見出し画像

このコロナの時代において

4月16日に早稲田地域での限定になりますが、早大生が声を上げたことにより「未来ワセメシpay」という苦境に喘ぐ飲食店を救う企画が始まりました。当店も早稲田総本店として参加しています。

[未来ワセメシpay ]
https://twitter.com/waseda_rescue/status/1250706442136379392

当店もコロナの影響で甚大な被害を受けているのは確かですが、それをことさら強調するつもりはなく、どこの飲食店でもまた飲食に限らず多くの業態、むしろ世界中でこの困難に各々が手探りの中、対応していることでは同じです。
だからこのキャンペーンの参加店だけが支援を必要としているわけではありません。参加していない多くの店もまた苦境の中懸命に向かい合っています。

私がこのキャンペーンに「支援する、支援を受ける」という事以上のこのコロナの時代における大きな意義を感じています。

それは共に参加している「東京麺珍亭本舗」様も「麺爺」様も、普段は競い合うライバル店であり、このようなことでもなければ共に手を携えて行動する事など考えたことがなかったからです。
しかしコロナという飲食店にとって未曾有といってよい事態に直面して浮かんだのは、自分の店は当たり前のことですが、他店様もどれ一つ欠けて欲しくないという想いでした。

いつもは正直に申し上げて目の上のタンコブと思っております。
しかし、それと同時に彼らがあってこその今の当店でもあるのです。

東京麺珍亭本舗様は当店が創業する前から早稲田の油そばの名店であり、創業当初は仰ぎ見るような存在でした。店を始めるにあたって、何より意識したのは麺珍亭様です。
如何にして自分たちの味を基本としつつも、更なるオリジナル性を追求して「麺珍亭さまとは違うものを」と作り上げていくか。麺の太さ、載せる具材の数々。そして店の方向性。
あれだけ有名なお店だから二番煎じは絶対にしたくない。
真っ向から勝負できる店にしたいという想いから作り上げていったのです。

そして麺爺様は当店より後に開いたのですが、震災後の影響もあり当店は閑古鳥が鳴く一方で麺爺さま開店のキャンペーンで大盛況の様子が伺えました。このままで良いのか?色々と突きつけられる想いでした。
夏の暑い真っ盛り。客一人いない店の中、裏で独り賄いを啜っている時に、思い浮かんだのが「無限ライス」です。
ウチの強みは何か。ライスと合う。これを押し出して満足度を高めようと。
またツイッターも麺爺様を活用しているのをみて当店でも始めたのがキッカケです。どうせやるなら当店独自のテイストにする。
面白いものを作りたい。

彼らがなければ今の武蔵野アブラ學会は存在してはいません。
また両店のみならず他の多くの店の刺激があってこそ新しいものを生み出せるのです。

だからこのコロナの苦境でどの店も失って欲しくない。
全員生還を望むのみです。
無事生還したらまた思い存分殴り合いましょう。
そう願っている。

そしてこのキャンペーンが一企業ではなくひとりの学生が始めたこと。
コロナの感染拡大で若者の行動をネガティブに取り上げることが多かった昨今、こういう問題の解決に実行力を発揮してくれているのもまた若者である、という社会的な意義は大きいと感じている。
時に見かける声にある若者はダメであるとか高齢者だって何だとか誰かを非難することに意味があるとは思えないのです。
このコロナの時代において真に求められているのはあらゆる層の「連帯」であり、また「寛容」であると私は信じています。

ライバル店同士であっても手を携え、客や店の立場、世代を超えて助け合う。

未来ワセメシというキャンペーンの中でささやかながらもこの社会における範を示す事になるのでは、そういう想いがある。

もしこのキャペーンに加わりたい店が出てくれればぜひ参加してほしい。

このキャンペーンに限らず何らかの助け合う企画があればぜひ進めてほしい。早稲田に限らずどの地域であっても、あらゆるプレーヤーが連帯と寛容によってこの困難を乗り切る知恵と行動を起こしてほしい。

そうであれば、私たちは必ず未来を切り拓ける。
このコロナの時代において。
不幸として嘆くだけで終えぬ為にも。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?