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ネット礼拝と「参加」についての備忘録

新型コロナウイルスの影響が続き、東京都も緊急事態宣言の下にあるものの、教会は都が特措法に基づいて停止や自粛を求められる施設の「対象外」とのこと。憲法が保障する信教の自由の重要さからすれば当然のことで、基本的人権の中でももっとも守られなければならないものゆえに、それはそれとしてしっかり押さえておきたいところ。

とはいえ、すぐさま集まっての礼拝再開に進めるかというと、今の状況ではなかなか難しいというのが正直な思い。感染者の増加傾向が収まらない中では、もうしばらく忍耐の時ではないかと思う日々。ここからがますます教会の自律性が問われる局面になっていくでしょう。

さて、前回はネット礼拝と説教について思うところを記しましたが、今度は礼拝に参加する側から考えてみたいと思います。

うちの教会ではじめてネットを用いて礼拝のライブ配信をやってみようと言う話になったのは、今から5,6年前のこと。中東の難民キャンプで働く教会員や、長く自宅療養が続く教会員が礼拝に参加できないかということで検討を始めていたものの、実際にオンラインでの礼拝参加第1号になったのは、実は僕。

当時、ライブ配信を検討をしていた矢先に体調を崩して二週間ほど入院することになり、病院のベッドと教会をSkypeで繋いで参加することになったという次第。腹痛に苦しみながらベッドで横たわり、スマホを握り締め、イヤホン越しの讃美や祈り、役員さんが代読してくれている説教、そして会衆席の中から聞こえる子どもたちの声を聞きながら、なんとも言いがたい気持ちになったことを思い起こします。やっぱり礼拝はそこに身を置いてこそのものだなと。

この数週の間、教会員から寄せられた声の中には、「ネットでの礼拝、自分はどうしても参加しているというより視聴しているという意識になってしまって、そろそろしんどい」、「子どもたちも一緒に礼拝しているが、いつもの家の中で、礼拝への切替、意識付けがむずかしい」などなど貴重な声があり、考えるべきテーマが満載です。それだけ教会堂に集まって礼拝することが当たり前になってしまっていたことでもあるのですが、こういう経験が、「礼拝とは何か」、「交わりとは何か」、「教会とは何か」をあらためて問い返される貴重な機会になっていくのでしょう。

ともかく、家庭での主日礼拝がしばらく続くということで、先週は教会員あてにこんな文章を送りました。

「家庭での礼拝の勧め」
3月末から教会に集まっての礼拝が休止となり3回の日曜日を過ごしました。いつもと違う境遇に置かれ、多くの制約の中で主日の礼拝をささげておられることと存じます。
家族そろって、一人で、未信の家族の中で、ネットを介して、聖書と週報を前にして、とそれぞれの礼拝の仕方も様々ですが、あらためて家庭でささげる礼拝についてのお勧めを記します。主の臨在の恵みにあずかる時となりますように。

1.礼拝を整えましょう
①時間を整えましょう
主の日を聖別し、落ち着いて礼拝に向かえるように時間を取り分けましょう。
②場所を整えましょう
いつもの食卓、リビング、勉強部屋や居室も礼拝の場です。目の前のものを整えましょう。
③姿勢を整えましょう
パソコンやテレビ、スマホ画面の前でも、主の御前に進み出る姿勢を整えましょう。

2.礼拝に備えましょう
①いつものように備えましょう
礼拝開始15分前には着席し、週報、聖書、讃美歌、献金を備えましょう。
②御言葉に向けて備えましょう
その日の説教箇所を開きましょう。ネット視聴のない方は説教原稿をゆっくり読みましょう。
③子どもたち共に備えましょう
子どもたちも共に礼拝に備え、前もって讃美を歌ったり讃美CDを流しても良いでしょう。

3.礼拝をささげましょう
①いつものようにささげましょう
讃美、悔い改め、十戒、主の祈り、使徒信条はできるだけ声に出して歌い、唱えましょう。
②意識し集中してささげましょう
単なる視聴者にならないために、いつも以上に意識し、集中して御言葉に聴きましょう。
③心から感謝してささげましょう
献金は取り分けて袋などにささげましょう。派遣と祝福は起立して受けましょう。

こうして書いてはみたものの、とうていこれでベストとは言えず、またそれぞれの家庭環境、家族事情、物理的状況は様々で、とてもここまでは無理という声もあるのですが、とにかく一人一人が、今、生ける神の御前に進み出て、恵みとあわれみ、慰めと励ましを受け取って、「安心していきなさい」と送り出していただける礼拝になるために、自覚的、意識的に少しの工夫や努力を傾けたいというのが一番の願い。
人間の限界の中で少しでも真実なものがおささげできればと祈りつつ。

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