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EPOMAKER CIDOO V65 V2 レビュー 最近のメカニカルキーボードは良いぞ

久しぶりにメカニカルキーボードを見ていると、その進化ぶりに驚いたので、ビックウェーブには乗っておかないといけないよね、と安易な気持ちでEPOMAKERという中華メーカーから出ている高級ライン、CIDOOのV65 V2を購入した。約2年ぶりの新しいキーボードだ。

長らくFILCOのMajestouch Convertible 2の赤軸を使ってきた。並行してHHKBも使ってきたが、仕事はMajestouch、プライベートはHHKBという使い分けをしてきたので、メカニカルも静電容量無接点方式も使ってきたけど、最近の(具体的にはここ3, 4年ほど)のメカニカルキーボードの進化がすさまじく、キャッチアップするためにEPOMAKERのCIDOO V65 V2 を買って使ってみたので、使用感を書き残しておこうと思う。この文章はもちろんCIDOO V65 V2を使って書いている。

今のところ出先ではHHKB、自宅ではCIDOO V65 V2というかたちで使い分けている。


CIDOO V65 V2 レビュー

購入の決め手は、赤軸と同じリニアな打鍵感、Bluetooth接続が可能(技適は通ってなさそうなので日本国内では使えない)、ホットスワップが可能、QMK/VIA対応、65%レイアウト、このあたりだ。

どことなくレトロな佇まい
シフトキーの色が違ってアクセントになっている
チルトはできないが、この傾斜で快適に打てる

とにかく打鍵感が良いぞ

使ってみた率直な感想は、打鍵感が素晴らしい。とにかく気持ちが良い。常時OmmWriterで入力しているみたい。

Quake Matte スイッチは打鍵感とサウンドが心地良い

OmmWriterは集中してライティングに臨むためのMac/Windows用アプリで、文章の入力画面以外は何も表示されず、キーボードの入力に応じて小気味よいSEが鳴ったり、集中できるBGMを流してくれる。

このキー入力時のSEに近い音がキー入力時に鳴るのだ。鳴る、といってもカフェで作業する際に周囲に迷惑がかかるレベルの音量ではなく、極めて自然な音量で鳴ってくれる。

CHERRY社のキーでいうと赤軸が一番近い打ち心地だが、明らかになめらかでコリコリという音が鳴る。

底打ちよりも若干上にアクチュエーションポイントがあるようなので、撫でるように入力ができる。本当に気持ちが良い。ただ気持ちが良いしか言っていない気がする。それだけ良い。

押し込みも対応したロータリーノブ。音量調整やメディアの再生停止を割り当てている

今まで使っていたMajestouch Converible 2 はフルサイズだったので、65%キーボードだとファンクションキーを入力するにはFnキーを押す必要があるが、これはHHKBでもやってきたことなので特に違和感は感じない。むしろHHKBにはない矢印キーがあるので、こちらに慣れる方が時間がかかった。

加えて、Escキーと/~キーがHHKBだと用意されているが、CIDO V65だとEscのみで/~はFnを押さなければならないのも大きなポイント。Javascriptを使うときにまあまあ入力するキーなので、ここはHHKBの方がよく考えられている。

USB-Cケーブルで接続できる

バグはあるし、ハマりどころがあった

打鍵感はめちゃくちゃ良いのだけど、ひとつだけ問題が生じた。VIAファイルが正しく動作しないのだ。

VIAファイルのバグ

JSONファイルの中身を見たところ、V65にはない「2.4GHz」に切り替えるボタンが定義されており、その部分を削除したところ正常にキーがアサインできた。EPOMAKERのサポートには報告済みで、修正済みのファイルに差し替えてもらった。

macモードの罠

また、「macモード」なるモードが搭載されており、筆者もmacに接続して使う予定だったのでそのモードにして使用していたが、Fnキーを押しながら数字キーを押してもファンクションキー(F1-F12)キーとして認識されず、画面の明るさが変わったり音量が変わってりして、解決方法がわからず悪戦苦闘した。

この原因がmacモードで、ファンクションキーがメディア操作するキーに割り当てられてしまうようだった。もしファンクションキーを使いたいのであれば接続するのがmacだとしてもWindowsモードを使う必要があるので注意したい。

このようにいくつかはまりどころはあったものの、総合的に見るととても完成度の高いメカニカルキーボードだと思う。

これ以上のクオリティを目指すとなると、自作になってくるが、Bluetooth対応しているキットがほとんどなく、価格が最低でも3万円以上してしまうため、2万円以下でBluetooth対応かつ本機種を超える使用体験を求めるには相当探し回らないといけないだろう。

同じようなスペックのキーボードだとKeychronのK12 Proがあったが、持ち運び用はHHKBを使うことに決めたため、重量を気にしなくてよくなったので、本機種を選んだ。

ロープロファイルに手を出すのであればK12 Proも選択肢に入るだろう。ただし、2023年7月現在、Keychronのロープロファイルモデルは光学式スイッチに対応しておらず、Gateronのロープロファイルメカニカルスイッチのみ互換性があるので、キーを交換する楽しみは限定されてしまう。

いろいろ褒めているが、もちろん欠点はある。

  • 少々重い(1.32kg)

  • 2.4GHzの有線ドングルを使った無線接続は非対応

  • 少し高い(19,000円)

私の場合は持ち歩かないので、重くても関係ないし、むしろ据え置きで使う分には安定して良い。有線ドングルを使う接続は、直接USB Cケーブルで接続することでカバーできている。少し高いのはどうにもならないが、下手に安いもので妥協するよりは最初から自分が欲しいと思う特徴が全て詰まったこの機種を買った方が満足できると思ったので、問題なかった。(1ヵ月ぐらいお財布と相談したけど)

この3つがクリアできれば、何もカスタマイズしないで得られる体験として本機種は最高峰であると断言できる。


最近のメカニカルキーボードのトレンド

ところで、最近のメカニカルキーボードの特徴は、

  • 定番軸(黒、赤、茶、青)以外の選択肢

  • ホットスワップ

  • ガスケット構造

  • QMK/VIAでのカスタマイズ

が挙げられると思う。

定番軸(黒、赤、茶、青)以外の選択肢

昔のメカニカルスイッチはCHERRY MXの黒、赤、青、茶がスタンダードで、静音軸やシルバー軸みたいな変わり種はあれど、それ以外の選択肢となると途端にマイナーな存在だった気がする。

それが、今はGateronの軸やKailhのロープロファイルなど、一気に選べる種類が増えたと思う。主な理由はCHERRY社の特許が切れて互換品が作りやすくなって、中華メーカーが挑戦的なスイッチを揃えてくれた。

ホットスワップ

そして、その豊富なキースイッチを簡単に交換できるホットスワップの製品が増えた。従来のメカニカルキーボードは、基盤にキースイッチを直接はんだ付けしており、キーの交換は難易度の高い作業だった。だが、最近ははんだ付けなしでキースイッチの交換が可能なホットスワップ方式が広まった。キープラーを使えば、簡単にキースイッチが外せるので、キースイッチを追加で買えば、同じキーボードを全く違う打鍵感に変えられる。

CIDOO V65 V2はホットスワップ可能。はんだ付け無しで簡単にキースイッチが交換できる

ホットスワップ可能なメカニカルキーボードは、中華製のものであれば4,000円台から販売されているので、安く始められるのも良いところ。昔は最低でも10,000円くらいで基盤直付けのものを買わないといけなかったので、本当に羨ましい。

ガスケット構造

また、ガスケット構造も関連してくる。キーボードのプレート(キースイッチが取り付けられる部分)がガスケット(ゴムやシリコンなどの柔らかい素材で作られたパッドやリング)を介してキーボードのケースに取り付けられる。これにより、キーボードのケースとプレートの間にある程度の「浮き」が生まれ、キーストロークがガスケットに吸収され、打鍵感が柔らかくなると同時に打鍵音も緩和される。

この構造を使っていると、静かでブレのない打鍵感を実現できるのだ。一般的なメカニカルキーボードの構造では、キーボードのプレートは直接ケースに取り付けられ、これを「トレイマウント」と呼ぶ。これは最も一般的な方式で、一昔前の標準である、最近ではエントリーレベルのキーボードによく見られる。中華製なら8,000円以上だとガスケット構造を採用している場合が多い。

QMK/VIAでのカスタマイズ

QMK/VIA キーボードカスタマイズアプリを使って、各キーに任意のキーを割り当てられる。Fnキーを組み合わせれば、何重にもレイヤーが敷けて、60%サイズキーボードでも不自由しないくらいには便利に使えている。ちなみQMKはキーボードのカスタマイズに使われるファームウェアで、VIAはVirtual Input Architectureの略でQMKを簡単に割り当てられるアプリのこと。

これらの特徴が搭載されているキーボードを購入すれば、その本体をベースとしてキースイッチとキーキャップを交換したり、キーの挙動をカスタマイズできるので、いろいろ自分好みに使い勝手を変更する楽しみが味わえる。

安いものでは4,000円台で手に入るし、メルカリでも購入価格の60%ほどで売れそうなので、気軽に手を出して沼にハマってほしい。

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