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『トップガン マーヴェリック』雑感

 過去の映画のことについて徒然なるまま、気ままに書いた第18弾としてトム・クルーズ主演の『トップガン』を取り上げた。諸事情あって少々遅れてしまったが、ようやく36年ぶりの続編『トップガン マーヴェリック』を観たので感想らしきものを綴ってみたいと思う。本当は池袋のグランドシネマサンシャインのIMAXレーザーGTで観たかったのだが、とりあえず、前からスクリーンで一度は観たかったニコラス・レイ監督、ジェームズ・ディーン主演の『理由なき反抗』@午前十時の映画祭12と時間的に上手く組めた立川シネマシティシネマツーのa-studioの“極上爆音上映”を選択した。
 開巻、おっ、これはと思わせたのは、1986年の第1作とまったく同じ始まり方だったことだ。ハロルド・フォルターメイヤーの「トップガン・アンセム」が流れる中、トップガンを説明する字幕の後、タイトルが映し出され、空母から戦闘機が飛び立つ準備がされている風景をバックにキャストの名前が次々に登場し、監督の名前までの流れからケ二ー・ロギンスの「デンジャー・ゾーン」が流れるという、リアルタイムで観た者や、第1作を観た者にとっては思わずニヤリとしてしまうスタート。クルーズ演じるピート・“マーヴェリック”・ミッチェル大佐がある作戦に参加する若手のパイロットを指導するためにトップガンに戻るという展開で、前作でマーヴェリックの相棒で不慮の事故で亡くなったアンソニー・エドワーズ演じる“グース”の息子で、マイルズ・テラー演じるブラッドリー・“ルースター”・ブラッドショウ大尉との確執、現在は海軍大将となったヴァル・キルマー演じるトム・“アイスマン”・カザンスキーとの友情など、第1作を意識した場面に、観ている方は懐かしさや感慨を感じてしまう。特に、場面はほんの少しだが、クルーズとキルマーの再共演には思わず感動してしまった。まさかの続編でまさかの再共演。第1作でライバル関係だったアイスマンは欠かせないキャラクターなのだと改めて思わされた。音楽もレディ・ガガの主題歌を始め、中盤の訓練シーンでザ・フーの「無法の世界」、ジェニファー・コネリー演じるペニーと再会の酒場のシーンでデヴィッド・ボウイの「レッツ・ダンス」など、音楽演出も第1作を踏襲した使われ方をしている。映画のところどころで見られる空中戦”ドッグファイト”も第1作同様の演出がされ、最後に今は亡きあの人への追悼の言葉が映し出される。これはあの人が作り上げた世界観を壊さず、正当な続編を作り上げたクルーズほか、スタッフ・キャストからあの人への尊敬の意味を込めた返信の意味も込められていたのだろう。
 これまでに何度も続編の話が持ち上がっては消え、クルーズがようやく腰を上げたというのは、自身でも納得できる物語が作られ、映画ファンがこれなら確実に楽しんでもらえるだろうと考えたからだと思う。第1作に対する目配せを数多く配置し、老若男女が楽しめるように作ったクルーズは、この作品のことをよくわかっているなぁ、と、改めて思った。突っ込みどころがどうとか、なんやかんや言う人たちもいるだろうが、こういう映画は楽しんだ者勝ちだと思う。少なくても筆者は楽しかったし、ニヤニヤしたし、面白かった。それでいいじゃない。映画は大画面で楽しんでナンボでしょう。今度はIMAXレーザーGTで再鑑賞してみようか。 

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