ニンジャヘッズに薦める仮面ライダー:リブートされた神話・アギト

ドーモ。私はΦです。
私はツイッターアーアイコンの通りニンジャヘッズなのですが、同時に特撮も好んで観ています。今回はニンジャヘッズ向けの特撮紹介として、ニンジャスレイヤーとの共通項を重点して記事を書いてみようと思った次第です。
では行こう!

作品紹介

ニンジャスレイヤーで特撮というと、『マスカレイド・オブ・ニンジャ』が仮面ライダーオマージュのような場面が満載で最高に面白かった。実況ヘッズにもその方面で沸き立っている人が多く見受けられた。
このとき主に引き合いに出されたのは『仮面ライダークウガ』。記念すべき平成仮面ライダーシリーズの第1作目だ。今回はその『クウガ』……ではなく、その次回作にあたる『仮面ライダーアギト』を紹介したいと思う。

では見慣れた形で作品の概要を説明しよう!

(前回までのあらすじ)未確認生命体事件の終結から二年。警視庁の刑事・氷川誠は人を襲う謎の生物と遭遇。彼はパワードスーツ・G3を装着し応戦するも、その一切の攻撃が通用せず敗北した。追い詰められ最早これまでと思われたそのとき、金色の戦士が突如エントリー。超越的なカラテで謎の生物を爆発四散せしめたのだった!

だいたいこんな感じだ。未確認生命体事件というのは前作『クウガ』の事件のことで、この事件は未確認生命体第4号こと戦士クウガによって終結している。つまり『アギト』は『クウガ』の続編という扱いになる。正確には、細かいところの設定が意図的に変更されたりしているので完全な続編というわけではないのだが、詳細は面倒なので省く。『クウガ』の事件のようなものが起こった二年後の世界という理解でいい。『クウガ』未履修でも問題ない。

過去に怪人が暴れていた世界というだけあって、ちゃんと警察も未確認生命体対策を講じている。それがパワードスーツ『G3システム』であり、その装着者が無骨で不器用な刑事、氷川誠だ。彼は警察の人間という立場から、新たな事件の謎に迫っていく。

そして、G3の開発時の仮想敵……すなわち未確認生命体以上の能力を持つ正体不明の新たな敵『アンノウン』と戦う、謎の金の戦士が『アギト』である。
アギトに変身するのは記憶喪失の青年、津上翔一。彼は己が何者かすら分からないまま、ただ本能的にアンノウン出現を感知し、変身して戦う宿命を背負っている。彼の失われた記憶を辿ることが、物語の一つの大きな筋だ。

そして三人目が、アンノウンの出現と時を同じくして、突然異形の戦士『ギルス』への変身能力を獲得した青年、葦原涼。彼はその異形の姿のために孤立し、居場所を失い彷徨うことになる。彼はこの過酷の中、何処へ向かうのか。

すでに仮面ライダーであった男』翔一、『仮面ライダーになってしまった男』涼、そして『仮面ライダーになろうとする男』誠。この三人のライダーの群像劇が物語の主軸となる。


リブートされた神話

前作『クウガ』が古代の伝説をテーマにしたストーリーであったのに対し、さらなるスケールアップを図った今作では、テーマを神話と据えている。

既存の神話にアレンジを加え作られた『アギト神話』とも言うべき壮大な枠組みの中に、翔一らライダーたちをはじめとする個々の人々の物語が散りばめられ、多層的でシンピテキなアトモスフィアを醸し出す。
普段からニンジャ真実に殴られ続けているニンジャヘッズなら、このアギト真実を理解することは造作もないはずだ。

また、神話テーマというだけあって、その物語の全貌の不透明さゆえに非常に考察が捗るのも『アギト』の特徴。十五年以上前の作品であるが、私も未だに全貌を掴みきれていないほどに広大で深遠な世界が展開されている。これもヘッズにオススメできるポイントだ。是非考えながら実況して、頭を悩ませているところを見せて欲しい。


『超人』と『ただの人間』

ニンジャと非ニンジャ。この間にある隔たりやそのブレイクスルーの描写もニンジャスレイヤーの魅力。これは『アギト』においても同様だ。

超人でありながら日常を謳歌する翔一。超人になってしまったことで日常を失った涼。そして、ただの人間でありながら超常の争いに飛び込んでいく誠。主人公三人の対比関係に加え、さらに様々な人間や超人の姿が描かれる。
例えば、G3システムの生みの親である天才・小沢澄子は、理屈よりも己の感情を優先する自分本位な面がある。彼女は人並み外れて優秀、かつ理解し難い存在。すなわち松尾芭蕉のような、"ただの人間"側の"超人"と言えないだろうか。

そして忘れてはならない第三の存在、それが超越生命体『アンノウン』。人ならざる力で不可解な殺人を繰り返す彼らだが、人間にとっての単なる脅威なのか、それとも……?

人間の強さと弱さ。超人の苦悩と進化。アンノウンの役割と正体。全ての要素が複雑に絡み合い、壮大な群像劇が紡がれてゆく。


理不尽への叛逆

ニンジャスレイヤーはサイバーパンク……パンクだ。反骨、叛逆の物語だ。人々は閉塞的な社会、理不尽な搾取や暴力に苛まれながらも、己の人生を懸命に生きている。

半神的存在たるニンジャに抗うモータル、或いはモータルの怒りの代行者の構図。これを『アギト』に当てはめるなら、ニンジャに当たるものはそれこそ、神や運命だ。
人類種そのものに刻まれた運命の束縛。理不尽に強いられる悲劇や絶望。人の力では本来どうしようもないほど巨大な力に、人が人として立ち向かう。人類を俯瞰して見ていながら人類を侮る神に、カラテパンチをブチ当てる。
『アギト』は叛逆と、人間の可能性の物語だ。


まとめ

以上、3つの観点から『アギト』とニンジャスレイヤーの類似点を挙げて説明した。

平成初期の仮面ライダー黎明期の作品であるために、映像技術が成熟しているとは言い難い部分もあるが、黎明期は進歩と試行錯誤の歴史を分かりやすく楽しめるというメリットもある。
また、今でこそ珍しくない『複数人のライダー』『ライダー同士の戦い』といった要素が持ち込まれたのも、この『アギト』が最初だ。現在の仮面ライダーまで連綿と受け継がれる『平成』のミームの原点、ご堪能あれ。

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目覚めよ、その魂!

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