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波遊び上手の高齢者オージーに玉砕のM様

*今回は、シドニー在住の日本人サーファー達の間で、その名を知る者で彼を知らぬ者はいない、ジャパニーズサーフィングレジェンドM様の活躍です。


シドニーエリアの波乗りシーズンは冬

冬になるとタスマニアの南海上に低気圧が停滞して、それが巨大な南ウネリとなりシドニーエリアのビーチに届くことが多くなる。

そんな時、ビーチはクローズ、そして各所のポイントブレークがパンピングとなり、超絶上手いサーファーを筆頭に、常日頃から狙っている連中で、わずかなテイクオフのチャンスを取り合う熾烈な戦いが繰り広げられる。

M様ザ·ジャパニーズ·サーフィング·レジェンド

そして経験豊富でレジェンドレベルなサーファーである俺様は、年に数度しかないエクストリームなコンディションのポイントブレークへ、

負け戦にわざわざ出向くことなどはしないのだ!

もう戦いにほとほと疲れちゃいました…てか、もう競う以前にパドル力足りなくて乗れないっす…

そんな俺様が向かう先は、巨大な南ウネリを交わすビーチである椰子浜の南端にある通称キディーズ。

その名の通り普段は波が小さく子供の練習にピッタリなこのエリアだが、このような日は俺様がいかに偉大なサーファーであるかを示すかのように、巨大なコンディションを嫌うレジェンドサーファー達が集う。

というか単に高齢者サーファーだらけって事なんですけどね。

戦いは早朝に

年寄りの朝は早い。なので俺様の朝もまぁまぁ早い。

日が昇る頃にはすでに20人程度のサーファーがビーチに散らばっているが、どうせエクストリームコンディションにチャレンジする気力などとっくの昔に失っている高齢者サーファー達に違いない。

彼らに比べれば若者に分類されるはずの俺様は完全に勝利モードでパドルアウトだ。

しかし、その根拠ない勝利モードはラインナップ到着ともに崩れ去る。

卑怯な高齢者達

このポイントのラインナップにいるおぢ様、おば様たちのサーフクラフトは一様に長い。
ここで敢えてサーフボードと呼ばずサーフクラフトと呼ぶ理由を聞けば読者諸氏は驚愕するであろう。

覚悟して頂きたい。

まず一番多いのは当然ロングボーダー。

「M様とかいうテケのおっさんは、どうせロングボーダーだらけで波を取れず粉砕されたんだろうなワラ」

などと安易に予想した読者諸氏はご自身の思慮の浅さを悔いるがよい。

まぁ確かにロングボーダーは多いのだが、俺様くらいのレジェンドレベルになれば、多少混んでいようが、ロングボードだらけだろうが、「おまいらロングのテケにこのデカいセットは無理だっ!頂きだぜっ!」を連発…

したいところなのだが、奴らにそれを阻まれる。

真の敵現る

それが、このビーチ特有でもあるが、パドルボードなのだ。
ライフセイバーとかアイアンマンレースとかで使う膝立ちで乗る長いボートのようなボード。
これです。

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長いだけじゃなくて、中は空洞?ってくらい丸っこい胴体で、浮力どんだけ?って形してます。そもそもスピードを競うものだからね。

そして赤と白の縞々模様のこれに乗ったおぢ様がめちゃくちゃ上手い。

きっとここのポイントの癖を熟知しているのだろう、1番デカい良いセットは必ずと言ってよいほど彼が、めちゃくちゃアウトからガッツリ取っていく。

とうぜんパドルボーダーは彼だけではなく、ついでに若いやつもいます。

彼らはみなトレーニングでこれをやっていたりしているので、基本的に皆スゲーです。

セット絶対乗れねー。

敵は他にも

さらにはこーんなのに乗ってるオジ様も。

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サーフスキーって言うんだけど、カヌーだよな…
普通にオール使うのって卑怯くない?

このおぢ様もロングボードでも絶対に無理なウネリから乗っていきます。

ただし弱点がある。

それはカットバックが出来ない事なのだ。

しかし俺様は伊達にレジェンドと呼ばれているわけではない。(というか呼ばれてない)

カヌーのおぢ様が乗っていく波をインサイドよりのパワーゾーンに近い所からテイクオフっ。

カットバックのできないそのおぢ様はショルダーの先の方にどんどん走って行くので俺様の存在にすら気づいていない。

大勝利だ!

このような卓越した戦略的テクニックを駆使し、一見勝ち目のない相手からも波をゲットする、これこそ俺様がレジェンドと呼ばれる所以なのだ。(だから、呼ばれてないって)

ところで、M様とかいうテケのおっさんは「ワンマンワンウェーブ」という波乗りの基本ルールを知っているのだろうか?

でもね、こんな事でもしないとマヂで波取れないっす。

M様の戦いは続く

ここはポイントブレークみたいなピークがあって、本当はそこからテイクオフしてさらにロングライドしたいんだけど、前出のパドルボードのオジ様を筆頭にローカルっぽいロングボーダーのおぢ様、おば様達が、こんなにかっちょいい俺様など存在しないかのように無視で、ラインアップにズラリと陣取るからそこには居場所なんて無いんですよ…こっちは板5’6”だし…

とはいってもインサイドよりにポジショニングしていると、なんだかんだ言って、気持ちのいいカットバックのラインを描ける、結構いい波乗らせてもらえるて、実はかなり楽しいです。

これからもデカい日はキディーズ通っちゃうな。

ちなみに、調子に乗っていつまでも遊んでいると、Billabongにスポンサーされたこのエリアで最もHotな10歳と11歳のガキが入ってきて、インサイドの波は全部取られちゃうので、大人はとっとと上がったほうがいいですよ。

高齢者サーファーだけでなく子供からも波が取れない自称レジェンドM様(テケ)の戦いは続く…

かも



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