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LIFE IS NOVEL #20

カノウは食事を終えると、ゆったりとコーヒーを飲み始めた。

「それで、カノウさん?まだ本来の目的が達成されていないんだが、いつになったら話してもらえるのかな?
こんな手のかかったことまでして、君たちが僕にやらせたいこととは…」

「そんなに急かさないでください。
意外とせっかちですね。ケンコーくんは。」
「…時間がないと言ってたのはどっちだよ。そっちが食事をしてるからじゃないか。これなら僕も何か頼めばよかった。」
「今から注文しますか?私、ケーキ食べたいなー。
ケンコーくんはどうしますか?」
「ちょっと待ってくれ。
そのあだ名で呼ばないで
…いや…もういいよ。好きにしてくれ。
僕もケーキだけ食べるよ。」

「じゃあ、チョコケーキとチーズケーキを頼ん
で、シェアしましょう。」
「どうしてカノウさんと仲良くシェアしなきゃ
ならなんですか?」
「食べたいんです。両方とも。
でも2つ全部はさすがにねぇ…
いいじゃないですか。ちゃんとケンコーくん
にも分けてあげますから。」

急に親しげな態度にでられてこっちも調子が崩れてきた。
「もう勝手にしろよ…」
「ありがとうこざいます。
すみませーん、ワタナベさ-ん!」

ビクッとした体がこわばりワタナベがこちらを振り返った。
急に名前で呼ばれたため、こわばった顔つきでこちらにやってきた。

「カノウさん…
名前で呼ぶのは、やめてもらえますか。
えーと、何ですか?注文?」

カノウは2種類のケーキを頼み、僕はコーヒーを追加でお願いした。
ワタナベは、テーブル上の伝票に追記すると、厨房に下がって行った。

結局、食事が完遂するまで、僕らは何の進展も得られなかった。

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