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モバイルハウス計画

「あれ、家っていらないのでは…?」
そんな疑問から始まったモバイルハウス計画。
着想は2021年の8月頃、東京文京区の高級住宅地を散歩していた時のこと。あれから約1年くらい経ったところで、ようやく着工したのでその模様の一部始終をお届けしようと思う。
(この記事は、都度追記していきます)

呼称問題:”バンライフ” or ”モバイルハウス”

他人のペットの名前にあーだこうだ言う人はいない。
「薄めの茶色だし、チョコちゃんよりマロンちゃんの方が良いよ」なんて口出ししてくる友達がいたら、ギョッとするかそっと距離を取るかの二択になるだろう。
とは言え、名前は当事者にとっては一大事。
愛着の湧く呼称がぴたりと決まれば、対象への思いも情熱も一層募るというものだ。
物語の始めとして、この計画の概念を過不足なく表してくれる名前を探してみたい。

”バンライフ”という名を耳にしたことはあるだろうか。
日本で”DIYした車の中で暮らす”スタイルが広まり始めて数年経つが、巷では車上生活できる車のことを”バンライフ”とする呼び方が定着しているようだ。
僕自身、友人に「車に住むやつやろうと思って」とか、「バンライフって言うやつやるんだけど知っとる?」とか言ってきたものの、何だか腑に落ちない。
と言うより、気恥ずかしい。”バンライフ”の呼び名から、そこはかとないミーハー感を感じてしまうからかも知れない。

僕はそんなおちゃらけた気分でこの生活を選ぶのではない、”気合いの入ったヒッピー”として(矛盾?)やっていくんだという気概を反映させた愛称が欲しかった。名は体を表す。良い名前がないものか。

そもそも、僕はある場所に、一つの意味が限定されることが好きではない。「この映画はこう解釈するのが正しいですよ」という触れ込みの映画があったら、ちょっと見に行く気分にはならないだろう。
それと同じで、「この場所はこう使うもの」と機能が限定された瞬間、その場にまつわるストーリーが先細ってしまう気がしてならないのだ。

例えて言うなら、日本家屋と欧風住宅の違いというところか。
普段は寝室として使う空間が、襖を開けて空間を繋げると大広間にもなる日本家屋。ガランドウの空間があることで、その間を満たすように用途や人々がやってくる”余白がある”と見てもいい。

一方で、欧風住宅では場所に対する意味の多義性に乏しい。
”夢のマイホーム4LDK”なんて言っても、「空間対用途のコスパ悪くない?」なんて冷笑的な気持ちになってしまう。
ダイニングは基本的に食事を囲む場所にしか使えないし、応接室なんてその最たるものだ。要は「何かつまらないし使いづらい」ような、柔軟性が低いような感じがする。
(余談だが、世界的企業の”0→1”のストーリーは決まってガレージで始まることは興味深い。Appleなどがその例だが、ガレージは欧風建築の中でも、日本の縁側に生まれる中間領域のように”場所に対する意味の多義性”に富んだ空間なのかも知れない)

話が膨らんでしまったが、今回の計画では陳腐な愛称は嫌だったし、”意味の多義性”を感じられるものにしたかった。
そう考えていると、ふと”バンライフ”より先に広まった”モバイルハウス”という呼称があることを思い出した。
久しぶりにホームタウンに帰ってきた時のような、腑に落ちる感覚があった。理由は後のエピソードに絡めて書いておこうと思うが、ひとまず我が家の愛称は”モバイルハウス”に決定した。


モンゴルでの体験


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