【コラム】理不尽なゲームと制作視点で向き合う

3700文字前後のコラムです。
暇つぶしに良ければどうぞ。

概要

ゲームを遊んでいて憤りを感じたことはないだろうか?

・ストーリーが突拍子もなく拒絶反応がでた
・キライな演出が突然出た
・クリアするまでの道程が長い、クリアが難しい
・思ったより面白くない、単調作業


それは不愉快極まりない、理不尽なゲームだっただろうか?
(もちろん、他の原因や気持ちもあると思うが
  主題から外れるので、理不尽にも省略する。)

私が理不尽なだけのゲームを制作しないように備忘録的にコラムとして考えて公開した。
興味があれば、、、適当に読んで欲しい。

先出しの結論

・不愉快なだけの理不尽ゲームは苦痛
・マッチングするためのターゲット戦略

・導線(前説明)、解説(後説明)、ヒントを用意する
・理不尽を利用することもある
・親切設計を心がける
・段階を踏んでゲーム理解度を深めてもらう

理不尽とはなにか?

道理がおかしい、筋が通らない、矛盾していることである。

これを、ゲームでかみ砕いていうなら
 ・進められない!
 ・理解できない!
 ・理屈がおかしい!
 ・自由がない!

「理不尽」から連想されるのは、大抵イヤな場面。
不愉快なだけの理不尽ゲームは苦痛になることが多い。
作者の親切心が足りてない可能性がある。

- 序 -

プレイヤーが感じてしまった理不尽さ。
制作側として見た時、その原因は何になるだろうか?

①ゲームとのマッチング失敗!

プレイヤー側が納得できないものを押し付けている。
ジャンルが違う、世界観が違う、目玉機能がイマイチ……。
ゲームイメージや説明=期待が体感と違ったのが原因になる。
 
その場合、ターゲット戦略を考慮して見直す必要がある。

  >ターゲットへのアピール

(見直す部分の例)
・ゲームイメージ画像、動画
・説明文、キーワード、タグ付け
・ゲーム側の内容、ファン層の分析

  >ゲームのカテゴリ分け

(カテゴリ分けの例)
・ゲーム摂取傾向(不特定、雑食、偏食、高評価、未知の領域)
・ゲーム難易度(初心者OK~熟練向け)
・ゲーム雰囲気(全年齢向け、男性向け、女性向け、王道/邪道の方向性など)
・ゲーム題材(ジャンル、世界観、歴史、恋愛、非戦闘など)
 
後付けで修正しようとした場合、
既にレッテルを張られてる状況になり
軌道修正や名誉挽回がかなり困難になるので
リリース前から気を付けたい部分ではある。

②ゲームの完成度が悪い!

ゲームの土台、土台となるシステムが十分だったとする。
(そこが壊れてたら、そもそもリリースした判断が間違っている)
 
それでも
「迂回路がない、説明もヒントもない、選択肢がない、
急に死んでやり直し、取り返しのつかないことが起きた、
このゲームの独自仕様に慣れるのに1ヶ月かかる……とにかくムズイ」
などなど不満がたまった場合。
 
そういった状況証拠が集まれば、
最悪「クソゲー」のレッテルを張られてしまう可能性だってある。
 
実際にどう対処するのか?
⇒導線、解説、ヒントを用意して対処する。

 >導線(先出しの説明)

例:ゲーム内容の的確な説明(マッチングの内容と同じ)
例:セーブデータの保存を促す
例:この先に進むと戻れない事前警告
例:難易度が高いという事前警告
例:鬼ごっこ/かくれんぼ要素がある事前説明
例:選択肢に説明を用意する
例:見た目でヤバイと感じ取ってもらう
例:今はこの機能が解放されてません!

 >解説(後出しの説明)

例:機能が解放されました!⇒説明開始
例:突然のイベントが起きた理由
例:演出で使った特殊な技の説明
例:主人公が追われてる理由があとで分かる
例:間違いの選択肢だとどうなったかの説明
例:現在の状況を住民や仲間が教えてくれる
例:エンディング(物語の結論)

 >ヒント(解決に至れる情報)

例:攻略情報を出す(予告して出すほうが良い)
例:ヒント/答えはここで見れる
例:次に行く場所と目的がいつでも分かる
例:あれを使えば楽できそうじゃない?
例:あっちは楽、こっちは難しい
例:あの状況で、こうするとよい(よくない)かも
例:アイツの弱点は火よ!

ゲームの事前情報からゲーム内での情報提供まで
親切な情報提供を心がければ
理不尽を減らして評価に繋げるチャンス

- 破 -

ゲーム設計時点からどうすればいいか考えていこう。
理不尽さをプレイヤーに与えないよう作る方法は
いくつか思いついたので、順番に書いていく。

①シンプルに作る
②説明を丁寧に作りこむ
③そういうものだと事前説明しておく

①シンプルに作る

シンプルに作るのが一番説明を省きやすい
様式美に沿ったものとも言える。
アクションゲームであればマリオ
RPGであればドラクエなどに代表されるアーキタイプたち。
既にある伝統的なゲームの模倣。
簡単な操作なら、情報をまとめて出せる利点もある。

由緒ある伝統的なゲームや経験に乗っかる方法とも言え
新しい要素が絞られるなら、そこに注力すればいい。
(原作準拠だけだと創作性がない点と
 未経験者相手では無効な点には注意する必要がある)

②説明を丁寧に作りこむ

シンプルに作るのとは逆に、説明を作りこむ作業
プレイヤーに極力配慮することになる作業。

ゲームの情報量が多くなれば配慮と手間は多くなる。
ユニーク化して、簡略化して、直観的に分かりやすくして……
面倒な計算はゲーム側フォローして……
テストプレイヤーにも感想をもらい…………等々
うまくこなせればその分、ゲーム評価は上がりやすい。
 
ただ、すべての説明を見せつけるのは現実的ではない
説明書を読むだけのゲームとなってしまったら
遊ぶ気力や時間が残らなくなり本末転倒だ。
どれが必要で、どれが不要かの見極めるのも大事。

 情報関係……プレイヤーが読みたい時に手が届けば良い
 物語関係……説明がないほうが雰囲気がでる場合もある
 特殊な物……説明必須、慣れたら不要がベター。

説明の必要/不要の見極め

とにかく思考と試行を繰り返すため時間を要する。
特殊なギミックを作っても説明できない場合
それは結果的に理不尽(あるいはバグ)になる。

③理不尽だと予告する

「理不尽なものである」という
事前説明をしておけば、ある意味説明がついてしまう。
これを使うケースは2つ思いつく。 

 A.完成版でないゲーム
「このゲームは体験版です」のような文言を使う。
説明がないものは全部バグとか実装中の扱いにできる。
溜飲を下げる効果はあるかもしれない。

しかし、それでも期待以下のゲームだった場合
宣伝効果としてはよろしくない
「ある程度の形にして出す」「将来的な完成を約束する」
この辺の見極めと覚悟は考えておいて欲しい。
(期待以上のものが作れればそれに越したことはないが
 謙遜しすぎれば嫌味になるのは留意しておこう。)

 B.本当にそういうゲーム
理不尽が強いジャンルの場合、むしろ予告が求められる。
ホラーゲームや鬱ゲー、ギャグなどが例に挙げられる。
こういうゲームには事前説明(勧告)が必須。

「このゲームにはホラー要素が含まれます」
「ギャグ要素の強いゲームです」
      (理不尽の予告)
 
理不尽な感想を防ぐ予防線としての注釈とも言える。
(これはフィクションです、など)

結局、作者の手抜き=不親切が理不尽となりうる。
そうならないよう親切設計を心がけよう。


- 急 -

①理不尽を利用する

先に話した、ホラーゲームを代表としたものは
理不尽を利用したものにもなる。
どのような利用方法があるか例を挙げてみる。

例:おばけ、幽霊騒動の解決を目的にする
  (最初は原因がわからないが、最終的には原因がわかる報酬型)
例:子供などの教育や暗喩のため
  (嘘つきは舌を抜かれるなどの教育型)
例:一見すると理不尽だが、発見や成長を期待されたもの
  (死に覚えゲー、基本的な遊び方だけ説明するなどの放任型)
例:ギャグ要素として
  (謎キャラが現れたが説明はない、などギャグ型)

こうしてみると、没入感や雰囲気、物語性を
重視する分には許容される感じがするだろうか。

①段階を踏んで理解してもらう

「アレがこうで、コレがこうで、次はアレコレで……」と
新規情報を一度に説明するとパンクさせてしまいやすい。
これは段階を踏んで理解してもらうのが良い。
 
逆に、既知の情報をダラダラ言われると辛いので
説明スキップ機能や好きな時に見れる機能があれば
ゲームの流れや雰囲気を崩さずに貢献できるだろう。
 
最初は簡単だけど段々難しくなるタイプも
段階を踏むのと同じことだ。
 
そして、全てに「こうしろ、ああしろ」とレールを引くのは
ゲームの楽しさを損なうことになる。
プレイヤーレベルに合わせたヒントや救済を用意しつつ
プレイヤーが頑張りたいときは、それらから巧妙に遠ざける。
 
ここまで、プレイヤー配慮を突き詰めるだけの話になったが
制作側が完璧にやる必要はないと思う。
ゲームバランス、テンポ、やりたいことが入り混じり
完成不可になっては意味がない。
 
プレイヤーを少し突き放したり、手を抜いたりしても
理不尽でなく面白いとなることは予想外に発生しうる。
やれる範囲でやるのが一番なのは心に留めておいて欲しい。



ここから本編外、600文字前後のコラム。

- 外 -

理不尽を防いだ理屈に面白さを付与するゲーム技法。
ストーリー軸のものが多め。
大体がwikipediaの落ち(外部ページURL)に通じるものもある。

伏線を張る

徐々に情報を出して推測してもらう。
出し過ぎるとネタバレ=推測されやすくなる。
ネタばらし(答え合わせ)の内容とタイミングは重要。
ローグライクアクションなどで
ギミックだけちょい見せして今は情報不十分
⇒ 後で答えが出る、のようなものもある。

ミスリード

偽情報で正解を隠すカモフラージュ的な説明。
推理話のストーリー展開・演出重視のもので用意されたりする。
例えるなら、伏線が直球ストライクに対しての変化球のボール球だろうか。

どんでん返し

形勢逆転、立場が逆になる。
力関係の差が大きいほど衝撃は大きいが、理屈が難しくなりそう。

ちゃぶ台返し

あったことをなかったことにする。
だいたい夢落ちとか、世代交代で半分リセットとか。

ブラックボックス

伏せている情報。結末の種になるもの。
種明かしのメインディッシュ。


- 疑 -

プレイヤー側の傾向、レベルはどうなのか?
全国学力テストのようなものはないので
正直、知るすべはないのだが。

情報教育の一種としてゲームがパロメーターになるなら
悪い話ではない気がする。

今の世代ならSwitchが代表格だろうから
マス市場や傾向は予測できそうだが
やっぱアクションゲーム偏重かな……。
総合売り上げランキング見る限り
ポケモン、マイクラ、ドラクエが健闘してるくらいか。


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