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俳句コーナー

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ペンネーム:大岩節子さん

実柘榴や泪の跡の鬼女の面
千町の刈田へ百の鴉群る
鯉の群鯉が乱して秋高し
雲厚き日や十月の曼珠沙華
的小屋へ色なき風を切る矢羽
大太刀の鞘を繕ふ菊師かな
大小の鰡大小の水輪中
山の井の秋のはんざき目をつむる
一本の煙草の煙漱石忌
渦へ寄り渦を離るる色葉かな

ペンネーム:戸田政子さん

老い母へ両手一ぱい土筆摘む
雨あがり緑の風にペタル踏む
熊山の際わ立つ小楢新樹光
糸蜻蛉飛び立つ気配朝日射す
足守の三段古墳姫女苑
足跡が泥田に畦の風涼し
経塚につづく杉の木梅雨湿り
蟻の路出合ひ頭のコミュニティー
青柿の枝に各れ各れの向き直り
隠沼に雨のさざ波蝉の声

「母を詠む」 ペンネーム:船橋明子さん

土に生く麦藁帽の似合ふ人
誰彼に手を合はす母生身魂
車椅子の母の髪撫づ青田風
一本の線香守る寒の通夜
盆澄籠薄き光をこぼしつつ
琴弾けば母の顕ち来る秋彼岸
夜なべして母の形見の着物解く
母の星一つ加へて寒昴
新しき墓に風花遊びけり

「大山山開き」 ペンネーム:古谷 静 さん

おだまきや参道沿ひの小商ひ
参道の磴のすり減り梅雨湿り
明日攀づる頂見上ぐ宿浴衣
水音の躍る河原や谷若葉
山蟻の走るベンチや谷の風
荒堰へ音の湧き立つ谷卯木
短夜の参道をはや人のこゑ
童顔の禰宜に祓はれ山開き

ペンネーム:赤木ふみを さん

磯寺いそでら弁慶蟹べんけいがにのがれけり

ペンネーム:中山 多美枝 さん

藻の花のつぶやくやうに咲いてをり
どの径を行くも浜風棕梠の花
少年ににきびが一つ雲の峰
夏草に溺るる蝶の小さしちさし
沙羅の花ぽとりと語り物終る

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