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ネット礼拝と「コミュニケーション」についての備忘録

教会に集まっての礼拝をとりやめてネット利用もしくは各自の自宅での礼拝に切り替えて以来、最も頭と心を用いているのが、一緒に集まることの出来ない中で「聖徒の交わり」(communio sanctorum)としての教会という信仰のコミュニティをどのように保つかということ。

「教会」とひとくちに言っても、そこには様々な側面(神学校時代にI教授から学んだドーイウェルト哲学によれば15!)があり、社会的な集団という意味ではそのコミュニティを保つ知恵や方策はすでに数多くあって、その意味では教会が取捨選択する手段も一般的なところに着地していくのだろうと思います。
他方で教会という共同体には単に宗教団体一般というだけでは括れない真理契機があると信じている者からすると、「教会だからこそ」とか「教会独自の」とまで言うつもりはないけれど、様々な知恵を拝借し、ツールを使わせてもらいながら、教会の持っている性質に即した適切なアプローチが必要だとも思う次第。
そんな中、後の日のためにとりあえず目の前にある課題について考えながら書いてみるという「備忘録」からすると、目下の課題は「教会の交わりを保つために、単方向コミュニケーションと双方向コミュニケーションをどう組み合わせるか?」ということ。

ネット礼拝に切り替えることを決めた3月下旬。まず最初の仕事はこのことを約100名近いメンバーにどうお知らせするかということ。これまで教会で大切な報告や通知をするときは、事前にアナウンスをし、資料を準備し、当日は直接皆さんが集まった場所で祈りをもって始め、内容をお伝えし、質疑を受け、祈りで終わるということを続けて来ました。その場にいなかった人には後日同じ内容を個別にお伝えするなどして情報の時差格差がなるべく起こらないようにも留意してきたつもり。
ところが今回は、礼拝に集まらないという前代未聞の決定を、実際に集まれない中でお知らせするということに。そこで役員会で説明の文書を作成し、何度もチェックと推敲をして確定し、まずはメールと電話、お手紙でお知らせすることに。

その際に気をつけたのは、多少内容が増えたとしてもこれまでの経緯と対応状況、現状の認識と判断に至った根拠や理由、今後の見通しと課題、それらに対する具体的対応策などをなるべく端的、具体的かつ明確に書き、あわせて祈りのリクエストや疑問質問に答える窓口を開くこと、すべてが固定化した決定でなく、あくまでも緊急対応ということで今後柔軟に対応する姿勢を示すこと。結果としてありがたかったのは、皆さんがよくこの状況を理解し冷静に受けとめてくださったことでした。

こうして礼拝はYoutube Liveでの配信、ネット礼拝参加が難しい方にはお手紙と週報、説教原稿、録音CDなどを用意しての日々がスタート。礼拝はYoutube配信なので、いわば単方向のもの。これまでにも書いたように、本来礼拝とは対話的性格があるので、それをそっくり再現することはできないけれど、とにかく一番ストレスなく礼拝に集中できる方法ということで、これはこれでよしとすることに。

あわせて役員会メンバーでの定期的なミーティングをしようと言うことになり、ここで初めてzoomを導入。礼拝終了後、お昼過ぎから30〜40分ほどのミーティングをすることに。そこで初回の礼拝の感想を聞くと、普段から子どもたちも一緒に礼拝に出ているのと、CSが出来ない中での対応として、礼拝の中で短い子どもメッセージをしてみたところ、ネット配信で参加していた子どもたちがこちらの挨拶や呼びかけによくレスポンスしてくれていたことが分かりました。

それならばということで、4月第一週から礼拝終了後の11時45分から15分の短いCSをzoomで開催することに。最初は少しバタバタしたものの、6組10名ほどの親子が参加し、とにかく互いの顔を見て、みんな元気であることを確かめ合うだけでもこんなにうれしくなるものかと思い、こういうプログラムはやはり双方向だなと実感。すると中高生会も同じようにやってみようということになり、そちらはスタッフの皆さんにおまかせして翌週からスタート。
CSのほうはその後毎週少しずつ工夫して、最近は視覚教材を画面共有してお話をしてみたり、いろいろ工夫の余地はありそうな予感。

このあたりからzoomは、使い方を少々気をつければかなり使えるという手応えを感じ、徐々に広げてみることに。特にお互い顔を見て元気になるのが大事だなということで、イースター礼拝の日は午後から自由参加の「コイノニアタイム」というのを開催。すると総勢23組51名が参加して、これまたとても良い時間になり、翌週の午後は壮年と青年がそれぞれ同じような交わりを持ち、そこから婦人たちもやってみようということで次々と双方向の交わりが広げられつつあります。

また祈祷会も礼拝ガネットに切り替わったあとも、少人数ならということで続けていたのが、4月第二週からそれも断念。Youtubeでライブ配信したものの、やはりお祈りは一緒にしたいということでこちらも先週からzoom祈祷会にチャレンジ。初回は13名、二回目は16名の参加者で短くともに祈り合うことができ、ここでも双方向の大切さを知ることに。

さらに分かってきたのは、教会員相互の様々な牧会が始まっていること。シニア世代の婦人たちはよく電話を掛け合って励ましあい、また姉妹たちは一人暮らしの高齢会員などにハガキを書いてくれていたり、「礼拝を録画したタブレットをもって訪問しますよ」と申し出てくれる青年がいたり、牧師に励ましお手紙を送ってくれる子どもたちがいたり。こちらも電話やLINEなど出来る手段はあれこれ駆使して、群れの全体の主にある結びつきが保たれ、強められ、しなやかに、したたかに続くようにと祈る日々。

「コイノニア」としての教会の姿を考えるときに、その中心に主の晩餐があるのですが、しばらく共に集まることが難しい中ではやがて一つのパンと杯に与る時を待ち望みつつ、単方向と双方向を様々に組み合わせ、地上戦と空中戦とを幾通りにも絡み合わせて、もうしばらくの日々を送っていきたいなと思います。

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