"アイドル"が好きという話

自分にとっての「アイドル」とは?の話です
 

あるアイドルの卒業について言葉にまとめておきたいのだが、
そのためには前提として自分にとってのアイドルとは、をまとめておかないとという気持ちがある。 

自分がアイドルファンになり始めた2010年代前半は世間的に"アイドル"とは何か?の過渡期だったように思える。
誰が呼んだか、まろが呼んだか、世は「アイドル戦国時代」
アイドル人口が増え、アイドル市場が拡大し、もはや「名乗ればアイドル」の時代だった。

松田聖子さんや中森明菜さんなどに代表される、いわゆる昭和のアイドル像は
主にテレビやコンサートで活躍する芸能人であり、
若さと愛らしさを兼ね備えた、
カリスマ性を持ったスターであった。
そしておニャン子クラブやモーニング娘。がグループアイドルとして素人からスターへと上がっていく様を見せた

そこで
敢えて強い言葉を使わせてもらうが
AKBが"アイドル"をぶっ壊したのだ
端的に言えばアイドルというスターがステージから降りてきた

かつてアイドルは他称されるものであり、
"アイドル性"という能力に付けられる称号のようなものだった
「クラスのアイドル」は一目置かれる存在のことだ。

しかしアイドルがステージから降りたことによって
アイドルのスター性が薄れて行き
アイドルという言葉にはかわいらしさだけが残った

そんな流れの中で自称アイドルが増え続けたアイドル戦国時代において
自分も漏れなく「アイドルとは何か?」について考えさせられていた


アイドルを好きになるきっかけはやはり、かわいいなと思ったからという理由が多い
ただ、それは「気になる」の段階であって
このアイドルを応援したい!と自分が思う基準は何なのだろうかと考えていた。

かわいさで人を癒す?
歌やダンスがうまい?
人に勇気を与える?

全部なんか違う
好きなアイドルを応援したいという気持ちはあるけど、理由をちゃんと言葉にできない
2016年まで、そんな葛藤を抱えながらアイドルファンをしていた



2016年3月2日
自分は私服と会社説明資料を詰めたバッグを持ち、スーツ姿でライブハウスに向かっていた。 

就活解禁2日目、
昨日に続いて連日、合同企業説明会に参加してみたが
明確なやりたい仕事もない自分は、スタートダッシュから周囲に遅れをとっていることを実感しつつ
こんな調子で大丈夫だろうかという不安と説明会疲れと、まだ2日目なのにこんなに気疲れしていて大丈夫なのだろうかという更なる不安とが肩にのし掛かっていた。

ただやっぱり推しには会いたい!
なんたって今日は地元のライブハウスで好きなアイドルグループの公演がある。
先日、推しの持病が公表されたが、療養しつつ活動していくらしい。
頑張っている推しの姿を見に行かねば。
そして、この時間だけは就活のつらいこと忘れて楽しもう!
そんな気持ちで自転車を漕いだ

ライブハウス前でチケットを取ってくれた後輩と落ち合い、ライブハウスに入る。
自身の将来への不安を頭の片隅に抱えながら
推しの体調も心配しながら
しかし数ヵ月ぶりに直接見るパフォーマンスに期待感を持ち、挑んだ。

ライブは圧巻だった。
地方の小さなライブハウスでも全力でパフォーマンスをする彼女たちはとてもかっこよくて、キラキラしていて、希望だった。

圧巻のパフォーマンスをしつつ、
いつも通りハキハキとMCをこなす推しに安心感を覚えた。
持病が公表され、ファンとしては不安だったのだが、元気な姿が見れて良かった。

ライブ終盤、次第にまとめの挨拶に入る。
「持病も完治はしなくて、辛い日もあるけれど
ファンのみんながこうして待っていてくれて、
ライブを楽しんでくれている顔を見て、
私も勇気を貰ってます。」
正確には覚えてないけれど、そんな事を推しは言った。

何を言ってるんだと思った。
勇気をもらってるのはこっちの方だ。
現に今の自分は、明日からも就活がんばろうという気持ちになっている。
持病により体調も不安定な中、
歌もダンスもすごくて、
キラキラしていて、
こんなすごい人に自分もなりたいと思うほどだ。

そんなすごい人である彼女も
日々の生活で悩み、苦しむ日もあるという。
それをファンが勇気づけているという。

アイドルがファンに勇気を与え、
ファンがアイドルに勇気を与える。

その相互関係が成り立つ姿であり、
それを続けていく仕事が、
「アイドル」なのかもしれない。

この日もらった勇気を胸に置き、無事に自分も心折れかけていた就活を続け、内定をもらった。

あの日のライブとあの日の気持ちはずっと忘れない。
他人に強要する事はないけれど、
あの日から自分の中での「アイドルとは」の答えが決まり、
勇気を貰ったアイドルに勇気を返して行けたらなと思いながら、今なおアイドルファンをしている。
 

 

余談だが、最近すごく推しているアイドルのライブに初めて行った時、
ライブ後のチェキ会ではじめましてと言った次の瞬間に推しがこう言った。
「今日楽しかった!?」
その一言で伝わった。
彼女は、見に来た人に楽しんでもらいたいと強く思いながらアイドルをしているんだ。
ファンに勇気を与えたいと思っているんだ。
自分も、それに応えるように笑顔で
「めっっちゃ楽しかった!」
と答えた。もちろん本心だ。
自分のこの些細な気持ちが、推しに勇気を与えられていたらいい。


今日はここまで
長いのに読んでくれた方ありがとうございます
みなさんもゆっくり休んでください
おやすみなさい

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