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『世界のサラダ図鑑』に登場してくる日本では手に入りにくい食材 第16回 野菜 その16 チャプル―(ワイルドビーテル)

チャプル―(ワイルドビーテル)

使用しているサラダ
Miang Kham, タイ

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チャプル―って何?

 ビーテル(betel)、日本語でキンマと呼ばれる植物があります。舌が何も感じなくなるほど苦くて辛いらしいですが、経験がないので詳しいことは分かりません。食材というよりも嗜好品で噛み煙草みたいにくちゃくちゃするのだそうです。チャプル―は英語でよくワイルドビーテルと呼ばれるため、このキンパと混同されるとよくいわれます。チャプル―を食材として使うタイやラオスでも、ビーテルはバイプルー、チャプル―は正確にはバイチャプル―と呼ばれるようで、知らない我々にとっては分かりやすいとはいえません。
 どちらも同じコショウ属(piper)なので見た目もよく似ていますが、並べてみるとその違いが分かります。どちらも同じよう濃い緑色で表面が艶々していますが、ビーテルのほうが、大きくて厚く、表面が滑らかです。つまり食材となるチャプル―はビーテルよりも薄くて表面はツルツルしているものの凹凸があります。

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味は?食感は?

 ビーテルとはまったく違い、苦みや辛さがほとんどなくとてもマイルドです。食感はパリっとしているにもかかわらず柔らかさがあり、レタスにちょっとしなやかさをプラスした感じで、ケールに似ているともいえます。この葉を使うタイのサラダ、ミアン・カムでは他の材料をこのチャプル―の葉で包んで食べます。

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代替品は?

 編集をしてくださった出版社の方は、インドネシアに旅行に行った際、このサラダをおみやげに買ってきたそうで、その中にはチャプル―がちゃんと入っていたと言っていました。でも日本ではたぶんまず手に入らないのではないかと思います。アメリカでも珍しい野菜で簡単に手に入るのではなく、手に入るとしても夏の一時期に限られます。日本やアメリカだけでなく、原産地でなければなかなか食べられないのではないでしょうか。タイやラオスの人はそれがよくわかっているようで、このサラダを紹介するときにはかならず代替品について言及します。よく言及されるのがケールと芥藍菜(チエランツァイ、日本名カイラン)です。レタス、特にロメインレタスの緑の部分もいいと思います。

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