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リチャード・マーカンド監督『スター・ウォーズ ジェダイの復讐』(劇場初公開版)

 1977年のジョージ・ルーカス監督『スター・ウォーズ』(後に『~エピソード4/新たなる希望』に改題)、1980年のアーヴィン・カーシュナー監督『スター・ウォーズ 帝国の逆襲』(後に『エピソード5/帝国の逆襲』に改題)と作られてきたスター・ウォーズシリーズの“旧三部作”。その完結編となるのが、1983年の『スター・ウォーズ ジェダイの復讐』(後に『~エピソード6/ジェダイの帰還』に改題)だ。今作で監督に抜擢されたのは、テレビシリーズなどを手掛け、『レガシー』や『針の眼』、本作の後に『9月まで抱きしめて』『白と黒のナイフ』『ハーツ・オブ・ファイヤー』などを手掛けるリチャード・マーカンド。前作に引き続きローレンス・カスダンもルーカスと共に脚本を手掛けている。
 筆者がこの映画を観たのは劇場公開時に秋田県秋田市にかつてあったプレイタウンビルの4階の秋田東宝での1本立て。そのとき、大相撲の巡業が来ていて、鬢付け油を髪に塗った力士たち3人(くらいだったか)が観に来ていて、劇場中がその匂いで充満していたのをはっきりと覚えている。その後、まだ70ミリ上映ができた新宿武蔵野館で『~帝国の逆襲』との2本立てで観た。テレビ初放送されたのは1988年10月21日の日本テレビ『金曜ロードショー』で、マーク・ハミル=水島裕さん、ハリソン・フォード=村井國夫さん、キャリー・フィッシャー=島本須美さんという、前2作と同じボイスキャスト。その後に発売されたソフト版はハミル=島田敏さん、フォード=磯部勉さん、フィッシャー=高島雅羅さんという、エピソード7以降にも登板するキャストになっている。
 今回も前々回、前回と同様、DVDの“リミテッド・エディション”に収録された1983年の劇場初公開版を久々に観た上で展開させていきたい。物語は前作からの続きで、カーボンフリーズされ、惑星タトゥイーンのジャバ・ザ・ハットの元にいるフォード演じるハン・ソロを救う、ハミル演じるルーク、フィッシャー演じるレイア、ビリー・ディー・ウィリアムズ演じるランドの活躍がまず描かれる。そして、ルークは惑星ダゴバにいるフランク・オズ演じるヨーダに会いに行き、ダース・ベイダーとふたたび相まみえるべくイアン・マクダーミッド演じる皇帝のところに赴く。ハンとレイアは再建中のデス・スターを包むシールドを破壊するために惑星エンドアに向かい、ランドはデス・スターを破壊するべく出撃するという、3つの話が同時進行していく。エンドアに住むイウォーク族(後にテレビドラマが作られる)ほか、さまざまなクリーチャーが登場して前作よりもにぎやかになっている。本筋としてはルークとダース・ベイダーの関係が明かされた後、アレック・ギネス演じるオビ=ワンの口からさらなる驚きの真実が明らかになっていく(未見の方もいると思うのでそこは内緒。知っている方はああ、あのことねとわかるはず)。森の中のスピーダーでのチェイスのハラハラするようなスピード感のほか、宇宙空間での空中戦は前作までよりも迫力が増し、SFXの技術的な進化を実感させるし、第2作と第3作が出来たことで、第1作しかなかったときには考えもしなかった別の物語として完成するという、まったく意味合いが違ったものになったことにも驚かされる。ジョン・ウィリアムズの音楽も、前作では多く鳴っていた「帝国のマーチ」も少なくなり、大団円に向けた明るい曲が増えているのも、今回、観直したことで改めて気付かされたポイントだ。
 1997年の『特別篇』以降、ルーカス監督は事あるごと(DVDやブルーレイ発売)に細かく手を入れてきた。その中でもDVD発売時に、ラスト近くに描かれるあるシーンの人物を変えてしまった(顔だけだが)。『~エピソード1/ファントム・メナス』から『~エピソード3/シスの復讐』という“新三部作”作られたことからの変更らしいのだが、正直、そこまでする必要があったのだろうか? あの人が年齢を重ねればあの人になるわけだし。なぜ、あの人だけすげ変えてしまったのか? その意図はまったくわからない。時代に合わせて作りたいとはいえ、いくらなんでもやりすぎだろう思う。その点だけは許しがたい。

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