「ジャブジャブ」のドル資金

ドル円現在106.57〜106.58
レンジ予想106.00〜107.00
ゲスト三井住友信託銀行NY 持田拓也さん

昨日、市場の注目イベントであったジャクソンホール会議で、パウエル議長が平均で2%以上のインフレ率を目指すと述べた事でドルが急落し、ドル円も105.61まで下値を広げるもその後は反発した。今日はアメリカでいくつか主要指標の発表があるものの、重要イベントを消化した事で大きな方向感は出ないものと思っている。

キャ)今日の注目ポイント具体的にどういう事か?

「ジャブジャブ」とは金融緩和によって市場に資金が大量に供給されている状況を言う。FRBのバランスシートを見ると、コロナショックを受け、おびただしい勢いで資金が供給されている。ジャブジャブな通貨に対するニーズは下がる為、この環境ほドル安を引き起こす。昨日のパウエル議長の発言も、これまでと違ってインフレ指標が2%を超えたとしても、それ以前の2%を下回っていた期間を補う為に「ジャブジャブ」を続ける事になる為、ドル売りで反応した。ただ市場では織り込みも元々進んでいた事もあり、ドル売りの勢いも弱まり反転上昇する形となった。

キャ)今後だが、ドル円の注目ポイントはどの辺になるか?

コロナ動向や米中貿易摩擦などでも為替は同様に動く?が、ドルと円は同じ方向に動き易い背景があり、特にドル円はこの「ジャブジャブ」なドルの織り込みによって方向が決まると考える。7月後半にドルの「ジャブジャブ」な環境の織り込みが進みドルは大きく下落した。足元はドル売りポジションも相応に貯まっている為、現時点で更に加速する余地は小さいかも知れない。ただ、現在の水準はまだこの「ジャブジャブ」具合を全て織り込めていないと考えており、その進行と共にドル円は年内100円まで下落可能性が高いと考える。