなっているのではないか。

  中国各地の、町の商店街(食料品・日用雑貨・文具・楽器・玩具等のお店)がどうなのかは、寡聞にして私にはわかりませんが、やはり、政府という大きな器も国民(人民)一人一人も、共に「中華料理的問題解決の心」をもっているので、数千もの中小企業・商店が廃業に追い込まれてきた日本ほどの惨状を見ることはないのかもしれません。

第5話 中国も結局は欧米と同じというアンチテーゼ

  中国も結局は欧米と同じことをしている、という見方もできるが、そうなると、そこにジンテーゼ(総合)はあるのだろうか。

2024年4月12日
V.1.1
2024年4月16日
V.1.2
平栗雅人

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