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保護犬という選択肢2


 保護犬をサポートする人の輪も拡がっている。前述したハッピースポアのまるこさんもその一人だ。仕事と並行して保護活動を行い、殺処分される寸前だったオオカミ犬たちの保護施設に食料寄付などをしている。
 まるこさんは無類の動物好きだ。好きという言葉よりも愛しているという表現が相応しいだろう。
 「動物が好きでペットショップで働きたくて入ったけど、現場を見て、これでは犠牲が生まれてしまい、イヌたちが幸せになれない。」とまるこさんは現場で実感して、今の活動に至る。
 日本のペットショップではショーウィンドウに子イヌを置いている。実に50.3%の人がペットショップで生体販売のイヌを購入している(※C)。購入先の決まったイヌが愛してくれる飼い主に出逢えたのならまだいい。
 だが、考えたことはあるだろうか。
 売れ残ってしまったイヌはどうなるか。
 生体販売されているイヌは、生命を商品として扱われている。子イヌでなくなれば商品価値がなくなる。残酷な言い方だが、日に日に減価していく商品だ。それが現実だ。そうあるべきではないが。
 商品価値をなくしたイヌは、”引き取り屋”に流れる事もあるという(※D)。
 可能な限り里親探しをするペットショップも多い事とは思うが、成長したイヌは店頭に置いておけないため、餌やりや飼育場所を委託するのが引き取り屋という訳だ。ちゃんと面倒を見てくれるならいいが、不衛生だったり、餌が不十分だったり、遺棄する業者もいるらしい。
 イングランドでは今年4月にルーシー法が施行されペットショップでイヌとネコの販売が禁止された(※E,F)。イヌの入手は安心できるブリーダー(動物の繁殖および改良に従事する職業)からの購入、信頼できる友人からの譲渡、保護施設からの引き取り、と大きく3つに分けられる。
 しっかりしたブリーダーであれば、イヌを愛し生命を大事に扱うので適切な個体数を維持し、最後の瞬間まで責任を持つだろう。逆に言えば、売上を上げる為だけに人気品種を大量に乱繁殖させる劣悪なブリーダーもいるらしい。
 
 上記のような生体販売の事実に気付いていない方も多いだろう。かくいう僕も殺処分問題は記事なので読んだことがあったが、この記事を書くために統計の数字を調べて行くと愕然した。
 あなたがペットを愛する人ならどう思うだろうか。
 イヌは長い歴史の中で人間に寄り添ってきたパートナーだ。イヌを消費する商品として扱い、いつでも商品を提供できるように、”在庫”を抱える方法では、必ず売れ残りがでる。
 顧客が求める限り、この悪循環から抜けられない。それが資本主義経済だ。と同時に僕たち一人ひとりが変わればいい。顧客が変われば必ずや世の中が変わる。それも資本主義経済だ。


●無料記事ですがnoteの投げ銭は歓迎。全額を保護犬活動に寄付します。


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本企画はヤッチャレ先導100日間チャレンジ「冒険家がインタビュアーに!?」による
インタビュー第1弾は保護犬のもみじさん。
#yachallenge100days #保護犬
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※C一般社団法人ペットフード協会令和元年 全国犬猫飼育実態調査 ペット飼育経験と情報源・入手先
https://petfood.or.jp/data/chart2019/9.pdf

※D DiamondOnline 「殺処分ゼロ」はまやかし、日本でペットの「闇処分」が横行する理由
https://diamond.jp/articles/-/227474?page=2

※E BBC News Japan 英イングランド、子犬・子猫の販売禁止へ 生後6カ月未満
https://www.bbc.com/japanese/45279524

※F reanimal 劣悪繁殖業者の撲滅へ…イングランドで「ルーシー法」が施行
https://reanimal.jp/article/2020/04/08/134.html

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