はじめての産地訪問 [後編]
まずはエルウィン・ミエリッヒファミリーの所有するウェジャ農園へ。
ウェジャ農園では、接木(つぎき)を積極的に導入していた。根から多くの養分を吸収するロブスタ種の枝に、風味特性の優れたアラビカ種を接木。ゲイシャ種もこの手法を導入し、収穫量を上げる工夫も見られた。
続いてエスコンディーダ農園を訪問。
ここの農園では、実験的にいろいろな品種が植えられていた。
エルウィンJr.氏は、それぞれの品種の特徴について詳細に説明してくれた。風味特性、生産性、適した生産処理方法など。本当に勉強熱心で、私は彼の話を聞きながらすごく感動していた。こういった生産者の努力から新しいコーヒーが生まれるんだなと感じた瞬間だった。
続いては、ブエノスアイレスグループの農園やミルを訪問。ブエノスアイレスといえば、NOZY COFFEEがオープンした2010年の初日から扱っていたコーヒー豆で、思い入れの強い農園の一つである。
ブエノスアイレスはとても大きなミルを所有していた。特に印象的だったのは、みな楽しそうに働いていたこと。勤続年数の長い授業員も多いそうで、こういう環境も美味しいコーヒーづくりには欠かせない要素なのだと感じた。
続いてはセルヒオ氏の所有するエンバシーへ。
街の中心部から悪路を2時間進んだ先にあるエンバシーは、ニカラグアで最も標高の高い1,650mの位置にある農園で、急斜面にコーヒーが植えられていた。
一部のエリアに風が強く吹き抜けるエリアがあり、そこで収穫されたチェリーは品質が特に優れているとのこと。今年はそのエリアのコーヒーだけを集めた『ウインディロット』をNOZY COFFEEからオファーした。
またエンバシーでは、新しい生産処理方法「アナエロビコ」を行っていた。パルピング後にパルプと一緒に75時間嫌気性発酵させる手法で、チェリーの風味特性をより引き出す狙いだ。この手法もまだレシピが定まっているわけではなく、塩や砂糖を入れて乳酸菌を増やす取り組みも実験的に行われていた。
移動を含めて、全14日間の工程が終了した。この出張で一番強く感じたのは、「美味しいコーヒーをつくる生産者がとてもクリエイティブだった」ということ。接木で新しい品種をつくったり、新しい生産処理に取り組んだりと、試行錯誤を繰り返していた。日本にいると、コーヒー生産者は重労働というイメージが強いが、バリスタやロースターと同じく、感性や技術、経験を駆使してコーヒー生産に取り組む側面も多かった。今後コーヒーをそういう見え方のする飲み物に変えていく必要があると感じたし、そうすることで高品質コーヒーへの注目をさらに高め、熱心に生産に取り組む彼らからもっとたくさんの豆を購入していきたい。
私たちNOZY COFFEE にできることはまだまだたくさんある。未来のコーヒーのかたちをよくするために、また挑戦を続けていく。
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