「あ!蝉の抜け殻だ!」
思わず声が出た。
第二子の出産を、行きつけの神社に報告した帰りの出来事だ。
普段なら気にもかけないのだが、無事産まれたことへの安堵感でやけに敏感になっていたのだろう。
何ゼミだ?
やっぱり可愛いフォルムをしている。
君も産まれて飛び立ったんだ。
幼少期、地中に7年ほどいて、地上に出れば一週間ほどで命の終わりを迎える蝉に、えも言えぬ切なさを感じた当時の記憶が一気に蘇った。
幼虫から成虫になったので、厳密には新しい命の誕生とは言えないが、
ここにも小さな生命の軌跡がはっきりと残っていた。
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