『世界のサラダ図鑑』に登場してくる日本では手に入りにくい食材 第5回 野菜 その5 フェンネルバルブ
フェンネルバルブ
使用しているサラダ
Insalata di Finocchi, イタリア/Salada Limão, アンゴラ/ Algerian Sunset Salad, アルジェリア/
フェンネルって何?
フェンネルはウイキョウのことで、日本でも古くから薬用などに利用されてきました。アニスに似た味、香りを持っていますが比較的マイルドなものが多いようです。もともと地中海に面した地域の植物ですが、今では世界の様々な地域で栽培されています。日本では長野県、岩手県、富山県などが主な産地です。ですから地方によっては比較的手に入りやすい野菜なのかもしれません。
種
フェンネルには食用になる部分が3つあります。おそらく最も知られているのが果実でしょう。米粒大の種のように小さな実で乾燥させたものをスパイスとして使います。インドの周辺諸国では欠かせない必須のスパイスにひとつ、中国では五香粉にかならず入っています。イタリアではサルスィッチャ(ソーセージ)の香りづけに欠かせません。
葉と茎
葉は細く一見ディルに似ていますが、味も香りも全然違います。果実ほど強くはないですが、果実同様アニスに似たとても心地よい香りを持っています。ソース、ドレッシング、ペスト(ジェノベーゼ)などいろいろな料理に使えます。葉の基部となる茎も同様で、食感はちょっとすかすかした感じはしますがセロリに似ています。
球根
最後が野菜としてサラダに使われる球根部分、フェンネルバルブです。茎と同様セロリのような食感ですが、もっと密でパリっとしています。セロリにアニスの香りと味を加えて清涼感のある野菜で、サラダにするときは普通薄くスライスして使います。スープの食材としても最適で、ほかの野菜にはなかなかない爽やかな味が楽しめます。
代替品は?
フェンネルバルブは日本でも手に入る野菜ではありますが、スーパーに絶対に置いてある野菜ではないと思われます。代替品として考えられる野菜の筆頭はセロリです。ただしアニスのような香りに欠けています。
そこでセロリにアニスの風味を加えるいくつかの方法を考えました。
方法は4つ。スパイスのアニス(写真左上)、フェンネル(写真右上)、スターアニス(八角、写真右下)を煮出した抽出液に浸す。アニス、フェンネルは水120mlに小さじ1のスパイスを加えて10分煮出しました。スターアニスの場合は水250mlに3個加えて20分煮出しました。もうひとつはパスティス(左下)などアニスフレーバーのリキュールのアルコール分を飛ばした液に浸す方法です。
どの方法がいちばん近い?
どの方法を使ってもフェンネルバルブに似た風味が得られます。アニス、フェンネルの抽出液に浸した場合、味はフェンネルバルブにとても近くなりますがセロリが褐色に染まってしまいます。アニスやフェンネルと違い、スターアニスの場合味は少し違うかなあという印象ですが、セロリの色はそのままです。パスティスはちょっとおもしろいですね。アニスなどと同様セロリが薄く褐色に染まります。味はフェンネルバルブに似ているところがありますが、印象的なのは甘味が加わることです。フェンネルバルブの代りに使うことは難しいですが、他の目的、例えばラムレーズンのようにドライフルーツを漬けるとおもしろいかもしれません。
実験の結果から考えると、何よりも近い味を求めるならフェンネルかアニス、味はそこそこでもフェンネルバルブに似た鮮やかさも大切というのならスターアニスということになるでしょうか。
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