藤本憲明 勇者であれ、俺たちのストライカー
藤本憲明の移籍が決まった。気持ちの整理のため、重い筆を取っておこうと思う。
藤本…?神戸…?
オファー…?クラブ間合意…?
午前4時くらいだっただろうか、スポーツ新聞社の速報で移籍の第一報に触れた。
錯綜する情報に右往左往されるトリサポたちを尻目に、私は2009年のオフを思い出していた。
前年のナビスコ制覇、リーグでのチーム史上最高順位から一転、
パンパシ杯への参加による始動遅れ、コンディション不足
九石ドームの芝の悪化、怪我人増加
スポンサー問題と債務超過、累積赤字
チームはあれよあれよと降格、解散の危機にまで追い込まれ、サポーターは何も出来ないまま、選手が出ていくのを見守るしかなかった。
ユースの星 西川周作
高卒でチームに加入し、主力になった 金崎夢生、森重真人
誇り高き助っ人ブラジリアン エジミウソン
他にもチームのJ1定着を支えた数多くの選手たちと別れることになった。
…今なお多くのトリサポの脳裏に残っているであろう苦い記憶である。
「あの時に比べればマシ」
そんな声も少なからず聞こえてきた。
しかし、シーズン途中での主力移籍は初めての経験。
それは大分トリニータというジェットコースタークラブと歩み続けてきた、マッチョメンタルのトリサポたちの精一杯の強がりだろう。
かくいう私も、完全に油断していた。
ここ最近の藤本のベンチスタートに違和感を覚えなかったわけではないが、まさか移籍とは思わなかったというのが正直なところ。
移籍ウィンドウが閉まるまであと1週間ほど、
・戦力整理のための育成型のレンタル移籍
・試合に絡めなくなった準主力の出場機会確保のための移籍
なんとか最小限の戦力ダウンで済んだと思っていた矢先の知らせ。
来年、彼をチームに引き留めることは出来ないだろうという確信にも似た予感があったため、なおさら衝撃的な移籍になった。
サポーターの声は、概ね彼の選択を支持するものが多かったと思う。
移籍金、違約金を残しての移籍であり、藤本として最大限の誠意を見せてくれたことも大きいだろう。
また、彼のシンデレラストーリーに自分を重ねて応援していたサポーターも少なくない。
「なぜ彼を好きになったのか」
それを考えたら、自然と彼を応援する気持ちになったのかもしれない。
彼の代名詞になったチャントから、この言葉を送る。怪我に気を付けて、トリニータ相手以外で頑張ってほしい。いつか代表まで登り詰めたら、また堂々と応援したい。
そして…
泣こうが喚こうが、藤本はもういない。
彼が見せてくれた夢や思い出を胸に、残されたメンバーでJ1残留という至上命題に立ち向かっていくしかない。
今の大分トリニータなら、充分できると思っている。いや、やらなければならない。
突き進めば希望(のぞみ)は叶う
藤本が教えてくれたことを胸に、トリニータは前に進んでいく。
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